2年ぶりに秩父温泉一泊山行をした。荒川を挟んで北秩父山地と正対する登谷山・釜伏山の縦走路、そして3度目の城峯山である。
梅ほころぶ上ノ山集落
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月曜日の東武東上線小川町駅、風が冷たく駅の構内でバスを待つ。通勤客が次々と改札に入っていく。
バスの窓から、形のいい笠山を眺めながら打出で下車。のどかな山村は、梅は咲き出してはいるものの、どことなく寒々としている。空高く、ゴーゴーと風が音を立てているからだろう。
上ノ山の集落を見ながら里道を上がっていく。簡易舗装の道からやがて植林帯へ。左下に小さな滝を見た後も緩い登りが続く。やがて頭上が明るくなり、左側、潅木に越しに広い牧草地が見えてくる。車道に上がったところが二本木峠だ。稜線はやはり風がすごい。
外秩父七峰縦走コースというのがあり、小川町駅から笠山、大霧山など北奥武蔵の山稜をぐるりと回って波久礼駅に下るという、総計42キロの壮大なコースである。毎年4月にこのコースを踏破するイベントが行われている。
この縦走コースは今まで、官ノ倉山とこの登谷山だけを歩き残していた。今日ようやくその部分を歩くことになる。車道が多いのが難点だが、比企山地や外秩父が持っている独特の雰囲気を引き継いでいて、なかなか趣のある縦走路と考えていた。
二本木峠から、階段道を交えた急登をこなし、最初のピークである愛宕山(654m)に着く。南面の展望がよく、大霧山などの眺めが得られる。遠くに都心のビル群も望める。
このあたりの縦走路は雑木林主体で、西側の眺めがいい。風が冷たいが気持ちの良い山道だ。やがて皇鈴山(みすずやま・679m)に着く。広い山頂の一角にあずまやがあり、両神山や二子山、雲を被った浅間山などの展望もいい。
皇鈴山とはきれいな名前の山だが、かつてはアズマギクの自生地だったという。
山道は北へ続く。小さいアップダウンののち、突然東側が大きく開ける。寄居の住宅地がミニチュア模型のよう。その先の関東平野の広がりが印象的だ。進む先にはアンテナの立つ登谷山が堂々としている。
車道に下り立ちさらに北上する。急登ののち登谷山の頂上へ。
再び北東面の大展望が広がる。ここは赤城山の展望台といってもいいくらい、薄雪を被った赤城が真正面によく見えている。空気が澄んでいれば上越の山も視界に入ってきそうである。
車道に下りたところに売店がある。登谷山一帯は牧場となっていて、季節がよければ牛が草を食むのを見ながら絞り立ての牛乳が飲めるとのことだ。ただし自分は牛乳は腹がゆるむことがあるので、山の途中で飲むのはちょっと勇気がいる。
ここからは車道歩きが続く。今日初めて、他のハイカーと会う。ハイカー以外には車道で車を何台も見ているが。
杉林の厳かな雰囲気になると釜伏峠。七峰縦走コースはここから中間平経由で下ってしまうが、今日はさらに釜伏山に登る。
ミツマタの咲く釜伏神社境内の裏手を進むと、岩尾根の急登になる。今までが穏やかな道ばかりだったので、突然山が険しくなった感じがする。
アズマイチゲ
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コガネネコノメソウ
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樹林に囲まれた釜伏山頂上からさらに北へ。下りも岩ゴツの急坂でロープがついている。慎重に下らねばならない。下りきった場所から日本水(やまとみず)の源流に行けると思ったが、崩落の恐れありで未だに通行禁止になっている。
日本水を経由する道が使えないので、野上駅に下ることが出来なくなった。予定を変更して、日本の里から波久礼駅に下ることにした。
波久礼駅へ
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西武秩父駅から武甲山
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ゴヨウツツジ自生地という場所を過ぎ、植林帯に入りどんどん下っていく。車道に出て道なりに下っていくと日本(やまと)の里に出る。
北向きの斜面にたくさんのカタクリのつぼみ、そしてアズマイチゲが花開きかけている。
日が当たり始める時間だったので少し待ってみた。やがて遠くの場所にあるカタクリが数輪、花を開いた。
波久礼駅まで1時間ほどの下りだ。車道沿いに「風のみち遊歩道」と書かれた未舗装の道が続いているのでそれを歩く。アズマイチゲがたくさん咲いていた。さらに少し行くとコガネネコノメソウ。早春の秩父の山道には、たくさんの小さな春が足元に息づいている。
波久礼駅から秩父鉄道で、御花畑駅に戻る。バスで西秩父に入り今日は温泉宿に泊まる。
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