山の写真集 > 北関東(群馬) > 尼ヶ禿山、鹿俣山
  • -関東随一のブナ林を逍遥-
  • 玉原湿原-尼ヶ禿山-ブナ平-鹿俣山
  • 上州
  • 群馬県
  • 尼ヶ禿山(1468m),鹿俣山(1637m)
  • 2013年10月19日(土)
  • 13.2km
  • 5時間25分
  • 428m(センターハウス-鹿俣山)
  • -
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  • マイカー
天気

 

地図
2013年10月19日(土)
練馬IC 5:00
  関越自動車道
沼田IC 6:30
  県道64号,266号
武尊牧場経由
8:45 センターハウス 9:15
9:25   玉原湿原
9:40   管理車道横断
10:10 登山道合流点
10:35 尼ヶ禿山 10:55
11:25 管理車道
11:35 玉原越え
12:00 長沢三角点
12:15   ブナ平
13:15 鹿俣山 13:45
14:45 分岐
14:50   森林キャンプ場 15:00
15:30   玉原湿原 15:40
15:50 センターハウス
  県道266号,64号
16:55 沼田IC
  関越自動車道
19:10 練馬IC

 

群馬県沼田市の、みなかみ町に接する玉原(たんばら)高原の山に出かけた。
ここは関東地方の中でも有数のブナの宝庫である。スキー場やリゾート地として開発され伐採が入ってはいるものの、尼ヶ禿(あまがはげ)山と鹿俣(かのまた)山の2つの峰に囲まれた台地にはかなりの面積のブナ林が広がっている。また玉原湿原は小尾瀬と言われるように、高山植物や草紅葉が楽しめる場所である。
玉原高原はラベンダー園やキャンプ場、ペンションビレッジといったアウトドア施設も充実し、山が目的でない人も多く訪れる。山登りとしては、ブナ平を中心として尼ヶ禿山か鹿俣山へ足を伸ばせば、半日から1日ハイキングとして格好のコースとなる。
2002年に尼ヶ禿山から迦葉山(かしょうざん)への縦走、2008年に鹿俣山にそれぞれ登っているが、今回はブナ平経由で両方の山に登った。なお、3回の山行日はいずれも10月19日である。


ブナ平のブナ林

センターハウスに着いたときは深い霧に包まれていた

霧立ち込める

尼ヶ禿への登りのブナ林では、カエデが色づき始めた

カエデは紅葉始め

紅葉とともに落葉も進み、山は秋めいてきた

秋色の登山道

尼ヶ禿山頂上直下に出ると雲海の上に山が浮かんでいた。手前は武尊山の稜線、遠景は皇海山

雲海の上

尼ヶ禿山頂上。玉原湖が見える

尼ヶ禿山頂上

紅葉はところどころで

紅葉の道

ブナ林をぬって進む

ブナが林立

実は今回、上州武尊山麓の花咲湿原へ行こうと思って車を走らせた。ここも上部はブナの原生林が見ものという。武尊スキー場下から林道を通って東俣駐車場へ入ろうと思ったが、この林道は数年前から通行禁止になっていたようだ。
調べもせずに来てしまったのは失敗だったが、その前に、すぐ上の武尊牧場から武尊山に登った昨年のうちに気づけよ、と自分に言いたい。

代案として行程表を持ってきた、今回のプランで今日はいくことにする。たんばらセンターハウスまで車で40分くらいかかってしまうがしょうがない。ガスで見通しの悪い中、峠越えをして玉原高原のエリアに入る。
センターハウスに着くとここも深い霧で、視界が10~20mくらいしかない。この秋は本当に天気に恵まれない山が多い。ただ天気は回復方向のようで、車の中で少し待つ。

霧が薄くなってきたので出発する。遊歩道を少し歩き、木道に入ると草紅葉がきれいな玉原湿原だ。まだ霧が抜け切らなく周囲の山は見えない。
左手の木道を進み樹林帯に入る。分岐が多くて標識がないと迷いそう。ブナ平への道を分けて尼ケ禿山方面へと向かう。いったん管理車道に出てすぐに向かいの登山道に入る。
緩い登りからセミナーハウスへの分岐を過ぎると、ブナが多くなる。紅葉は始まったばかりで赤や黄などの彩りはまだ少ないが、白地の幹に黒のまだら模様はしっとりとしていて、気分をやわらげてくれる。ブナの木の色は日本の山を代表する色といってもいいだろう。

玉原越えからの道と合流し、さらに迦葉山からの道を合わせる。ガスで見通しの悪い登りが続いていたが、山頂まであと少しとなったあたりで急に大気がすっきりとしてきた。尼ヶ禿山の山頂部は南側が開けた細尾根になっていて、それに登り着くと何とびっくり、尼ヶ禿山の山頂は雲の上だった。
回りは一面の雲海で、その雲海の上に武尊山の大きな山体がある。他にも赤城山や皇海山などの高峰群も見えていた。望外の眺めに大変得をした気分になる。上空に青空はなく、少し風が冷たいがしばらく展望を楽しむことにしよう。
時間の経過とともに雲海が切れてきて、足元には迦葉山へ続く稜線や玉原湖が見えてきた。駐車場の車までわかった。そして真南の方角に目をこらすと、かすかに富士山も見えている。斜面が光っているように見えるので、もしかしたら冠雪したのかもしれない。
尼ヶ禿山付近の紅葉は、山頂部直下のほんの一部分で見頃になりつつあるが、全体ではまだまだである。2002年、2008年いずれもこの10月19日は見頃だったので、今年の紅葉がかなり遅いことがわかる。

鹿俣山頂上直下の稜線は紅葉が盛り近い

上部は紅葉の盛り

鹿俣山頂上直下は谷川連峰の主脈稜線がずらりと並ぶ

谷川岳が覗く

鹿俣山頂上

鹿俣山頂上

鹿俣山頂上からは、武尊山の剣ヶ峰付近の岩峰が近いところに見える

武尊山と峰続き

鹿俣山頂上から南西側には、玉原湖を前景に尼ヶ禿山から迦葉山へ伸びる尾根筋を正面に見る。左奥には浅間山が雲海から頭を出す

玉原湖も

大雨や台風の影響か、葉が痛んだものが目につく

紅葉

午後3時を過ぎ、草紅葉の玉原湿原に注ぐ日差しも傾き始めていた

再び玉原湿原

ようやく頭上に青空が覗く

最後に青空


山頂を辞し、少し下ると樹林の間から武尊山が覗いていた。しかしそれも間もなく見えなくなる。また雲海の下にもぐったか。先ほど見ていた玉原越えの道に入る。グループの登山者とすれ違う。
小さな沢を越えると再び管理車道に出た。通行できないトンネルが左にある。ここから正対する山の斜面を登っていく踏み跡も見受けられるが、ブナ平方面はいったん管理車道を歩く。再び登山道に入り、しばらくで玉原越えの十字路となる。ここから先は鹿俣山に登ったときに歩いている。
右手に下るように行き、すぐに穏やかな起伏の道が続くようになる。ブナの密度が増す。標高1200mくらいの尾根が続くのでなかなか色づいた木が出てこない。ブナ平には団体さんがたむろしていた。さっき玉原湿原を歩いていた人たちかもしれない。

ブナ平を抜けると樹林はまばらになり、笹原の緩やかな登りになる。風の通る場所なのか、ところどころ紅葉した木を見るが落葉しているものが多い。このだらだらの斜度はスキーゲレンデの登りに続いている。曇りがちで風もあるのに、シートを広げてランチをしている観光客もいる。ゲレンデの上のほうに、作業用の車が停まっていて興ざめであるが、スキーゴンドラの下をくぐって尾根伝いの急坂を登り、上部の稜線に乗る。
標高1500m近くまで来ていて、さすがにこの付近は紅葉が盛りの感じだ。ただ台風の影響もあったのか、枯れ葉や落葉が多く色づきも今ひとつである。
急坂はなくなるものの山頂まではまだ距離がある。やはり上部は雲の上になっていて、北西に谷川連峰、東に武尊山、南遠くに赤城を望める展望の稜線である。
下山コースと合流し、少し足元の悪い場所を歩ききると狭い鹿俣山頂上だ。北方向以外の方角に眺めがある。雲海が足元すぐ下に迫り、今にも雲に飲まれてしまいそうな、ちょっと不思議な雰囲気だ。鹿俣山は武尊山から峰続きにもなっていて、武尊山頂から大きく伸ばした稜線がすぐ近くに見える。
さっきの尼ヶ禿山の時と同じように、その雲海も時間が経つと薄くなってきて、その尼ヶ禿山や玉原湖が見えてきた。
それにしても山の上は寒くなった。30分ほど休憩ののち、下山にかかる。

来た道を戻ることも考えたが、スキーゲレンデ沿いに下るコースで行く。ゲレンデに近いけれども樹林の尾根上に道がついていて、いいコースである。
シャクナゲ群生地と書かれた小ピークを越え、緩やかに下ると左手に武尊山方面が見えてくる。2008年のときは紅葉が盛りだったが、今回は少し高度を落とすとやはり、緑の森になった。

いったんゲレンデに下りる。前回はそのままゲレンデを下ってしまい、結果的に遠回りになってしまったが、今回はすぐに山道に戻る踏み跡を見い出せた。
再び樹林帯の道を行く。玉原湿原方面への分岐に入り、平坦な道をしばらく行くと、これもゲレンデや車道に出ることはなく、やがて広々とした森林キャンプ場に着いた。
なおも緩やかな下りが続く。サイクリングロードを横断し、再び対面の樹林帯に入る。前回はこの入口がわからず、この下のスキーパークまで下ってしまったのだ。

ブナ平・玉原湿原の方向へ歩いていくと、今日初めて日差しが漏れた。遅いよー、と心の中で叫ぶ。最近の山は天候回復が遅れ、夕方になってようやく晴れることが多い。悔しいので引き返して登り返してやろうか、と一瞬思ったがやめた。
それでも玉原湿原にはもう一度寄っていこう。朝通った林道に再び出て木道から玉原湿原に出ると、周囲の山々もすっきりと見えるようになっていた。まだ16時前だが、日の落ちるのがずいぶん早くなっているようで、もう夕暮れも近いような雰囲気だ。
センターハウスに戻ると、残っている車もそう多くない。レストハウスも営業終了していた。路線バスがセンターハウスまでやって来ていたが、下山に使う客はいないようだった。

紅葉は遅れているが、ブナのぬくもりに十分触れ合えた1日となった。