-雲海から頭を出す高峰- にっこうしらねさん(2578m) 2009年9月27日(日)曇りのち晴れ
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高山特有の気持ちよい風に吹かれながら、周りの景色を楽しみつつ高度を上げる。すぐに五色沼が見下ろせるようになる。沼周辺のダケカンバも見事な黄葉になっていた。 登るほどに眺めは開けてくる。しかし周囲の山並みはない。一面が雲海なのである。 岩場の多くなってきた急斜面を慎重に登る。やはり今日は百名山、そして日光の有名な山。普段登山もしないような人や、かなり高齢の単独行の人などをよく見かける。 しかしこの岩だらけの急斜面は決して簡単ではない。落石があるし、ペンキマークも思ったほどはっきり書かれていないので方向を間違いやすい。あまり山に登らない人は要注意の所だ。
頂上部が見えるところまで上がってきた。空と雲しか見えない。 今登っている日光白根山と、隣に頭だけ出している錫ヶ岳以外は全て雲海の下だった。それどころか、標高2486mとここより数10mしか違わない男体山の姿もない。おそらくあちらのほうが雲海高度が高いのだろう。 それにしても、ここまでの雲の海はあまりお目にかかれない。今日のように、北日本の移動性高気圧が東に抜け、本州太平洋側に東風が吹きつける気圧配置になると、こういう下層雲が広がるようだ。 標高何メートル付近に雲海が出来るのか、それが予想できたらいいのだが、技術的にそこまでは無理なのだろう。 今日のところは雲海高度がかなり高く、おそらく日光白根山以外の関東の山岳は、みな雲の下になっているようである。 岩場をぬって、奥白根山頂上に到着。五色沼が見下ろせる場所で休憩する。 そのうち丸沼方面から、ロープウェイで上がってきた登山者がわんさと来た。たちまち頂上の岩場は人で溢れ返る。 祠のある場所に移動ののち、お鉢めぐりのように縁をたどって、五色沼避難小屋のほうに下りて行く。 砂礫の急斜面は滑りやすい。どんどん下り、ダケカンバ帯に入るがここはすでに、かなり落葉している。五色沼避難小屋付近はカエデの赤が鮮やかだ。 ここから見上げる奥白根山は雄大で、なかなかいい宿泊地に思える。小屋の前には2頭の鹿がいた。
避難小屋から五色沼に下れば、下山は早い。しかしこれほどの紅葉と青空とまだ対峙していたいので、もう少し稜線を歩く。 避難小屋の横から登り返す。それほどの長い距離ではなく、再び稜線へ。展望がよく振り返れば奥白根山、そして南側には錫ヶ岳~白根隠山の稜線がたおやかに伸びていた。道も整備が行き届き、奥白根山直下の岩場に比べれば、ハイキング感覚でのんびり歩ける。 気持ちのいい稜線歩きとなる。前白根山~五色山と五色沼をぐるっと一回りするコースである。時折五色沼の鮮やかな紅葉を見下ろす。 前白根山(2373m)直下はガレ場の登り。常に奥白根山の大きさを横に感じながら歩く。短いながらもいいコースだ。 五色山への登りはそれなりの斜度はあるが、思ったほど長くない。少し雲が高くなってくるものの、青空も見える。笹と紅葉のきれいな五色山(2379m)に立つと、菅沼方面の眺めが少し開けてきた。 五色山からは笹原の緩い下りとなる。道はこのまま弥陀ヶ池まで通じているのだが、ここまでずっと五色沼を見ながらの歩きだったので、やはり五色沼に下ってみたくなった。 急勾配のガレ場を経て、人のあふれる五色沼に着く。水が少なくなっているようで、沼辺はかなり土が出ていた。日が高くなり紅葉の輝きはやや失われていた。 30名ほどの団体の後ろとなるが、追い抜かせてもらう。弥陀ヶ池へはちょっとした登りだ。 今日は下って登ってを2回も繰り返し、はたから見るとなんと非効率か、と思われそうだが山は効率性は不要なので、体力さえ続けば、これもいい。 五色沼から弥陀ヶ池にかけての道は紅葉が一番輝かしく、まさに盛りとなっていた。登山者があちこちで感動の声を上げている。 弥陀ヶ池からは、来た道を下る。下界は天候が回復し、雲はとれていた。登りではほとんど気づかなかったが随所に切り開きがあり、色づいた山肌をよく眺められた。 もう少し早く下って来れるかと思っていたが、ずいぶん歩き楽しんだので、菅沼駐車場への下山は3時になってしまった。 さすが奥日光、すばらしい錦繍の山だった。白根温泉に立ち寄ってから帰るとする。 |