~福寿草咲く山村からの登拝路~
タイトル
じょうみねさん(1038m)
2004年3月8日(月)快晴

8:09小川戸橋-[バス]-8:15吉田支所-8:30万年橋-9:00石間・福寿草自生地10:30-11:00石間小-11:20鳥居11:30-12:40城峯神社奥社12:55-13:20城峯山13:30-14:05林道-14:30西門平14:49-[バス]-15:05秩父温泉(水と緑のふれあい館)16:30-16:45秩父鉄道皆野駅
歩行時間:4時間20分

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かおる鉱泉
かおる鉱泉
「草の乱」撮影地
「草の乱」撮影地

翌朝、秩父の地は冷えた。宿の人によると「今までにない寒さ」だそうだ。
天気予報では今日が今年最後の冬晴れ、明日からは気温も上がるとのこと。

宿の前の小川戸橋バス停から小鹿野町行きに乗り吉田支所で下車。少し歩いて万年橋。ガイドなどでは、城峯山の登路はここからよく紹介されている。
2時間近い車道歩きが始まるが途中でちょっと寄り道する。石間(いさま)の福寿草自生地だ。

民家の軒先を通って、自生地に付けられた小道に入る。期待したほど多くは咲いていなかった。しかし福寿草の自生地はそこここにあるものではなく、貴重な存在である。
なお、この自生地は林の中の急坂に沿ってかなり上まで続いている。一番上までは標高差100mくらい登ることになる。山に登る前にかなりのアルバイトである。
一角に節分草の自生地もあったが、こちらのほうはすでに花期を過ぎていた。しかし残りの葉の付き方を見るとかなりの密集度である。

写真を撮り、出ようと思ったら入口の民家のおばあさんに「お茶でも」呼び止められる。せっかくのご好意なので、縁側に座ってごちそうになる。昨日はやはりこのへんでも雪が降ったそうだ。山だけではなかった。

さっき、自生地の前にある畑を耕していた男の人が戻ってきた。この家のご主人かと思っていたら、会話の内容からどうも違うようだ。あの畑はどこの家のものなのだろうと疑問が湧く。
東京の品川から来たと言ったら、新幹線の駅が出来て賑やかになったことでしょうと言われた。しかし方言や訛が強くて、どうも話の内容がいまひとつ聞き取れない。東京の隣の県といっても広いのである。

石間・城峯神社の福寿草 超拡大写真 石間の福寿草
石間の福寿草 城峯神社の福寿草 城峯神社の福寿草

お茶のお礼を言って出発する。そういえば、ここの少し手前に映画「草の乱」の撮影現場があった。ここ一帯は秩父事件発生の地として有名で、少し先には資料館もある。吉田町のホームページにも、秩父事件は大きく取り上げられるようになってきた。
自生地付近に広がる山村風景
自生地付近に広がる山村風景

ただ個人的には、この史実を観光の目玉にしてしまうのは少々気が引ける。自分の中ではそれほど重い事件との印象があったのだが。土地の人はどう思っているのだろう。
なおこの映画の封切りは今年(2004年)中とのことである。

車道歩きに戻る。春爛漫にはまだ少し早い石間の山村を眺めながら、どんどん山に近づいていく。犬も元気よく吠え、集落には明るい雰囲気が漂っている。

石間小学校沢戸の山上集落を見たあと、「城峯山登山道」と書かれたプレートに従って右折。大きな鳥居の下をくぐる。やがて舗装車道が尽き、最奥の民家の軒先をかすめるとようやく山道となる。沢沿いの杉林の登りが続く。

城峯神社
城峯神社

参道らしく丁目石が置かれている。それとともに、「三千二百メートル」、「三千四百メートル」、...といった距離を表す標石も見られる。「四千メートル」で城峯神社。キャンプ場としても利用できるこの一帯は、雪がうっすらとあり、植栽ではあるがここにも福寿草が花開いている。花は石間の自生地よりもかなり多く見られる。
南側は秩父の山が広く眺められる展望台。幾重にも連なる山並みが素晴らしい。あずまややベンチもあってしばらく休憩する。

神社にお参りし、先を進む。天狗岩への標識があり行ってみると垂直に近い岩場に出くわす。頑丈な鎖が設置されているがここはパス。天狗岩に上るのは諦め、そのまま城峯山頂上に向かおうとしたら、反対側から難なく天狗岩に登れる道があった。
小祠があって御荷鉾山など上州の山々の展望がいい。
展望広がる頂上直下の稜線
展望広がる頂上直下の稜線

ここから城峯山までは、短いが自然林の中の清々しい登りとなる。葉の落ちた今の季節は両側の展望も開ける。昨日の父不見山や二子山、両神山と連なる山稜が日に照らされ、キラキラ光っている。

城峯山頂上に着く。展望台に上がるが昨年1月に来たときほど風は強くない。しかし昼の1時を過ぎてしまい四囲の展望はやはりいまひとつだ。

巻き道を使い西門平への下山に入る。雪はほとんどついていない。
植林帯を抜け、林道をまたぎ車道に降り立つ。バス停まであと少しのところでタチツボスミレが咲くのを見た。

父不見山も城峯山も、雰囲気がよく「山らしい山」と言える。特に城峯山は今回採った石間コースがやはり楽しい。山に登るだけなら日帰りで十分なのだが、昔人の使った峠道やひなびた山村、花の名所をゆっくりと訪ね歩くのがいい場所だから、やはり麓に1泊してのプランを推奨したい。


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