~甘い香り漂う奥多摩の尾根~ ひのでやま(902m) ・みたけさん(929m) 2006年4月1日(土)晴れ、春霞 7:35青梅線御嶽駅-8:00光仙橋-8:45岩棚ピーク-9:40日ノ出山10:10-10:55御岳ケーブル山頂駅-11:10富士峰公苑12:00-12:10裏参道分岐-13:10大楢峠13:20-13:32城山分岐-13:50奥多摩霊園-14:10養鱒場14:30-15:00奥多摩駅 歩行時間:5時間30分 |
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日ノ出山を北尾根から登った。一般登山道ではなく指導標は皆無だが、ヤブもなくわかりやすいルートがつけられていた。登頂後、御岳山を通って富士峰のカタクリが咲いているか、見に行ってみる。 青梅線の展望車両から、春の陽に霞む山並みを眺める。暖かくなるにつれ、奥多摩に向かう登山客もずいぶん増えてきた。 御嶽駅で下車。かたわらに梅の咲く駅前の橋のたもとを下り、御岳渓谷の遊歩道をしばらく歩く。 カヌーの練習をしている人が数人。川沿いにはスミレやカキドオシなど咲き出している。神路橋で対岸に移る。桜のほうはまだ1分咲き程度。 車道を緩く登って、御岳参道に向かう道に出る。赤い大きな鳥居をくぐってしばらく行くと、光仙橋という小さな橋を渡る。すぐ左の階段が北尾根の登山口である。 「この先危険ですので、入山しないで下さい」との表示が。しかしすごすご引き返すわけにはいかず、急な山道を登っていく。 すぐに尾根状になり、小さなコブの上から御岳山・大塚山あたりの稜線を見上げる。
左に折れ、杉・檜と雑木の混合林の中を登る。指導標はないが時々テープがある。しかしそんなものはなくとも、尾根は明確で迷いようがない。小鳥のさえずりが時折聞こえる、静かな山道である。 露岩が現れ、展望のよい岩棚に上がる。山名板がかかっているが、山名はかすれて読めない。「平八S」とは山岳会の名前だろうか。 さらに登ると、左側が疎林になり、高峰という形の良いピークが見えてくる。方向はやや右に折れる。日ノ出山へはほぼ一直線だ。 植林がなくなり自然林の気持ちよい登りになる。右手は切れ落ちた崖になっていて、覗く谷間には芽吹き間近な森の海が広がっている。 山は今から1ヶ月くらいの時期が、一番変化があって楽しい。花が咲き樹林が芽吹き、野鳥が戻って来る。登山者も増える。そしてもうひとつ大きな変化は、「匂い」である。 芽吹き直前の樹木が発するほのかな甘い匂いが、稜線一帯に染み渡る。この匂いという季節感は、いくら都会に自然を持ち込んでも本物を味わうことは出来ないであろう。五感のうち、嗅覚が世の中で一番ごまかせないものであると思う。 急登ののち、石垣と柵が見えてくると、そのすぐ上が日ノ出山である。頂上からは、霞んではいるが、都心の展望を得ることが出来た。西武ドーム(東京ドーム?)も見える。 日ノ出山は今回が3回目。吉野梅郷からの行程で登った前回から、もう5年が経っている。少し前のことのように思えていたので意外だ。 御岳山への縦走路に入る。整備されたなだらかな道で、遊歩道のようだ。何人もの人とすれ違う。スミレなど春の花は全く咲いていない。 宿場街を通って、ケーブルカー駅近くの日当たりの良い場所に進んで、ようやくタチツボスミレを見る。宿場街のアズマイチゲもまだのようだ。
ケーブル山頂駅からさらに歩いて、富士峰公苑へ。目当てのカタクリはほとんど見かけない。しらみつぶしに探してみるがつぼみばかりで花開いているものはない。落胆して、ベンチで軽食をとる。 30分ほどしてもう一度見に行くと、さっきつぼみだったのが花開いている。1回見ただけで帰らなくてよかった。数は少ないが、きれいな株を写真に収められれたので満足。
金毘羅神社のイワウチワも考えたが、今日は裏参道を歩いて、上坂(あがっさか)に下る。 裏参道はまだ冬のたたずまいである。花はほとんどなく、キブシとカタクリの葉、エイザンスミレを一輪見るにとどまった。2年前に見れたハナネコノメももう少し先であろう。 穏やかで自然林の多い御岳裏参道は、このへんの中でも気に入っているコースの一つである。 大楢峠からもう少し平坦な道を歩き、城山分岐。ここで上坂へ下る。舗装車道に出たところに奥多摩霊園がある。 上坂集落の道脇にはスミレがたくさん咲いている。暖かい日差しの中、車道を下りて行く。
養鱒場の向かい側の小さな斜面、ここにアズマイチゲとカタクリが見られる。今日は時期がちょうどよかったようで、カタクリがたくさん花をつけている。 山中ではないが、山里のこういう畑地や空き地のような場所にカタクリが咲くのはある意味貴重だ。ここがもうすこし都心に近かったら、1年後には家が建ってしまっているかもしれない。今のままずっと、空き地のまま残っていて欲しいものだ。 20分ほどで奥多摩駅に着く。駅前の店でそばを食べる。のんびりした1日だった。しかしこの後乗った青梅線がすごい混雑。車窓からまだ山が見えているというのに、現実に引き戻されてしまった。 |