~人気の奥多摩の山で道探し~
タイトル
かわのりやま(1364m)
2002.4.20.(土) 曇り

青梅線川井駅7:10-8:00真名井沢南側の尾根-9:45赤杭尾根合流-11:05エビ小屋山鞍部-12:00川苔山12:30-13:45足毛岩分岐-14:10百尋ノ滝14:25-15:05細倉橋-15:50川乗橋16:08-[バス]-16:25青梅線奥多摩駅

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マップ


川井駅から
川井駅から

今回こそ真名井北稜を登るつもりだった。
川井駅から歩き、北川橋の手前で左に折れしばらく林道を進む。赤い屋根の民家を通り過ぎたところで、「秩父線38号に至る」の標柱を左に見る。

しかしここが真名井北稜の取り付き点ではないことは、おととしに失敗してわかっていたつもりだった。正しい取り付きは、ガイドなどによればここからさらに林道を歩き、真名井橋を渡ってから見る「秩父線38号に至る」という黄色い標柱のはずだ。
同じ「38号に至る」でも目の前の標柱は黄色くない。しかし何を考えていたのか、吸い込まれるように、今回もまたここから登り出してしまった。
もっとも、この道も結局は赤杭(あかぐな)尾根に合流して川苔山に通じる。それもおととしの経験でわかっている。

急勾配の植林を登ると、道は送電鉄塔の巡視路っぽくなる。右側には目にも鮮やかな雑木の緑。
時折見かける標柱は、「秩父線37号に至る」「36号に至る」と鉄塔の数字がどんどん小さくなってしまう。40,41,42号と鉄塔を追って行くはずの真名井北稜でないことはもはや明白。

鉄塔を過ぎ、見覚えのある小ピークに着く。少し冷静になる。「2度も間違えるなんて馬鹿らしい。今回は下りよう」
来た道を引き返す。しかし登って来た道と違うところを歩いているようだ。尾根が思った以上に広く、鉄塔のところまで行き着けない。となりの支尾根に乗ってしまったらしい。
まあそのうち車道に下りられるだろう。踏み跡のない、薄暗い植林を下っていると、下からハンターの人が登って来た。鹿を追っているとのこと。そういえばさっき、鉄砲の音を聞いた。
新緑の赤杭尾根
新緑の赤杭尾根

この先、下るのは難しいらしい。本筋の尾根からちゃんと下りたほうがいいと言う。ちなみにここは、やはり真名井北稜ではないとのこと。それがはっきりわかっただけでも、ひとつりこうになった。

もう一度登り返す。しかし登り返しているうちにまた気が変わり、下りるのはやめて、やはり今回も川苔山を目指そうと思うようになってしまった。優柔不断とはまさにこのこと。

およそ1時間半、この名もない尾根を行ったり来たり、うろうろしてしまった。そこからは、道形ははっきりしないものの、正面に見える赤杭尾根を目指す。
さっきとは違う小ピークにいったん登る。それを下りると道ははっきりし、しばらく平坦な道を進むと赤杭尾根に合流した。今日初めて見た導標から察すると、どうやらズマド山と赤久奈山との間くらいに出て来たようだ。あるいはさっきの小ピークがズマド山だったのかもしれない。
カラマツの芽吹き
カラマツの芽吹き

気がつけば空模様はややあやしく、今にも雨が降ってきそうである。はっきりした道を登って行くと、周囲が伐採された展望の地へ。正面に川苔山のとんがった頂上がよく見える。
植林を巻き、倒木の目立つ平坦地を過ぎると、あたりはカタクリの葉が目立ってくる。けっこう多い。がもはや花期は過ぎていて、閉じられた一輪を認めるにとどまった。

カタクリの場所を過ぎると急坂となる。このへんの道は変化があり、川苔山の登山道らしくてけっこう好きである。エビ小屋山との鞍部に着く頃には、ついに霧雨が降ってきた。今日はあまりついていない。

カラマツの芽吹きを見ながら幅広い尾根を急登する。右手には、今日登るはずだった真名井の稜線が見え隠れしている。やがて真名井沢の頭へ。ここに上がってくるはずだったのだ。さらに曲ケ谷南峰、北峰を乗越していよいよ川苔山頂の肩へ。登山者がけっこう多い。
東の肩から川苔山頂へ
東の肩から川苔山頂へ
新緑のカーテン
新緑のカーテン

樹木の芽吹きはこのへん、標高1200m付近まで来ている。木の枝先が赤、黄色、オレンジなどに変わっている。
もうお昼の12時だ。山頂には25~30名ほどいる。天気はやや持ち直し、空の一角には青いものも見えている。北西側には蕎麦粒山のまだ黒っぽい山肌、南面には大岳山、御前山がシルエットで眺められる。御前山あたりは今日はカタクリ見物できるの最後のチャンスの土曜日、さぞかし混み合っていることだろう。

山頂から西に急な坂を下る。ツツジ類は意外と少ない。やがて、右側に「百尋ノ滝方面」という、ブリキ製の古ぼけた導標を見るが、その示す先はやぶがちである。本当にこの道でいいのか?

とりあえず入ってみるが、進みにつれどんどん道はなくなっていく。コンパスを取り出すと、進行方向が真北なのでびっくりする。東か、南東に向いて進んでいると思った。
川苔山山頂近くは地形が複雑で、自分がどこを歩いているのかを常に意識していないと、よく方向感を狂わせられる。標高1300m台にしては奥多摩の山の中でも中級のランクとされている理由がよくわかる。

とりあえず分岐まで戻り、さらに直進してみる。おなじみの木製の指導標と分岐がすぐ先にあった。足毛岩の肩である。そこから右に折れ百尋ノ滝に向かう。の道から見る山の斜面はカラマツの新緑がきれいだ。
百尋ノ滝
百尋ノ滝

やがて沢筋となり、百尋ノ滝(ひゃくひろのたき)の前に下りる。高さ40mほどはあろうか。なかなかダイナミックである。少し前まで、崩落の影響で滝が見えなくなってしまったそうだが、今はちゃんと眺められる。しかし上部に林道のガードレールが出来てしまい、興をそがれる。

川苔谷は水の流れがきれいで、新緑と合わせてとても絵になる。しかし登山道は沢沿いに付けられている部分が意外と少なく、高巻きの道が多いために、沢沿いの花を楽しめる場所に乏しいのが惜しいと思う。
今回もキケマンやニリンソウを1箇所、見られただけだった。山頂直下のアカヤシオやツツジも少なく、今回は花関係はあてが外れた。

春よりも秋、紅葉の季節に素晴らしい場所だろう。そういえば山登りを始めた年、3回目の山行がこの川苔谷からの登山だった。

細倉橋に下り、林道を歩いて川乗橋バス停までさらに歩いた。今日は2回も道を間違え、8時間近い歩きとなってしまったがそれはそれで面白かった。
奥多摩駅付近
奥多摩駅付近

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