山の写真集 > 北関東(栃木) > 高原山(鶏頂山・釈迦ヶ岳)
  • -展望秀でた信仰の山-
  • 西口登山口-弁天沼-鶏頂山-釈迦ヶ岳
  • 那須・塩原
  • 栃木県
  • 鶏頂山(1765m),御嶽山(1690m),釈迦ヶ岳(1795m)
  • 2015年10月4日(日)
  • 10.0km
  • 4時間20分
  • 562m(西口登山口-釈迦ヶ岳)
  • -
  • 奥塩原温泉共同浴場
  • マイカー
天気1

 

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2015年10月4日(日)
富ヶ谷IC 3:40
  首都高
東北自動車道
白河IC 6:05
  国道289号
6:45 道の駅下郷 7:00
  国道121,400号
日塩もみじライン
8:55   西口登山口 9:00
9:17   林道出合
9:30   鶏頂山荘コース合流
10:00   弁天沼 10:05
10:40 鶏頂山 11:00
11:30 御嶽山
12:00 釈迦ヶ岳 12:30
13:00 下降点
13:23   弁天沼
13:40   大沼 13:50
14:30 西口登山口
  日塩もみじライン
奥塩原温泉立寄り
国道400号
16:45 西那須野塩原IC
  東北自動車道
首都高
18:50 五反田IC

 

紅葉の名山、那須岳に福島県側から登ろうと考え、白河インターから国道を西進。甲子トンネルを抜けると山は何とガス一色で、今にも雨が降りそうだった。
関東地方は秋晴れだが、南東北を寒冷前線が通過中であり、福島との県境はその影響をもろに受けた形だ。まあいい天気ではないと予想はしていたが、これほどとは。
鏡沼から須立山、三本槍岳に登り大峠を経由して戻る、なかなかいいコースである。しかしこの空模様では、いっぺんにやる気が失せた。


紅葉の衣をまとい始めた鶏頂山

日塩もみじライン沿いにある鶏頂山登山口(西口登山口)

西口登山口

西口登山道は穏やかな笹の中の道が続く

穏やかな笹の道

前方に稜線が見えてくるとようやく眺めが開けた。リフトの発着所跡があったのでスキーゲレンデの上部だったか

以前はスキー場

弁天沼の鳥居。ここから稜線まで急な登りになる

弁天沼

弁天沼の鳥居付近にある石標

石標

稜線に上がるとツツジなどの紅葉が見られた

稜線は紅葉

鶏頂山へは紅葉の中の急登を行く

山頂へもう一息

鶏頂山山頂

鶏頂山山頂

鶏頂山山頂直下の稜線から、御嶽山(左)と釈迦ヶ岳を望む

御嶽山と釈迦ヶ岳


帰ろうかと思ったが、せっかくここまで車で来たのでもったいない。地図を眺め、まだ未踏の高原山に登ることを考えた。ここ下郷からは国道、県道をおよそ2時間。近くはないがどうせ帰る方向だ。ついに雨がポツポツ落ちてきた中、会津の街道へ下ってから国道を南下する。
塩原温泉に入るあたりで天気は持ち直し、青空が広がった。有料道路の日塩もみじラインに入る。奥塩原温泉の共同浴場の横を通ると料金所があったが、支払いは出口の鬼怒川口でお願いします、との表示があった。

9時に西口登山口に着く。駐車場はもみじライン沿いににあったが、何も表示はなく見逃しそうだ。標高は1200mを超え、風が爽やかである。
鳥居をくぐって歩き始める。カラマツ林の中を緩やかに登り、林道を横断してさらに行くと小広いススキの原に出る。もとはスキー場で、このあたりには何本ものゲレンデやリフトがあったようだが、いまは当時のコース案内図があるだけの草地になっている。
元々は西口登山口の少し北の、鶏頂山荘からの登山道のほうが主流で、この西口登山道と合流するようになっていたようだ。しかしスキー場が閉鎖された影響もあるのか、合流してくるその道もあまりはっきりしていなかった。

防火帯状の平坦な笹原を一直線に進むと少し眺めが開け、前方に鶏頂山らしき山稜が見えた。ここにはスキー場案内板とリフト発着所の跡がある。
ヒノキなどの薄暗い樹林帯を抜けるとぬかるみがあり、その先に大沼への入口が分岐している。
道はやや下り気味となり、弁天沼に着いた。木の鳥居があり、「ここより神域、大小用は山に背を向けて下さい」なんていう看板が。たしかにここまでは人気(ひとけ)くさい感じの山道だったが、鳥居より先は荘厳な山の雰囲気がある。石標には「鶏頂山」「釈迦岳」「御嶽山」を示している。

高原山はこの上に伸びる山稜の総称であり、実際は釈迦ヶ岳と鶏頂山が主峰として多くの人の登山の対象となっている。御嶽山は両峰の稜線上にある山である。
山名が表すように信仰の山として古い歴史があり、鶏頂山は今から1700年前に開山されたとなっている。

笹の道を急登する。今までがのんびりした道だったため、この坂はかなりきつい。水場が分岐していたが、どのくらい離れているのかよくわからない。高度をあげるにつれ周囲の木々はどんどん色づいていった。
意外と早く稜線に出る。反対側は切れ落ち、展望が広がっていた。左手に釈迦ヶ岳と思われる大きな山が見える。方向は右、鶏頂山へ。これが、すぐ着くものと思っていたら再びの急登。やはり下調べが不十分だと勝手が悪い。危険というほどではないが、やせた稜線もあり足元を確かめながら登る。

紅葉に励まされながら登りきると神社があり、その先が鶏頂山の山頂だった。狭いながらも社の後ろが展望地になっており、正面に釈迦ヶ岳が大きい。また御嶽山から釈迦ヶ岳へ続くガレた稜線もよく見渡せる。ただ、曇りがちで、遠望が効かないのが残念。腰を下ろしてしばらく休憩する。涼しい風が通り、急登の疲れをいやしてくれる。

稜線南側に落ち込む谷間は古い火口跡らしい

谷間を埋める紅葉

大きく開けた釈迦ヶ岳山頂

広い展望

釈迦ヶ岳南面には、中岳・西平岳へ続く開放的な尾根道が伸びていた

南面の尾根筋

釈迦ヶ岳南面に広がる笹腹

広い笹原

奥塩原温泉には3つの共同浴場がある。一番奥にある中ノ湯が空いていた

にごり湯独占

奥塩原温泉の上部には、白っぽい硫黄噴出跡がむき出しになっているのが見える

硫黄噴出跡


来た道を戻る。山頂に居合わせたから「あっち(釈迦ヶ岳)も行くんですか」と聞かれたので、はいと答える。稜線伝いに行く道は、笹と樹林の中が主だがところどころでガレ場側の眺めが開け、火口跡と言われる谷間の紅葉がきれいだ。
登ってきた道の先にもう1本、弁天池へ下る道を分け、ほどなく同じ側に明神岳に通ずる登山道を合わせる。短い距離の間に3本の分岐が連続し、標識がどれも古くて小さいので、うっかり間違って下ってしまう人もいるのではないかと思う。今日登る予定のなかった自分も注意が必要だ。

御嶽山から先も稜線伝いの小さなアップダウンが続く。ツツジを中心とした紅葉はこのあたりで見頃になっている。眺めのよいところで振り返ると鶏頂山の丸い山体も、控え目ながら紅葉の衣をまとっていた。
釈迦ヶ岳への登りは本日一番の頑張りどころ。手を使うようなところもあり、時々立ち止まりながら高度を上げる。傾斜が緩くなるとさらにもう1本、大間々台・剣ヶ峰からの道を合わせ、少しの距離で釈迦ヶ岳山頂となる。

ここは360度の展望。南面に笹原が開け、中岳~西平岳へ続く稜線が形よい。雲が多く、もう日も高くなってしまったせいか遠くの眺めは霞んで見えるのみ。眼下には栃木県南部の平野や鬼怒川方面が見下ろせる程度だで、ゴルフ場がたくさん目についた。
高原山はいくつかの峰を連ねているとは言っても、周囲に目立った山稜がなく、独立峰的な位置取りとなっている。北側に望める那須岳や西の奥日光の山も少し距離が離れている。
山頂は家族連れ他、多くの人で賑わっていた。この山は四方から登山道が伸びており、目の前の西平岳からの尾根道や、大間々台コースなど展望のよいコース、また季節運行だがゴンドラ利用のコースもある。季節を変えルートを変え、登りやすく楽しめる山のひとつだろう。今日は奥那須から戻る途中の西口登山道を歩いたが、このコースは歩きやすい反面地味である。

登ってきた道を下る。何本かある分岐道を間違えないように、2つ目の道で右に折れる。弁天沼への近道であるが、笹の勢いがよく刈り払いが十分でないところがあり、迷いやすい。それでもすぐに斜度を失い、緩やかな下りの後弁天沼に到着。
行きにやり過ごした大沼へ寄っていくことにする。標柱を左に行き、カラマツの中を数分。鶏頂山をバックにした大沼のほとりに出た。春は花が咲くところであろう。また、大沼から先も登山道が伸びており、どうやら西口登山口よりもっと南のほうに出そうである。鹿がその登山道を横切っていった。

ルートに戻り、あとは来た道を辿るのみ。14時30分、西口登山口に到着した。代案の山にしては大きくまた展望もあり、楽しめる山だった。

ここに来たら、帰りはやはり奥塩原温泉の共同浴場に寄るであろう。もみじラインを来た方向へ戻る。行きには誰もいなかった料金所に人がいて、しっかり410円を取られた。
そのすぐ先が、硫黄の香り豊かな奥塩原温泉である。10年前、新湯富士・日留賀岳に登ったときに入ってとてもよかったのだが、今日は奥那須に登っていれば来なかったので、思いがけない再訪となった。日曜の夕方近いこともあり、温泉街は静かである。共同浴場「中の湯」も初めは誰もおらず、にごり湯を独占できた。そのうち何人か入ってきたが、山と温泉の話でつい長風呂になり、楽しいひと時を過ごせた。

さあ日も短くなってきたし、あまりのんびりできない。今日は満足の一日だった。向かいの店で温泉玉子を買い帰路に着く。