山の写真集 > 北関東(栃木・茨城) > 古峰原から夕日岳、薬師岳
  • -ツツジ咲く禅頂行者道-
  • 古峰原-地蔵岳-夕日岳-薬師岳-細尾峠-栃木平
  • 前日光
  • 栃木県
  • 地蔵岳(1483m), 夕日岳(1526m), 薬師岳(1420m)
  • 2014年5月24日(土)
  • 15.1km
  • 5時間45分
  • 823m(古峰原-夕日岳)
  • -
  • -
  • 埼京線,宇都宮線,日光線,日光市営バス,東武鉄道
天気

 

2014年5月24日(土)
池袋駅 5:02
  埼京線
5:10 赤羽駅 5:20
  宇都宮線
6:51 宇都宮駅 6:59
  日光線
7:12 鹿沼駅 7:25
  リーバス
8:25   古峰原 8:35
8:50   林道
9:35   林道終点 9:40
10:15 ハガタテ平 10:25
10:55 地蔵岳 11:00
11:15 三ツ目
11:30 夕日岳 12:05
12:20 三ツ目
13:30   薬師岳の肩
13:33 薬師岳 14:05
14:45 細尾峠
15:43 栃木平 16:06
  日光市営バス
16:30 東武日光駅 16:57
  東武日光線区間快速
18:52 北千住駅

 

夕日岳、いい名前の山だとかねてから思っていた。ツツジの多い山域なので、今がいいだろう。
中禅寺湖南岸の茶ノ木平から南下する尾根道は昔、禅頂行者道として修行に使われていたという。数年前に薬師岳から東進し三ノ宿山方面へ向かったが、今回はこの南北に伸びる尾根を歩き、夕日岳登頂を目指す。
東京の自宅を早発ちすれば、JR鹿沼駅から登山口へ向かう一番バスに乗れるので、南から北上するルートとした。この場合、細尾峠から茶ノ木平へは長い登り返しとなり時間がかかるため、細尾峠でバスのある栃木平へ下山するのが現実的である。
東京からはちょっと遠い前日光の1日日帰りコースとしては、充実したいいプランと思われる。


三ツ目付近から、薬師岳までの稜線越しに男体山、残雪の日光白根山を望む

古峯神社

古峯神社

古峯神社は天狗を祭神の使いとして崇められてきた。境内には大きな天狗の石像がある

天狗の社

古峰原林道の入口。地蔵岳への直接の登路となる

林道入口

古峰原林道は木々も濃緑になりつつある

緑濃くなる

ハガタテ平への登りは杉林の中を行く場所が多いが、細い沢沿いにバイケイソウの葉が伸びてきていた

バイケイソウも

ハガタテ平周辺は淡い新緑

ハガタテ平

トウゴクミツバツツジはあちこちで満開の木が見られた。ハガタテ平~地蔵岳間

満開に

トウゴクミツバツツジ

トウゴクミツバツツジ

地蔵岳山頂は展望乏しいが広葉樹に囲まれて小広く、休憩適地

地蔵岳山頂

地蔵岳から先は、大きな登りのない尾根道が続く

穏やかな稜線

シロヤシオ(三ツ目付近)

シロヤシオ

夕日岳山頂から、男体山(中央)、女峰山(中央右)、日光白根山(左)を望む

夕日岳から

小さなアップダウンをいくつか越えていく

小さなアップダウン


JR鹿沼駅には初めて降りる。駅周辺にはコンビニもなく、朝早いとあって静かだ。少し昔の郊外の駅は、みんなこんな雰囲気だったと思う。駅前には大きなクスノキが鮮やかな緑をつけている。
バスは郊外の地から田畑の緑が綺麗な田園地帯、丘陵地に移り変わっていく。栃木の山里らしい箱庭のような集落が春の日差しを浴びて明るい。そして周囲の山がどんどん高くなっていき、道路も標高を上げていく。着いた古峰原神社バス停は標高700mである。

開店準備中のみやげ物屋の前を通り、まずは古峯神社の鳥居をくぐってみる。1300年前に創始された古峯神社は日本武尊を御祭神とし、別名「天狗の社」と言われている。境内にも天狗の石像がある。なお、バス停の名前は古峰原(こぶがはら)神社だが、神社の正式な名前は古峯(ふるみね)神社である。朝早くから行楽客も来ていて、大きな駐車場にもすでに車が何台か停まっていた。

神社から、車道を西へ進む。このまま直進すれば古峰原峠に至り、そこから行者岳を経て今回のルートに合流するコースもあるほか、前日光高原と言われる横根山への縦走コースもある。今日は車道を途中で右折し、地蔵岳へ直接登る林道に入る。
少し下った後、小屋を見て橋を渡る。ヤマツツジが深紅の花をつけている。林道はその後、緩やかな登りとなる。ところどころ枝道が分岐するが、メインの太い道を行く。足元にはツボスミレを見るくらいで、草花の季節はもう過ぎたようだ。

日差しが照りつけ朝から蒸し暑さを感じる。右手に、樹林の間から1222mピークと思われる緑の山が覗くがまだ高い。
それほどきつい傾斜でないところに、ジグザグに道が切られているので、高度をなかなか稼げない登りである。けれどそのおかげで最初から疲れてしまうこともなく、新緑の中淡々と進む。
そんな林道もやがて傾斜がきつくなり始め、ジープでさえ走るのが困難となるくらいに、道面も荒れてきた。突然林道は行き止まりとなり、そこから登山道が伸びていた。この場所には林道終点とも何も書かれていない。

杉林の中の登りが始まる。さすがに登山道となるとひんやりして、しのぎやすくなった。何度か小さな沢をまたぐ。ニリンソウが咲いていた。
薄暗い中を登っていくとやがて、周囲は広葉樹が増えてくるが、歩いている場所だけは依然として杉林に囲まれている。ただし細い水の流れが時々現れ、バイケイソウの葉も多く見られて瑞々しい感じがある。

かなり高度を上げたと思う頃、明るい平坦地に飛び出した、ハガタテ平である。峠状になっていて、左は古峰原峠からの道、右へはこれから進む地蔵岳~細尾峠方面である。正面には男体山と思われる大きな山が樹林越しに望めた。
周囲はまだ淡い新緑で、明るく気持ちのよい場所である。芽吹きの程度からして、シロヤシオなどツツジにはちょっと早かったかなと思ったが、地蔵岳方面へ少し登り出すと、トウゴクミツバツツジとシロヤシオが並んで咲いていた。特にトウゴクミツバツツジは斜面にずっと咲き続いていて圧巻である。今年はどの山域でもこれらツツジがよく咲いている。
道は尾根筋に直に登らず、いったん右斜面へトラバースする。このあたりは道が細く急坂が続き、少しきつい。先ほど見えていた1222mピークから伸びる南側の尾根に合流し、ひとしきりの急登で地蔵岳に到着した。
山頂は芽吹きも浅く、季節が少し戻った感じだ。木々に囲まれて展望は乏しいが明るく、山頂らしい山頂だ。傍らには修験道の名残りであろうか、石祠があり地蔵碑が奉られている。

禅頂行者道らしく、随所に地蔵などの祭られた石祠が見られる

石祠のある稜線

薬師岳山頂

薬師岳

薬師岳~細尾峠間はシロヤシオが満開だった

シロヤシオ満開

シロヤシオの下をくぐる

トンネルのよう

ヤマツツジも咲き始めていた

ヤマツツジも

薬師岳~細尾峠間の崩壊地手前からは、南側の眺めがいい

時々開ける展望

細尾峠

細尾峠

林道が国道と合流する200m手前には「長い長い峠道」の案内板が設置されていた

長い長い

栃木平バス停は木の葉に隠されているので、うっかりしていると見逃してしまう

栃木平バス停


古峰原から標高差750mを登ってきたので、ここからはもうきつい登りはないはず。ツツジ咲く稜線をのんびり歩く。
枝越しに覗くまだら雪の頂は日光白根山だ。伸びやかで、歩いていて楽しい道である。高い木が少なく、シロヤシオやトウゴクミツバツツジが目線の位置にある。ただ、標高1400mではやはり蕾が多い。それでもアカヤシオの残り花まで見られた。

三ツ目で稜線を外れ、右手に見えている夕日岳へ歩を進める。この稜線上で最高峰の夕日岳は、ここから見るとけっこう尖った峰である。いったん下ったところで、左側(北側)にある岩は中岩と言うらしい。眺めがよさそうなので帰りに寄ってみよう。
小さなアップダウンがあり、笹原状の斜面を見ながらひと登りすると、夕日岳の山頂だった。今まで静かな道でも、山頂には多くの登山者が休憩している。
北面が切り開かれ、男体山や日光白根山、女峰山などが横一列に並んでいる。手前の木が少し展望の妨げになりつつあるが、十分の眺めである。今年の夏はぜひ、女峰山を中心とした表日光連峰縦走をしてみたい。
山頂の東のほうにも、樹林の中だが小広い休憩地がある。その東側にもどうやら夕日岳新道という登山道があるようだ。

登山者がどんどんやってくるので山頂を辞し、さっきの中岩に行ってみる。岩の上に立つと、こちらは樹林に邪魔されずに表日光の山々が望め、さらにこれから歩く緑の稜線を見下ろすことが出来た。
ただ、岩の上は日差しが届いて暖かいせいか、虫がすごい。ゆっくり休憩することは出来ず、三ツ目まで戻った。

三ツ目から先は下り勾配の道となる。展望のよい岩棚があって、ここからも男体山や茶ノ木平がよく見える。薬師岳は意外と目立たず、緩やかな高まりにしか見えない。
細尾峠方面からやってくる登山者と多くすれ違う。細尾峠まで車で来て、夕日岳を往復する人が多い。
高度を落とすとやはり、トウゴクやシロヤシオが急に多くなった。またヤマツツジも見られるようになり、3色の彩りが新緑の稜線に文字通り花を添えている。
低い笹生えの稜線は、小さなコブの上下が続き意外とエネルギーを消費する。それでも花の多さに励まされる。このあたりの尾根筋はツツジの木ばかりといっても大げさでないくらいだ。今年のような当たり年で満開の時期を迎えたらさぞかしすごいことだろう。トウゴク、シロヤシオのトンネルになりそうだ。

薬師岳の肩に着く。細尾峠への道を分け、ほんの数分の緩い登りで薬師岳山頂に到着する。ここにもアカヤシオが咲き残っていた。
以前来た時は日光連山がよく見えた気がするのだが、木の枝がさえぎって期待したほどの眺めは得られない。それでも今日最後の好展望の山頂なので、ゆっくりしていくことにする。

薬師岳の肩まで下る。ここから細尾峠まで急激に高度を落としていく。思ったとおり、この区間がシロヤシオ、トウゴクともに一番の咲きっぷりだった。新緑もきれいでまさに今日のコースのハイライトだ。
ヤセ尾根を通過し、緩やかになるとシロヤシオは見られなくなってかわりにヤマツツジが出てくる。やがて車道が見えてきて細尾峠に下り立つ。

前後して歩いていた人が「お疲れさま」と声をかけてきた。皆さんはここに車を停めているのでそういう挨拶になるが、自分はまだ下山の途中である。峠を横断する車道を、西に下っていく。
この道は日光と足尾を結ぶ古い峠道だ。昔は両地区間の交易の道として大いに賑わったそうだが、日足トンネルが開通した現在は、この道を使う人は登山者や紅葉狩りなどの行楽客くらいしかいないらしい。
登山者も、ここ細尾峠まで車かタクシーで来るのがほとんどで、1時間ほど下ったところに日光市営バスのバス停があることは、意外と知られていない。今日はこのルートを使う。

ジグザグの下りからいったん直線状になり、再び急なジグザグ道へ。ここを地蔵坂というようだ。ときどき南方向に、山に囲まれた町並みが覗く。車道歩きでも周囲は広葉樹の森で気が紛れる。
日足トンネル出口のある国道に近づいたのか、車の走る音が聞こえてきた。平坦な道を歩いていくとやがてゲートに出会う。案内板が立ち「長い長い峠道」との紹介がされていた。ここから細尾峠まで4km、さらに日光側の細尾まで8kmだそうで、峠越えの長い道程が説明されている。でも自分は、細尾峠を起点に意外と早く下れたので、長いという印象はなかった。栃木平バス停は、国道に合流して数分歩いたところにあった。

16時台に日光行きと足尾行きのバスがあるが、日光行きのほうが早く来たので、そちらに乗っていく。20数分の乗車なのに770円もした。行きの古峰原行きのリーバスは1時間以上乗って400円。日光のバスは観光路線、リーバスはどちらかというと生活路線なのでこのような差が出るのだろう。
東武日光駅では区間快速がちょうどの発車だった。外人さんのいっぱい乗る電車で日光の地を離れる。