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大日向(おおひなた)から酉谷山

大血川渓流釣場から山頂まで3時間20分(歩行時間のみ)

地図

これは埼玉県の秩父側から酉谷山に登るコースで、付近の人にとってはマイナールートでも何でも無いかもしれない。
しかし全体的に笹薮が多く、おおむね薮こぎの道である。奥多摩側から登る道に比べればハードで、格段に険しい。長沢背稜の山深さを味わうのにはいいコースだ。
また、この道はタクシーで釣場まで来れれば、酉谷山までの最短路となる。

このコースは、分県登山ガイド「埼玉県の山」(山と渓谷社)、「雲取山の歩き方」(けやき出版)に掲載されている。読み方によっては一般コースのようにとってしまいがちの紹介文だが、実際はかなり山慣れた人向きのコースのように思われる。

三峰口駅 三峰口駅

秩父鉄道の終点、三峰口からタクシーで約15分(料金2500円程度)で大血川(おおちがわ)渓流釣場まで行く。または、バスで太陽寺入口まで行く場合は、そこから渓流釣場まで歩くことになる。

渓流釣場から舗装道を道なりに行き、すぐに左側にある「東谷林道」の分岐に入る。入口は赤い鉄柵で車両通行止めとなっている。東谷林道は東京大学の演習林として管理されていて、落葉樹が多く眺めもいい沢沿いの林道である。舗装道とダート道が交互にある、ゆるやかな登りの道だ。
東橋、源兵衛橋、小滝橋と過ぎ、クイナ沢橋の手前で林道は左上に大きく迂回している。ここで林道を離れ登山道に入っていく。クイナ沢橋を渡ったすぐ右の先に酉谷山への導標があるが、2000年10月現在林道工事中で、指導標は土砂の向こうにあり見えにくいので、注意して探す。

登山道に入りすぐに支尾根の山腹を登って行く。なかなかの急登。ところどころ道が崩れかけているが、一度尾根に出ると道ははっきりしてくる。その後、山腹をジグザグに登ったり、尾根に乗ったりの繰り返しを何度かする。このあたりは自然林が続き、道の左右にはスズタケが伸びている。
熊倉山分岐 熊倉山分岐

標高を上げていくと、たまに木の間越しに周囲の稜線が展望出来る。やがて植林帯に入り、道が細くなり歩きにくくなる。
樹林が切れたところで道が崩れている。ここを慎重に通過すると、程なく指導標のある分岐となる。ここは左へ登るように進む。なお、真っ直ぐ行く道は通行禁止のプレートがかかっている。

さらに、左右に笹薮が伸びる道を登って行くと、小広い薮の切り開きがあり、そこが熊倉山への道との分岐点である。酉谷山へは右折する。
ここまでいくつかの分岐を見ており、もっともらしい踏跡もあるが、明確に曲がるのは先ほどの植林帯の分岐とここ熊倉山分岐だけで、いずれも指導標がある。あやしい踏跡には入らないほうがいいと思われる。

熊倉山への道はまだ歩いたことがない。アップダウンの多い難路のようだが、東谷林道から見上げるこの尾根は紅葉真っ盛りだった。自然林が多そうで歩いてみる価値がありそうだ。

小黒までの笹薮 小黒までの笹薮

熊倉山分岐からしばらくは平坦な道が続くが、笹薮の丈はかなり高くなり手でかきわけながら進む。だんだん急坂になり道も不鮮明になってくる。笹薮のトンネルとアップダウンの道に難儀し始めた頃、左手に小黒への直登の道を見る。この登りは手ごわく、後ろにバランスを崩すと危ない。
急登はすぐになだらかとなり小黒の山頂に立つ。樹林に囲まれた寂しい山頂だが、木の間から酉谷山が見え、取り巻く林相も好ましい。このへんは深山の雰囲気がたっぷり、自然林豊かで新緑・紅葉が楽しめる。

酉谷山へはいったん鞍部に下ってからの登り返し。直下の登りは道がはっきりしないが、一応赤テープを目印に登る。上部に明るい日の光が捉えられるようになれば、山頂はすぐである。

酉谷山山頂 酉谷山山頂


この日の酉谷山頂はきれいな紅葉だった。周囲の長沢背稜(水源林道)もカラマツの黄葉、カエデの赤が鮮やかだ。

鳥の声が途切れた瞬間、あたりは全くの無音、静寂が支配する。酉谷山は東京で一番静かな場所ではないかと思う。

酉谷山付近の紅葉
酉谷山東の肩 水源林道
ハナト岩から

歩いた日:2000年10月21日(土)
天候:晴れのち曇り

三峰口駅-(タクシー15分)-大血川渓流釣場-(35分)-酉谷山登山口-(1時間)-植林帯分岐-(40分)-熊倉山分岐-(40分)-小黒-(25分)-酉谷山



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