2012年10月8日(月・祝) 前日テント泊 |
6:20 |
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武尊牧場キャンプ場 |
◇ |
6:30 |
東岐三角点 |
◇ |
7:35 |
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武尊避難小屋 |
7:45 |
8:15 |
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セビオス岳 |
◇ |
9:15 |
中ノ岳南肩 |
◇ |
9:42 |
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沖武尊 |
10:27 |
10:50 |
中ノ岳南肩 |
◇ |
11:50 |
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セビオス岳 |
11:55 |
12:20 |
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武尊避難小屋 |
◇ |
13:15 |
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東岐三角点 |
◇ |
13:25 |
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武尊牧場キャンプ場 |
14:10 |
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国道120号他
ささの湯立寄り |
17:00 |
沼田IC |
◇ |
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関越自動車道 |
19:55 |
練馬IC |
◇ |
武尊(ほたか)牧場のキャンプ場にテント泊するため、金精峠から国道を下り、武尊スキー場を目指す。しかし、スキー場の下までは来れたが、その先キャンプ場までの行き方がわからない。いいかげん日も暮れてきたので、ゲレンデ下の売店の人に聞いてみた。
すると、キャンプ場に宿泊するマイカー利用者は、ここから管理者用道路をキャンプ場の車で先導してもらい、上がっていくシステムになっているとのことである。宿泊でない人はキャンプ場に車で入れないので、少し下の東岐駐車場に車を置くことになる。
売店の人に電話してもらい、10分ほどしたら先導車がやってきた。キャンプ場へはさらに10分ほどの車での上りになる。しかし、人一人キャンプ場に入るのに先導車がつくとは、かなり大げさである。案内してくれるのでおおいに助かったが、ずいぶんと非効率な気がした。
武尊牧場キャンプ場の利用料は、テント設営700円、駐車代500円、それに自然保護協力金100円と、都合1300円だった。シラカバ林の中の芝地にテントを張る。やはり車中泊では十分に足を伸ばして寝られないので、テントでゆっくりしたい。自分の車が横付けしていて、オートキャンプみたいな感覚で、いつものテント生活とちょっと違った。でも快適なテント場だ。
この日は放射冷却が効き、そこそこの冷え込みとなる。普段車の中で使っている厚手のシュラフでたっぷり睡眠が取れた。
沖武尊の稜線から、剣ヶ峰に続く尾根を眺望する
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朝、快晴の秋空だ。簡単な食事を済ませ、テントはそのままにして出発する。
武尊山は、群馬県北部の片品村に位置している。尾瀬や谷川連峰など周囲の山から大きく望まれ、存在感のある山塊である。
武尊山と同じくらいの緯度に位置する2000m峰を見ると、奥日光の女峰山、奥白根山、仙ノ倉山、苗場山、鳥甲山、佐武流山、白砂山、妙高山、火打山、焼山などがあるが、日本海から遠い内陸ほど針葉樹に覆われた穏やかな森の山が多い。その中で武尊山は微妙な位置にある。気象の激しい谷川岳の近くにあり、冬の積雪量もそれなりに多いのだが、今回歩いた武尊牧場からの登山道は、地形の安定した針葉樹の山であり、太平洋側気候の影響を多く受けているようだ。
一方、山頂から西の方角を眺めると、武尊神社から伸びてくる稜線はアルペン的なヤセ尾根の様相を呈していた。山頂を境に東と西で異なった面を持ち合わせている山塊と映った。
キャンプ場からしばらくは、シラカバの多い遊歩道を行く。朝の空気が清々しい。ブナなど落葉樹は背が高く、紅葉していない。というかこのあたりは葉をつけていない木が多い。枯れてしまっているのか。
10分と少しで東岐三角点。ここで東岐駐車場からの道を合わせ、登山道入口となる。緩やかに高度を上げていく。そよ風に木々がざわめき、歩きやすく気持ちのいい道だ。ブナ林を通り、カエデやウルシなど、紅葉も目立ってくる。
武尊避難小屋に着く。写真で何度も見てきたが、ようやく実際にこの目で見れた。小屋は老朽化が進み、戸が半分壊れていて開け閉めしにくい、中も生活器具などが置かれて雑然としているが、寝られないことはない(自分の場合)。
まだ時間が早いのか、静かだ。前後に登山者も見かけない。
避難小屋から先、緩やかなアップダウンを繰り返し、高度を上げていく。オオシラビソの大木が増えてくるが、樹林が切れ笹原越しに南側の山並みが覗く場所も出てきた。正面には武尊山と思われる大きな岩峰もはっきり見える。
ちょっとした湿原状の平坦地に出る。地図ではセビオス岳ということろらしいが山名標識はない。この頃から登山道はぬかるみが多くなり、時折りくるぶしあたりまでズボッといってしまう。しばらくはスパッツをつけず粘っていたが、ちょっと平坦な場所に出たところであきらめて装着する。
スパッツをつけると、足首回りに熱がこもってしまい不快感を感じることがある。泥除けの目的だけなら、スボンが汚れるのは我慢してあえてスパッツをしない選択もありだと、最近思うようになってきた。
もちろん雨天などで靴の中に水が入ってしまうようなら装着必須である。この時は晴天だったが、あまりのひどいぬかるみでつけざるを得なかった。
樹林がなくなり、周囲の見晴らしが俄然きいてきた。真正面に大きい岩峰は、武尊山の手前の中ノ岳のようだ。しかしあの切り立った岩壁は、どこに登山道がついているのだろうか、よくわからない。
草地の道を緩く登っていくと急傾斜の岩場となり、鎖でよじ登る。続いてまた鎖場。湧き水で岩が塗れているので、距離は短いが慎重に。背後は広い樹林帯を見下ろせて高度感がある。遠く燧ヶ岳、奥日光の山もよく見える。
急斜面を少し登ってもうひとつ岩場。70度近くありそうな急斜面だが、足場はあるので一歩一歩踏みしめて登る。その先で平坦となり、中ノ岳を左側から大きく巻く。
笹原と少々のダケカンバが混ざる道からは展望が一気に開ける。登山者が数人、自分を追い抜いていった。
ひと登りでようやく、前武尊からの道と合流する。標識が立つこの場所は中ノ岳南肩だ。あとは高原状の台地を行くだけだが、目指す武尊山(沖武尊)の山頂部はかなり遠くに見えており、すぐには着かなそうだ。
少し歩くと「菩薩界の水」と書かれた、パイプで引かれた笹清水という水場がある。前回の荒沢岳で水に苦労したので、今日はたっぷり持ってきているため飲まずに行く。三ツ池と呼ばれる池は水量が少ない。さらに登っていくと日本武尊の銅像が立っていた。武尊山はやはり日本武尊とかかわりが深いのか。
にわかに人の声がし、ひと登りで沖武尊山頂に着いた。武尊牧場からのコースは静かだったが、登山道が四方から通じているので、さすがに山頂は賑わっている。武尊神社から、また川場からの登山道いずれも気持ちよさそうな稜線の上につけられているのが山頂からもよく眺められ、登山コースとしてはこちらのほうが面白そうだ。
山頂は回りに潅木が生えていて、腰を下ろすと眺めが悪くなるが、展望は360度である。浅間山、皇海山、奥白根、尾瀬の燧ヶ岳、至仏山と笠ヶ岳、そして谷川連峰も険しい岩壁をこちらに向けて聳えている。標高は谷川岳よりこちらが高いので、やはり見下ろす感じだ。遠く雲海から、富士山も頭を出していた。
今までいろんな山から武尊山を眺めていたが、今日やっとその頂に立って眺め返すことができた。そういう意味で感慨深い登頂だった。
どんどん人が増えてくる。下山は往路を戻る。今度は笹清水を飲んでいく。冷たくておいしい水だ。下りの岩場は足を置く場所が見えないところもあるが、3箇所とも難なく下りることができた。
犬連れの人が登ってきた。犬も人間と同じく、足場がありさえすれスタスタと岩場を登っていくらしい。4本の足の下半分が泥だらけになっているのが、ここまで一生懸命登ってきたことをうかがわせてかわいい。
下山時は、多くの人とすれ違うようになる。皆ぬかるみに苦労している様子。「ここから先もこんな感じですか?」と何度も聞かれる。避難小屋まで下りればあとは、ぬかるみにだけは注意してのんびりと下るだけだ。
登山口から武尊牧場キャンプ場へ戻る。テントを片付けて山を下りる。ささの湯に寄ってから渋滞の関越自動車道で帰途に着く。