-展望を求めて歩く高原の二座- みずのとやま(2202m)、かごのとやま(2227m) 2009年6月14日(日) 曇り後時々晴れ
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篭ノ登山・水ノ塔山は、人気の浅間山と湯ノ丸山に挟まれた位置にあって、少し地味な印象がある。湯ノ丸高原や池ノ平湿原、高峰温泉といった行楽地を配し、また登下山口の標高も高いことから、登りやすい山として最近は人気化してきた。 ここのところ、関東甲信越の天候が芳しくなく、この週末も午後から夕方にかけて雷雨の予報が出ている。今回は土曜の夜に出発し、日曜の朝早く登ることにした。 昨年の四阿山と同じ様に、前の日に上信越自動車道のSAまで入っておく。
4時半ごろ横川SAを出発。数時間前、雨音と雷光、雷鳴で目を覚まされていた。今は雨は止んでいるが、山は厚い雲で覆われている。 小諸ICで下りて浅間サンライン、チェリーパークラインでどんどん高度を上げていく。 浅間山の登山口でもある車坂峠付近に着くと、あたりは霧一色になってしまった。このへんですでに標高2000m近くある。ホテルの宿泊客が、もうこんな時間から散歩にいそしんでいる。しかしこんな天気で気の毒だ。 高峰温泉の前まで車で行く。長野県の今日の天気予報は、一応「晴れ」なのだ。待っていればそのうちガスが晴れそうな気がして、とりあえず車の中で少し様子を見る。しかし状況は変わらず、ふんぎりをつけて6時過ぎに出発する。
高峰温泉からの登路は穏やかで歩きよい。すぐに上から一人、空身で下りてきた。旅館の関係者だろうか。 すぐにコイワカガミ、そしてツガザクラの群落を見る。この2種の高山植物はここから西篭ノ登山付近まで、間断なくと言っていいくらいに咲き続けていた。 ツガザクラは、最初アカモノかと思っていたが葉が全く違うことに気づいた。 カラマツと笹の登山道。うぐいす展望台という場所を過ぎて、そこから先も随所で展望のいいガレ地に出るが、依然として景色は真っ白。ただ足元の花を見ながら、岩の突き出た斜面を登り水ノ塔山に着く。 水ノ塔山は南面が開けているが、今日のところは乳白色の眺めのみだ。今日の山は眺めのないまま終わってしまうかな、とも考える。 頂上から少し下ると、アズマシャクナゲが花の盛りを迎えていた。 頭上に、厚い雲を割って太陽の光が差し込んできた。一応天気は持ち直しの方向のようだ。赤ゾレと呼ばれるガレ場を通過。キバナノコマノツメ、そして名前はわからないがイワオウギに似た白い花(カニコウモリにも似ている)も多い。 小さなアップダウンを繰り返すうちに、雲間から三角形の高い山が2つ、仰ぎ見られるようになった。左は今から登る東篭ノ登山、右奥に見えるのは西篭ノ登山であろう。このままどんどんガスが晴れてくれればいいが。 視界が利くと、当然これからの登りのきつさも事前に把握できるようになる。ガスに巻かれているときはそれもわからず、ただ黙々と目の前の斜面を登りこなしていくしかないのだ。 しかし高度を上げるとやはりガスが濃くなる。東篭ノ登山の広い頂上に着くが、360度開けるはずの眺望のかけらもない。それでも上空の雲の流れを見ていると、間もなくガスが途切れそうである。 登ってくる人が「今日は残念ですね」と声をかけてくるが、「いや、もうすぐ晴れそうですよ」と少し自信を持って言葉を返す。 滞頂10分ほど、ようやく回りの山並みが現れ始めてきた。湯ノ丸山方面の眺望が、ぼんやりとだが得られてくる。そして、振り返ると端正な三角錐の西篭ノ登山が姿を見せていた。 |