山の写真集 > 北関東(群馬) > 小沢岳と大屋山
  • -西上州の展望峰2座を巡る-
  • 七久保-小沢岳, 蓼沼-大屋山
  • 西上州
  • 群馬県
  • 小沢岳(1090m),大屋山(1081m)
  • 2013年4月13日(土)
  • 5.3km / 2.8km
  • 1時間45分 / 1時間40分
  • 405m(七久保登山口-小沢岳),
    350m(蓼沼集落-大屋山)
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  • マイカー
天気1

 

2013年4月13日(土)
富ヶ谷ランプ 5:45
  首都高
関越自動車道
上信越自動車道
下仁田IC 8:05
  国道254号,県道45,172号
8:45 七久保登山口
9:05   椚峠
9:35   前衛峰
9:45 小沢岳 10:25
10:52 椚峠
11:10 七久保登山口 11:15
  県道172号,国道254号他
12:15 蓼沼登山口
12:50   明神宮・蓼沼
13:07 大屋山
13:15 露岩ピーク 13:35
13;43   大屋山
13:55   明神宮・蓼沼分岐
14:15 蓼沼登山口
  国道254号,県道172,45号他
六車「カタクリの小径」
道の駅しもにた
16:30 下仁田IC
  上信越自動車道
関越自動車道
18:34 小出IC
19:00 小出ホテルオカベ(泊)

 

この土曜日は、西上州の山でまだ登っていない2座に登った。小沢岳はその端正な形から「西上州のマッターホルン」「下仁田槍」などと呼ばれているが、岩山の多い西上州の中では比較的登りやすい。
「ひとつ花」という風流な別名をもつアカヤシオは、開花にはまだ早いか。10年前の同じ時期に、黒滝山の前衛ピークである鷹ノ巣山でアカヤシオを見れたので、少し期待して出かけた。

翌日の赤崩山へ


大屋山登山口となる一軒家の上部からは、西上州の山の眺めがいい

椚峠は林道が乗っ越している。登山道は正面の細尾根に上がる

椚峠

椚峠の傍らには石仏が佇む

石仏が佇む

小沢岳へはほぼ一本道の尾根を辿る

小沢岳へ

小沢岳の西側の岩棚からの眺め。西上州の山々の奥、左方に蓼科山や北八ツの峰々、右奥の雪山は北アルプスと思われる

大きく開けた眺め

小沢岳から北方の眺め。妙義山と上信越の山々

ギザギザは妙義山

浅間山を望む。山頂のアカヤシオはかなり色づいてきたがまだ開花せず

アカヤシオはまだ

登山道に沿う林道は、ところどころ開けて浅間山などが見える

林道から

上信越道を下仁田ICで下りる。下仁田駅付近を通過し国道を西に進むと、周囲は次第に山里の風景に移り変わっていく。日差しが明るく、車の中にいるのがもったいない。坊主渕バス停を過ぎ山に入っていくと両側に岩壁が迫る。高いところには芽吹いた葉やミツバツツジが日光に揺らいでいた。
七久保橋で舗装道路は終わり、ダートの道に入る。終点の椚峠(くぬぎとうげ)までは普通車ではきついということなので、適当なところで駐車スペースを見つけ、歩き始めることにした。

林道を歩くとすぐ先に駐車スペースがあった。林床にはハシリドコロやハナネコノメが咲いているが、スミレは少ない。このあたりはまだ早春の趣きで、奥多摩など南関東の山地とは季節が1週間から2週間ほど遅れている。石仏を見るとすぐに椚峠。林道工事中で周囲は明るい雰囲気になっていたが、伐採が入り殺風景な印象である。
ここから登山道が始まる。尾根通しの道は人工林の中だが、左手の眺めが割ときき、遠くの山並みが見える。進行方向左側には浅間山がよく見える。もっと西側に雪を被っているのは蓼科山、八ヶ岳あたりだろうか。今年登った茂来山も大きく頭をもたげている。またすぐ隣りのゴツゴツは怪峰・桧沢岳である。
登山道に沿って、左下に林道のようなものが伸びている。この林道はこの先の前衛峰まで続いていた。その前衛峰に登り着くころにはかなり山深い雰囲気になり、いったん下った先からは自然林の尾根になる。
青空が目に染み渡るようになると、小沢岳頂上である。祠と三角点が鎮座している。周囲を低潅木に囲まれているが、展望は素晴らしい。西側の一段下がった場所に出るとさらに広いパノラマの眺めである。今まで樹林越しの眺めだった浅間山や八ヶ岳方面の他、荒船山や物語山など西上州の山々、妙義山の背後には信越か谷川連峰か、白い山並みがよく見える。

マッターホルンの別名を持つように、小沢岳頂上からの眺めは他の西上州の山とは違った独特の高度感があり、どこか他の高い山から見渡しているような印象がある。人気がありそうな山とは思うが、今日ここまで出会った登山者はたったの3人だけだ。それもそのはず、アカヤシオは結局開花前であったのだ。頂上にアカヤシオがあるとは知っていたのだがまだ蕾だった。小沢岳は標高が1000mを越えていることもあり、10年前の黒滝山(700~800m)とは少し開花時期がずれていても不思議ではない。
花を期待してこれほど大きくハズしたのは、久しぶりである。まあこんなこともあるから、山は奥深い趣味だと言える。

大屋山登路の途中、蓼沼は小さい池だが周囲に落葉樹もあり休憩適地

蓼沼

大屋山頂稜部は自然林のヤセ尾根が続く

ヤセ尾根を辿る

大屋山山頂は三角点があるだけの狭い場所。樹林が茂り見晴しはあまりよくない

大屋山山頂

大屋山の露岩ピークからは、「西上州のドロミテ」立岩の存在が大きい

立岩が高い

露岩ピークから、樹林がいくぶん邪魔をするが毛無岩のゴツゴツも見える

毛無岩も

下山は往路を戻るが、登りで見ていた林道を下ることにした。時間的にはほとんど差はない。下部の方は落葉樹下となっていた。途中で大きな崩落があり、この林道を使って車で前衛峰まで上がることは無理である。
駐車スペースに戻ったのは11時過ぎ。国道まで下りて花咲く山里を走り、六車まで行く。川沿いの国道は桜をはじめミツバツツジ、ミツマタやレンギョウ、また民家の庭先にもたくさんの花が咲き揃っていて、いよいよ春本番という雰囲気だ。

六車(むぐるま)で南牧川を渡り、緩い坂を上る。黒滝山に通じる道と別れ、ジグザグに上っていく。地図では蓼沼(たでぬま)という集落まで車は入れそうだ。「大屋山へ」との標識が掲げられた登山口らしき広場に着く。周囲はまだ冬の佇まいだ。地面には早春の花オオイヌノフグリが咲いているくらいなので、おそらくこの上にもアカヤシオは見られないだろう。ここから歩いてもよかったが、さらに上まで行けそうなのでさらに車を走らす。
やがて、斜面に一軒の民家が建つ台地に出た(蓼沼登山口)。その家に向かう細い道に「大屋山登口」との表示があるので、ここから登れそうだ。路肩に駐車させてもらって出発する。

一軒家の裏手のカヤトの斜面に道はつけられていた。ここからの眺めは素晴らしく、この家の人は毎日こんな眺めを見ながら暮らしているのか、とうらやましく思う。しかしこの家には住人はいるのか。窓はカーテンで閉ざされ、戸口には一応表札のようなものは掲げられているが、人の気配は感じられない。裏の戸口が開け放たれており、部屋には建材が積まれている。何やら資材置き場のようにも使われているようだ。
カヤトの斜面が尽きると山に入る。進行方向の地面には木の枝で罰点の形が作られている。罰点は「この先行き止まり」の意味を表すことが多いので不安に思ったが、罰点の先の道にはちゃんとビニールテープがついている。大屋山へはおそらくこの道でよいのだろう。
この山もしばらくは植林の中の薄暗い道だ。小さな尾根を越えると「清水あります」との標識。この先は広い尾根の登りが続き、道がわかりにくいところがある。テープが頼りになる場所も多い。大屋山への近道と分かれ、「蓼沼・明神宮」の方向に進んでみる。祠があるその先にトタン屋根の休憩場があった。蓼沼といっても広さはおよそ畳6畳分もない、猫の額のような池である。ただ一帯は落葉樹が多いので、新緑の頃はそれなりに見所のある場所かもしれない。

南牧川沿いの六車地区はソメイヨシノが7,8分咲き

満開にはまだ

六車地区の北側斜面「カタクリの小径」では山野草が多く見られる。カタクリはほぼ終わっていたが咲き残りもあった

カタクリの小径

カタクリの小径から、ツツジ咲く六車地区を見下ろす

春を迎える

落葉樹と植林の境目を登っていく。やがて明るい尾根道となり、木の枝越しではあるが展望も開ける。登り着いた大屋山は三角点があるが、人1人か2人くらいしか留まれない狭い山頂だった。この先に展望地があるというので、そのまま尾根通しに進む。やせた尾根を歩いていくとアブラチャンやキブシなどの木の花が多くなった。気分のいい場所である。

行きついた露岩ピークは低潅木の上に周囲の山の眺めが広く見渡せた。目を惹くのは真正面、2つのピークがいかつい立岩(たついわ)である。すごく近くに見えるので圧巻だ。荒船山や毛無岩なども見えるが、木の枝が少し邪魔をし、360度のパノラマではない。少し先にある岩の突端まで行けば遮るものはないのだが、危険を伴うので一般にはこの地点までだろう。

来た道を戻る。蓼沼経由でない直接の道をたんたんと下っていく。露岩ピークから蓼沼登山口までは、40分そこそこで下ってしまった。大屋山で出会ったのも3名程度。今日は天候のよい休日であったにもかかわらず、小沢岳・大屋山いずれも静かで滋味溢れる山であった。両方とも岩場があまりなく凍結の心配も少ないから、展望を求めての冬の山行もいいかもしれない。 六車まで車で下り、「カタクリの小径(こみち)」と呼ばれる自生地に寄っていくことにする。カタクリの見頃は先週までだったようで、花はほとんど終わっていたが、明るい斜面にヤマエンゴサクやシロバナエンレイソウが咲いていた。歩きやすい歩道が整備され、記念碑やベンチなどがあって集落の人々がこの場所を大切に扱っている様子がうかがい知れた。

車で西上州の山をハシゴするのは後ろめたい、というかもったいない気持ちがある。山麓の集落の佇まいが独特で惹かれるものがあるので、急ぎ足で通り過ぎるには惜しい山域である。そんな意味で今日はどちらかひとつの山のみの計画でもよかったかもしれない。ちょっと欲張りすぎた。

今回のメインイベントは明日、日曜日である。新潟県小出駅前のビジネスホテルに予約を入れて、上信越道、関越と乗り継ぐ。

翌日の赤崩山へ