~荘厳なる奥多摩の氷瀑~ かわのりやま(1364m)とひゃくひろのたき 2008年1月27日(日)快晴
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気温の低い日が続いている。川苔山の百尋の滝がどれくらい氷結しているかを見に行く。 早朝の奥多摩駅付近は極寒。登山者も極端に少なく、東日原行きのバスは自分以外にもう一人乗っているだけだ。 川乗橋で下り、林道を緩く登っていく。冬枯れの山肌には、白いものも多く見られる。寒いが空は次第に青みを増してきた。 薄く雪の積もる細倉橋から登山道に入る。沢を高巻く場所が多く、薄い積雪はスリップを警戒し非常に厄介だ。 凍結している川苔谷を歩くのはやや危険を伴うので、以前ならこの時期は別のコースで川苔山に登るようにしていた。今では歩くのも少し慣れてきたと思うので、少々の冒険心で歩いてみることにした。 川苔谷は深く、日がなかなか差してこない。しかし寒さよりも先に、凍結した沢沿いであることの緊張感を感じる。 沢にかかった木の橋を渡る手前で、ちょっとした岩を斜上する。雪が凍結しており、そのままでの通過は危なそうなのでアイゼンを着けた。思っていたよりずっと早いアイゼン使用となった。 橋を渡ってからは、凍結箇所はまだあるものの、それほど緊張する場所はない。ただしやはり、足の置き場には常に気を配る。先週の奥武蔵のように、何か考え事をしながらののんびり歩きというわけにはいかない。 滝手前の小ピークは急峻な登り下りがありいやらしい。何とか通過し、鉄製の階段を下って百尋ノ滝の前に出る。 大部分が凍っているが、まだ上部から水が落ちている。さっき手前のピークを越えるあたりで水の落ちる音が聞こえていたので、完全氷結はしていないというのはわかっていた。氷結度は6,70%くらいか。 温かかった昨年の冬は全く氷結しなかったという。今年は、ここ数年の中では氷結しているほうではないか。
氷瀑を写真に収めて歩きに戻る。ピークに登り返し、日の当たって来た登山道を行く。 沢筋を離れ尾根への登りになると凍結箇所もなくなる。腰を下ろしてアイゼンを外す。気温は低いものの、日だまりの場所では暖かさを感じる。 日向沢ノ峰への道を分け、次第に高度を上げる。木の間から、石尾根越しの富士山を仰ぐ。 再び沢に出会うと今度は沢の水が凍っていた。さらに尾根を進む。今日は久しぶりに、川苔山東の肩に上がってから山頂に向かいたかったのだが、やっぱり足毛岩を経由するコースに入ってしまったようだ。分岐があるようなのだが、前回に引き続き見逃してしまった。 東の肩コースは、初めて川苔山に来た1998年11月のときに一度歩いただけだ。自分にとっては、どうも幻の登山道になってしまっている。 足毛岩の肩から急登となる。左手に川苔山頂上部が見えてくる。稜線はだいたい20cm程度の積雪になっていた。 雪質は思ったよりサラサラしていて歩きやすい。今日は、滝より下の高度の低い場所でアイゼン歩行、高い所では外して歩くという、いつもとは逆のパターンになった。 ここから先は自然林の気持ちいい稜線を進む。稜線の先、真正面に川苔山がある。 岩がちの急勾配を登り、川苔山頂上に達する。一面白い頂上。登山者は他に1人だけだったが、やがて数人登ってきた。
目の前の石尾根、背後の長沢背稜、どれも白くなっている。川苔山は、四囲をぐるりと奥多摩の山に囲まれている。しかも今日は快晴で超展望の日。12時近くになっても富士山はまだなお見え続けている。 しかし寒さは厳しく、ペットボトルのお茶が凍っていた。この時期の登山はおにぎりは凍るのでパンにしたり、水はポットの中に入れておくことが望ましいが、近頃は温暖化のせいか、奥多摩の山くらいでは凍結することもあまりなかった。今年は久しぶりに、奥多摩でも冬らしい冬になっている。 下山は大根ノ山ノ神~鳩ノ巣駅コースにする。南斜面に出るとすぐに雪はまだらになった。 舟井戸ノコルで鋸尾根コースを分けて植林帯の下りに入る。途中で大ダワに通じる道が分岐していた。 大ダワ経由で鳩ノ巣駅に下るコースでもいいと思ったが、今日はそのまま直進する。大ダワに行ってしまうとそのまま勢いで本仁田山に登ってしまいそうだ。 今日は登りで体力を使っているので無理せず、鳩ノ巣駅に下ることにする。 単調な下りが続く。一度見たような景色が再び現れ、あれ、ここさっき歩いたところではないか?と思いながら緩やかに高度を下げる。 大根ノ山ノ神で一人の登山者と会う。朝起きて、奥多摩の山が白くなっているのを見て出かけて来たという。 話を聞くと、閉鎖中の酉谷避難小屋は今年初めから復旧工事に入るようでありがたい。元々危ない急傾斜地に建っているので、無事に工事がなされることを祈る。 山ノ神から30分ほどで鳩ノ巣駅に下る。今日は一心亭の温泉に立ち寄っていく。広い湯室を独り占めだった。 一心亭の人も、駅前のお店屋さんも暇をもてあましている様子。小さなビニール袋を片手に「ゴミがこれしか出ないのよ」とこぼしている。 展望列車仕様の青梅線に乗って帰る。 |