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芦沢山(あしざわやま)

総歩行時間 5時間(歩行時間 + 道迷い、踏み跡探しなど1時間)

奥多摩と大菩薩山塊を結ぶ峠路に「丹波大菩薩道」があり、この道に沿っていくつかのピークが並んでいる。どれも単独で登られることが少ない無名の山である。
地図

そのうちのひとつ、芦沢山は丹波山村のすぐ裏側に位置する1272mの小峰である。古い文献には手頃なハイキングコースとして紹介されているものもある(丹波バス停にも案内板がある)が、実際登ってみると薮がちで道もはっきりしない、かなり手ごわい山であった。

新ハイキング社「中央線の山を歩く」にこの山が紹介されているが、かなり古い記録(1988年)であり、文中に出てくる廃屋や炭焼き釜は今回見つけられなかった。また、山頂付近は若い杉の植林があり、展望なども当記録とは随分違ってきている。

また、奥多摩山岳会編「奥多摩の尾根と沢」に、芦沢山に近い砥沢(とのさわ)山の踏査記録がある。こちらの記録は現況とかなり一致している。

丹波川から鹿倉山 丹波川から鹿倉山

丹波バス停で下り、丹波川(多摩川)を渡って奥秋キャンプ場へ。
「中央線の山を歩く」の記録では、芦沢山からの下山地がここになっている。あわよくばこちら側から取り付いてみようと、キャンプ場で踏み跡をらしきものを探してみるが、結局発見できず。文献と同じく貝沢林道から取り付くことにする。

奥秋キャンプ場からすぐ近くの貝沢橋を渡り、右折すると貝沢林道。途中で藤ダワへ向かう山道を左に見る。
貝沢川沿いに進む 貝沢川沿いに進む

舗装道路は10分ほどで終わり、登山道となる。すぐに笹が出てくる。しばらくは沢沿いを高巻くが、一度反対側の左岸に移る。
さらに行くと分岐があり、指導標が立っている。左へ下り気味に行く道は「高尾天平・藤タワ」と示している。直進する方向は単に「山道」と書いてある。ここは直進する。左下に沢の流れを見ながら、植林帯の山腹の道が続く。谷は深く切れこみ、日が射さないので寒い。

「中央線の~」では、分岐から20分ほどで廃屋・墓石を見るとあるので、注意していたが見当たらない。ただ、右に植林の急勾配を見るところで しいたけ栽培の跡(青いビニールシートが被さっている)を認めるとともに、やや右上方向に伸びる分岐道があった。この踏み跡は非常にわかりづらい。試しにここを見過ごし、さらに沢沿いに行ってみたらすぐに道を失った。
かすかな踏み跡をたどる かすかな踏み跡をたどる

先ほどの分岐に戻り高度を上げて行く。周囲は薮がちの雑木林となる。しばらくすると、頭上に稜線が見えて来る。そこを目指して、今にも消え入りそうな踏み跡をたどっていく。

急登を終え稜線にたどり着く。山ノ神で、ここには「中央線の~」の通り、祠がある。木の間越しから黒川鶏冠山が望める。左に登ると砥沢山のようだが、背丈近い笹薮に覆われている。右へ、雑木林の中を登っていく。ここもかなりの急坂である。
山頂付近からの展望 山頂付近からの展望
山頂の山名板
山頂の山名板

20分も登ると右側が大きく開け、鹿倉山(ししぐらやま)を中心に御前山・三頭山が眺められる。眼下の斜面には丈1mほどの幼植林帯だ。もう何年かすると植林が育ち、展望が悪くなるかもしれない。
そこから5分弱で、雑木に囲まれた芦沢山の頂上だ。展望はほとんどない。先ほどの展望地で休憩にする。

下山は、ほぼ真東に伸びる尾根を忠実に進む。しばらくは、自然林の中のなだらかな下りで気持ちがいい。ただし、踏み跡はほとんど見当たらない。足首まで埋もれそうな落ち葉のじゅうたんに、もしかすかな踏み跡があっても隠されているだろう。
最初は尾根がやせているのでわかりやすいが、そのうち幅広になってくるのでコース取りに注意。

いったん1148mのピークに登る。その後やや向きを北側に変え、潅木植林の中を下りるようになる。薮がうるさく道もない。意識して北側にコースを取るようにすると、樹林の切れ間から中指山が見え、尾根筋もすっきりしてくる。けれどそれも少しの間だけ。以降は滑り落ちそうな急坂を、木に掴まりながら下りて行く。眼下に丹波山村と青梅街道が見えて来る。

このへんの状況については前出「奥多摩の尾根と沢」にこんな記述がある。砥沢山への登りにこの尾根を使うには、「薮が深いので止めた」と。たしかにそれは言えている。

どんどん高度を下げるが、どこかに北側(奥秋キャンプ場)に下りて行く踏み跡があったのかもしれない。私にはそれがわからず、結局尾根のどん詰まりまで下ってしまった。
いつの間にか、ほとんど崖のようなところを下りてしまい、登り返しもままならない。
木のツルに身動きを阻まれつつ車道の肩に下り立ってしまう。しかしそこには無情にも1mほどの網フェンスが。うまく乗り越えられても、道路へは3mほど飛び降りなければならない。

たまたま居合わせた女性のグループが、タオルを結んで簡易ロープを作り、フェンスから下へ垂らしていた。それを使わせてもらってどうにか車道へ下りた。下りた所は貝沢橋のすぐ横だった。

奥秋キャンプ場に下りれる道がどこにあったのかが謎である。しかし、尾根の末端まで下ってしまったら、あとは崖しかないので、いったん登り返して、北側に下りれそうなところを探すのが懸命である。

歩いた日:2001年12月9日(日)
天候:快晴

丹波バス停-(25分)-貝沢橋-(25分)-藤タワ分岐-(1時間20分)-山ノ神-(20分)-芦沢山-(20分)-1148m峰-(1時間20分)-貝沢橋


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