2019年2月17日(日) |
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富ヶ谷IC |
5:00 |
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首都高 中央自動車道 |
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須玉IC |
6:40 |
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国道141号,県道610号他 |
7:15 |
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信州峠 |
7:30 |
8:15 |
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カヤトの原 |
8:20 |
9:00 |
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横尾山 |
◇ |
9:15 |
稜線上の平坦地 |
9:40 |
9:55 |
横尾山 |
10:00 |
10:20 |
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カヤトの原 |
10:30 |
11:20 |
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信州峠 |
◇ |
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県道610号,国道141号他 増富の湯立寄り |
14:00 |
須玉IC |
◇ |
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中央自動車道 |
16:00 |
高井戸IC |
◇ |
奥秩父の西の端、横尾山は八ヶ岳や南アルプスに近いのに地味な印象がある。近くの茅ヶ岳や飯盛山に比べても登山者はそう多くない。アプローチが不便ということもあるが、車で信州峠の登山口まで上ってしまえば、標高差も少なく軽いハイキング程度の山になる。
2009年の夏に1回登ったきり、しかも霧で何も見えない山だった。今回は冬の空気の澄んだ日、展望を期待して出かける。
八ヶ岳を見ながら、カヤトの稜線を登っていく
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朝5時少し前に五反田の自宅を出発。中央自動車道をひた走り須玉で下りる。下道には雪は全くないが、山に近づくにつれ道脇に溶け残りの雪が見られるようになった。
登山口の信州峠は標高約1470m、このあたりになると日陰の斜面にはべっとりと雪がついていた。5,6台ほど停められそうな駐車スペースがある。自分が一番乗りだった。
信州峠は山梨県と長野県との県境にあり、県道が峠を乗っ越す最高点を挟むように山梨と長野の県境標識が立っている。
車から出るが、あまりの寒さにまた車に戻ってしまう。麓の集落付近で氷点下4度くらいだったので、日のまだ差さない信州峠付近は氷点下10度近くにはなっているだろう。しかしやっぱり意を決して出発せねばならない。歩き始めると長野県側からもう1台、登山者の車が来た。
路肩の階段を上がり登山道に入る。低い笹の生えたカラマツ林で尾根は広く、緩やかな登りがしばらく続く。雪も少ない。始めのうちは指先が冷たくなっていたが、10分も歩いていると元に戻ってくる。
尾根上は日差しがあって暖かささえ感じ、さっきまで厳しい寒さに震えていたのがうそのようだ。
カラマツ以外の樹林は落葉樹が主で太い木はなく、若い二次林となっている。ところどころでシラカバの白い幹も目立つ。木の枝越しに富士山や奥秩父西部の山並みが覗くが、大きく開けるところはない。
道はやがて傾斜がつきはじめ、正面にそびえるピークを目指すようになる。ピーク付近に生える木々は枝の先端が赤くなっており、芽吹きの準備中なのだろう。こんな標高の高いところでも確実に季節は進んでいる。
積雪が増え、ジグザグの急登となった。登りなので滑るようなことはないが、下山のときはアイゼンをつけたほうがいいかもしれない、と思う。登山道一面に雪があるわけではないので、こういうときにアイゼンを使うと泥だらけになってしまうのがいやだったり、雪のない地面に穴を開けてしまうのも気になる。
しかし急斜面でスリップの恐れがあるのなら積極的に使ったほうがいい。逆に、転んでも滑落の心配のなさそうな平坦な道が続くようなら、あえてアイゼンをつけない。自分の経験則ではそういうことになる。
登りが斜度を失うと、広々とした台地に出た。「カヤトの原」というところで、指導標にもそう書いてある。
ここはほぼ360度のパノラマだ。八ヶ岳や南アルプス北部をはじめ、奥秩父や北関東の山々がぐるっと見渡せる。北アルプスも見えている。富士山は少し遠いが、茅ヶ岳や曲岳の稜線を前景に、左右対称の端正な姿を見せていた。
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横尾山山頂 |
横尾山から稜線を西に進むと、樹林越しながら八ヶ岳の横岳や天狗岳方面も見えてくる
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横岳が何とか |
カヤトの原上部から、金峰山と手前に瑞牆山の輪郭が見える
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金峰山と瑞牆山 |
カヤトの原から、信州側の高原台地を見下ろす。御座山や天狗山など佐久・川上の山が見える
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信州側の眺めも |
信州峠は山梨県と長野県との県境。両県の県境標識が立つ
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県境の峠 |
県道から瑞牆山が大きく望める場所があった [拡大]
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瑞牆山が大きい |
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何といってもやはり八ヶ岳の大きさが目を引くが、見えるのは編笠、権現岳、赤岳から横岳のあたりまでで、その北側(右側)はこれから向かう横尾山の稜線に隠れている。浅間山方向は霧が濃く、もしかしたら雪が降っているかもしれない。
稜線は少し右方向に折れ、西北西に進むようになる。再び樹林の尾根となり、小さなアップダウンをいくつも超えていく。岩の上を伝っていくところもあり、カヤトの原から横尾山までは思ったより距離がある。標高をほとんど上げないのでゴールが見にくい。
カヤトの原から30分以上かけてようやく横尾山山頂に着く。ここは少し樹林があり、全方位眺めが利くわけではないものの、南アルプス方面はよく見える。八ヶ岳の全貌が見えるかと思ったが、どうしても樹林が邪魔をする。
今日は時間に余裕があるので、山頂からさらに西に進んでみる。このまま稜線伝いに行くと飯盛山に達することができる。
雪上にトレースはなく、場所によっては膝くらいまでズボッともぐることになった15分ほど進んでみたが。八ヶ岳の見え方に変わりはほとんどなく、樹林の枝を透かしての眺めであることには変わらなかった。
見えそうで見えない八ヶ岳、というのが横尾山の印象になってしまった。ただ横尾山の人気がいまひとつなのは、展望が悪いのが理由ではなく、登山道自体が単調であることにあるのだろう。高山植物が豊富なので、やはり夏がこの山の登山適期かもしれない。
小広い平坦地で少し休憩してから、山頂を再び踏み下山することにした。
カヤトの原に戻ると正面、登ってきた方向には金峰山、そして瑞牆山の怪峰が頭をもたげていた。また浅間山など北信の山付近も晴れてきてて、文字通り360度の山の眺めが得られるようになっていた。
樹林帯の急坂に入る前に、やはりアイゼンをつけていく。凍ってはいないが滑りやすいのは変わらない。ただ先々週の鷹ノ巣山のときに苦労させられたアイゼンの裏の雪団子は、今日は全くできないので、足元は安定している。標高が高い分気温が低く、アイゼンと地面との温度差が大きくないせいだろうか。
もっとも、登りのときから雪はさらに溶けて少なくなっており、10分ほど下ったところでアイゼンは外す。気温も湿度も上がってきて、今年の冬の出口が近いのを大気のぬくもりに感じる。
木の枝越しに瑞牆山を見上げながら信州峠の登山口に戻った。
まだ時間も早いので、増富の湯にゆっくり浸かっていく。