~上越の山の展望台、タフな三山縦走路~ おのこやま(1208m)からじゅうにがたけ(1201m) 2003年5月4日(日) 曇り時々晴れ 6:14JR高崎駅-[吾妻線]-6:50小野上駅-7:10甲里(林道入口)-8:15登山口8:25-9:15雨乞山9:25-10:15小野子山10:40-10:55鞍部-11:15中ノ岳11:25-11:35鞍部-11:50十二ガ岳12:30-13:20林道終点-13:40採石場-14:30小野上温泉駅16:52-[吾妻線]-17:24高崎駅17:27-[快速アーバン]-19:12赤羽駅 歩行時間:6時間05分 |
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高崎駅から、2両編成の吾妻(あがつま)線一番電車に乗る。右に赤城山、左に榛名山、正面に子持山などを眺めながら、小野上駅で下車する。 小野子山から十二ガ岳の縦走は、ここ数年来ずっと楽しみにしていたコースだ。 前日の立岩・荒船山へ
●小野上駅から長い里道を上る 吾妻川沿いに国道をしばらく歩き、「小野子山登山道」と書かれた標識に従い左折する。反対側には小野上農協の小さなこんにゃく貯蔵庫が建っている。 集落を縫うように、舗装林道をだらだらと登って行く。背後に榛名山のユニークな突起群が並んでいる。なかなかいい眺めだ。 この林道は地図で見る以上に複雑に入り組んでいて、距離も長い。駅から1時間歩いたのに、導標によると登山口までまだ1.6kmもある。 途中にこのコースの案内板が立っていて、各ポイント間の距離も詳しく書かれている。今日の歩程を合計してみると、何と14.5kmもあった。昨日が思った以上にタフな行程だったので、今日はのんびりと行きたい気もするのだが、やはり決めたコースで通したい。 国道を左折してから登山口まで3.8kmの舗装林道の登りであった。少し休憩する。 新緑の登山口に入ると最初の数100mこそ緩やかだが、それ以降は斜度のきつい直登がこれでもかと続く。NHKの電波塔を過ぎ、岩がちの尾根に乗る。 ヤマツツジやミツバツツジがあちこちに咲き、ほっとする。瑞々しい新緑の尾根道となりスミレも多い。しかしそういった雰囲気もつかの間、道はさらに急登の連続である。見える稜線ははるか上で、先が長いことを予想させる。 いったん下って、正面に見える三角すい形のピークを目指す。かなり高度をかせいでいるので、あれが小野子山であってもいいなと考えるがやはり雨乞山(931m)であった。樹林の頂で展望はない。まだあと標高差250m余りを残している。
遊びのない急登はさらに続く。このコースは駅から登れるのに、なぜ山行報告が少ないのかと不思議だったが、そういうことだったのか。わらび荘から姉妹ツツジを経て登るコースが急登も少なく一般的のようで、ガイドなどはみなそのコースを取り上げている。 何度もだまされたあげくやっと着いた小野子山頂上(1208m)では、その方面からぞくぞく人が登って来ていた。登りに3時間以上かかった山は、久しぶりである。 わらび荘方面から来た夫婦に、小野上駅から来たと言うと、あの道は直登で大変ね、と自分が思っていたことそのままを代弁してくれる。 北側に残雪の谷川連峰が望める。春霞みの中、見えないかもしれないと思っていたが、どうにか見れてよかった。ただし、小野子山頂付近はカラマツが生育し、アルペンガイド掲載の写真のような展望は得られなくなっている。日光白根山も芽吹きのカラマツに大方隠されている。 しかし明るい、のんびり出来る山頂だ。中ノ岳に向かう稜線が大きく落ち込んでいるのを見て、こりゃもうひと頑張り、ふた頑張りせねばならないと思った。 ●小野子山からアップダウンの多い三山縦走 展望のよい道を、鞍部までやはり大きく下る。小野子山の北面は一面のカラマツの植林である。芽吹いてはいるが、どこか人工的な匂いを感じる。 頂上から200mくらい下ってしまっただろうか。反対側の東村に下る道を分け、今度は急登をあえぎながら、狭い中ノ岳頂上(1188m)へ。樹林が目隠しをして展望は乏しい。 360度展望の十二ガ岳へ向かう。やはり最初は大きく下る。 もうそろそろ最低鞍部だろうと思って歩くと、さらに下りが続いている。もうこうなったらやけくそだ。再び東村に下る道に出会ったところが鞍部。女坂を分け、登り返しとなる。斜度はきついが、岩混じりの登りなのでそれほどつらさを感じず登れる。 数箇所眺めのよい場所があり、やがて展望絶大の十二ガ岳頂上(1201m)だ。30名ほどがお昼休憩をしている。軽装の家族連れが多くを占めている。犬や赤ん坊までいる。お母さんがおぶってきたのだろうか。地元の人々に人気の山であることが伺える。 小野子三山を縦走する人はあまりいなく、東村からこの十二ガ岳だけに登って来ている人が多いようだ。双眼鏡で自分の家を探している人もいる。 すでに12時を過ぎ、谷川岳や白根山は春霞みの中に溶け込んでしまっている。西面は雲が厚く展望が利かない。しかし今歩いて来た小野子・中ノ岳の稜線やその奥の子持山の展望、そして南面にはやはり榛名山群が特徴的だ。 子持山とともに、ここはやはり晩秋の展望の利く季節に再訪したいものだ。
西に続く下山路を取る。すぐに女坂から来る道に出会う。この十二ガ岳は東側からアプローチする場合も、女坂で北面を巻いて、西側から登った方が楽かもしれない。岩場に弱い人には特にそれを薦める。 大原への道を分け、塩川温泉の方向に進む。塩川温泉は、今では小野上温泉と呼ぶのが一般的になっているようだ。 急坂、見透し台を経て新緑の森に入る。頂上から1時間もしないうちに登山口、林道に下り立った。どうやらエアリアマップに書かれているよりもさらに、林道は上の方まで延伸されているようだ。ということは、思ったより長く舗装道路を歩くことになってしまったということだ。 採石場の横を通る。周囲の山肌は無残に白く削られている。蒸し暑ささえ覚える谷あいの車道下りは、もはや夏の趣き。1時間強でようやく街並み、線路が見えて来る。十字路で右に折れ、佐久間神社の前の石段を下る。 ずっとあこがれていた山行は必ずしも満足のいくものではなかったが、久しぶりに人の賑わう山を巡れたことで、また違った春山の雰囲気を感じることが出来た。 駅のすぐそばにある小野上温泉センターに寄って行く。肌にまとわりつくようなツルツル感いっぱいのお湯だ。美人の湯とのキャッチフレーズがあるそうだが、男にも効きそうだ。熱めだったので少しずつ何度も入り直す。 2日間とも思っていたよりハードな山行だったが、このお湯が少しは筋肉痛をやわらげてくれるだろう。 小野上温泉駅からJRを乗り継いで東京に戻る。 |