-緑萌えツツジ咲く赤城の尾根- じぞうだけ(1674m)からあらやま(1571m)、なべわりやま(1332m) 2009年6月7日(日) 晴れ
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一転して細い踏み跡となった道を進む。登山者とはそれでも時々行き交う。 平坦な山腹の道を行くとT字路の茶ノ木畑峠に出た。右に行くが、左の道は果たしてどこに続いているのだろう。地図には描かれていない。 細尾根の、なかなか快適な稜線歩きとなる。シロヤシオも所々で見かける。 標識のあるところがおそらく横引き峰だろう。ここから南に尾根が派生していて、粕川村が立てた標識には「さねずり岩、つつじが峰通り」と書かれている。 進む方向には銚子の伽藍とあるが、先ほどの茶の木畑の標識にしても、粕川村の立てた標識には、隣接する小沼やオトギの森などの地名が全く書かれていない。村内にある地名しか表示がないのだ。 赤城方面に縦走する人にはありがたくない標識である(今は富士見町とともに前橋市に編入され、粕川町となっている)。 シャガの咲く道をどんどん進むと、しだいに険しい下りとなる。沢の音が聞こえ始め、滑りやすい斜面を慎重に下り、河原に出る。 カメラをもった人が一人いたので、そちらの方向に進むと険阻なV字谷が見えた。銚子の伽藍というところだ。ここに来るとは思っていなかったので前提知識を持ち合わせていなかったが、なかなかインパクトのある光景だ。
さてこの先、どこに道があるのかわからない。カメラの人に聞くと、沢を渡ったところにある細い踏み跡を指し示してくれた。こちらの方向から歩くと、この踏み跡は非常にわかりにくい。 踏み跡に入ると突然の急登となり、大汗をかいて銚子の伽藍のピークらしきところを過ぎる。踏み跡が錯綜していてどちらに進んでいいか迷う場所も多い。なるだけ尾根伝いに進む。 あずまやが現れる。平石山と書かれていた。どうやら難所は通過したようである。 しかし赤城という、半ば観光地化した穏やかな山稜の裏にこんなタフな登山コースがあるとは意外だ。つつじが峰通りはいずれ登りで歩いてみたい尾根道である。 あずまやからは、すぐに車道の通る平石峠に着く。さらに車道を少し歩いて軽井沢峠にようやく到着した。当初の予定と比べると1時間以上もよけいにかかってしまった。 軽井沢峠からは、久しぶりの荒山の姿が見上げられた。 もう正午を回ってしまった。今日のメインである荒山・鍋割山への登路に入る。 軽井沢峠の指導標には荒山まで1.8km、標高差180mとの文字の他に、消費カロリーまで書かれている。65分で630kcalだそうだ。 「登る」という行為はもちろん、平地を歩くのよりも消費されるエネルギーは格段に大きい。とあるサイトによると、20代の男性が山に登ると、体重1kgにつき毎分0.155kcalを消費するそうだ。この値に年齢・性別による補正係数(下記参照)を掛けて、実際の消費カロリーが求められる。 それに従って計算すると、体重70kgの40代男性が1時間登山した場合、 70(kg)×0.155×60(分)×0.94(補正係数)= 611kcal となる。登りのときしか当てはまらない計算式ということになろうが、軽井沢峠の指導標の数値と大体合っている。荒山を登るだけでご飯2杯分のエネルギーが必要となる。 なお、文中の補正係数は以下の表の通りである。
初めのうちは斜度のない道だが、小さな小屋のある場所から一転、急登となる。ご飯2杯分の登りはやはりきつい。途中で地蔵岳方面の眺めが開ける。 ヤマツツジがあちこちに咲き、まだ開花間もないレンゲツツジも見かける。荒山頂上は樹林の中で、北側に少し眺めがあるものの広く開ける場所はない。しかしお昼時ですごい人の数だ。 樹林の陰にスペースを見つけ、遅い食事を取る。
荒山を辞し、少しの間だけ石の浮き出たいやな下りとなる。 なだらかになると防火帯のような幅広い尾根道が展開し、ツツジも多くなる。眺めが開け気分のいいところだ。荒山頂上で休憩するなら、もう少し足を伸ばしてこのへんで腰を下ろしてもよかった。正面に、鍋割山の緩やかな起伏ある稜線が手に取るようにわかる。 箕輪への下山路を分けさらに下ると、園地のような荒山高原に着く。休憩適地だが、風が出てきたので先に進む。 鍋割山への登りは、樹林帯からツツジ咲く幅広の尾根道に続く。振り返ると荒山、地蔵岳の異なった山容が隣り合わせになって、いい眺めだ。 山頂のような場所を過ぎ、もう少しだけ緩やかなアップダウンをこなすと、鍋割山頂上に着く。展望はよく、関東平野や奥日光の山々が霞み気味に遠望できた。冬の空気の澄んだ日だと、富士山まで見えるという。 予定の時間をかなりオーバーしてしまっている。帰りのバスに間に合うようにするなら、荒山高原に引き返して箕輪へ下山するのが確実だ。しかしこれだけの好天も久しぶりだし、やはり予定通りこのまま稜線を進み獅子ヶ鼻経由で下ることにする。バス便のある下山口は大河原と青年の家の2つあるが、どちらにするかは時間を見て後で決めよう。 開けた斜面上の下りから樹林帯に入ると、ロープの張られた急下降となる。岩もあるので下りはとくに注意を要する箇所だ。防火帯状の穏やかな稜線から一転、険しい岩尾根となる。 歩きやすいとはいってもやはりそこは北関東の山、東京周辺にはないタフな登山路である。 下り切ると再び眺めの広い場所に出る。鍋割高原、または獅子ヶ鼻という場所だろう。ツツジは全く見られない。正面に榛名山の特徴ある姿がシルエットで望める。 登山口に下り立ち、林道をさらに少し下ると車道で、少年の家へはここを地道に下っていけばよい。また、バスの時間が合うなら、途中で大河原への道に入ってもよい。ちょっと時間的に微妙だったが、大河原に下山することにした。 赤城カントリークラブのクラブハウスの横を通り、車道をジグザグに下る。見込みが甘かったのか、3時47分のバスにはどうも間に合いそうにないことがわかった。 結局、大河原に着いたのはバス発車時刻の10分後だった。 次のバスまで時間があるので、富士見温泉まで歩くか・・・。バス停3つ分くらい歩いてみたが、体力がもう残っていない。道路沿いのそば屋で時間をつぶし、1時間後の前橋駅行き直通バスを待つことにした。このバスは富士見温泉を経由しない。温泉は今日は諦めることにする。 途中でオトギの森への迷い込みはあったものの、楽しい赤城山塊縦走の1日となった。赤城にはまだまだ興味を引く道、山が多く残っている。つつじが峰コースを次回は歩いてみたい。 |