~ブナ林を抜けゲレンデを登る~
タイトル
かのまたやま(1636m)
2008年10月19日(日) 晴れ

前夜発 練馬IC-[関越自動車道(赤城高原SA泊)]-沼田IC-[国道120号、県道266号]-6:50センターハウス-7:00自然環境センター7:10-7:45玉原越え-8:10長沢-8:40ブナ平-[10分休]-9:55鹿俣山10:35-10:50シャクナゲ群生地-12:40センターハウス-[県道266号、国道120号]-沼田IC-[関越自動車道]-練馬IC
歩行時間:4時間40分

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越後の山を縦走した疲れがまだ残っているが、各地の山の紅葉は今が盛りだ。
奥日光は混むだろうか。いろは坂も紅葉見頃らしいから車は大渋滞になりそうだ。奥日光の紅葉は、丹沢・檜洞丸のヤシオツツジ同様に、平日に休みの取れた時に見に行くべきだろう。

それほど話題に上がることもなく、手軽に登れる未踏の山を探しているうち、群馬の鹿俣山が浮かび上がった。高原の避暑地として知られている玉原(たんばら)高原の山で、一帯は標高1000~1500mのブナの森となっている。10月中旬頃が紅葉狩りの適期だ。
近くの尼ヶ禿山~迦葉山が紅葉山行のメッカだが、鹿俣山も期待できる。


鹿俣山のブナ [拡大]

赤城高原SAで車中泊して、翌朝5時半に出発。玉原高原のセンターハウスまで上がる。駐車場には一番乗り、ここまであまりにもスイスイ来れたので拍子抜けした。今回は完璧なまでに混雑を回避できたようだ。

センターハウスの売店はまだ開いてない。支度をして、林道を少し下る。
すぐにブナ平に上がる分岐があるがここは見送る。「ブナの湧き水」と書かれた水場で水を補給し、少し先の自然環境センターと書かれた建物のトイレを借りる。建物の向かい側に木道が伸びていたので、それに入っていく。

少しの歩きで玉原湿原が目の前に広がる。広くはないが、周囲をブナ林に囲まれた箱庭のような場所で、一面きれいな草紅葉の原になっている。カエデやダケカンバも紅葉している。

湿原を半周すればその先の登山道に合流するが、それほどの時間はかからなそうなので周回する。初夏は花のたくさん咲きそうな所だ。

玉原湿原
ブナ地蔵

湿原から離れると、分岐や指導標がいっぱい出てくる。とりあえず玉原越えまで上がってからブナ平を目指す。
周囲のブナの黄葉も始まっている。ただ、少し高度を上げると緑の葉をつけたままのブナも多い。標高が高いほうが紅葉の進みが早いのが普通なのに、ここ玉原では、湿原周りの樹林がまず色付き、尾根筋はその後のようだ。
一般に水の近いところが紅葉が早い傾向もある。

林道に上がったところが玉原越えとなる。6年前の尼ヶ禿山以来、久しぶりである。
ここから直接ブナ平に行けるのかと思ったら、その方向は行き止まりだった。少し戻って、指導標に従いブナ平を目指す。
三角点のある1302m地点が長沢で、さらに平坦な登山道を進む。やがて尾根が広くなってブナの多い道となる。全山紅葉にはもう数日早い感じだ。しかしブナが多くて壮観な眺めである。

ブナ平へ
落ち葉溜まり

沼田市の名木百選のシナノキが立つ場所がブナ平。ブナの樹根を地蔵様に見立てたのが「ブナ地蔵」で、ブナの古木のかたわらにかわいらしい姿でたたずんでいる。
休憩にいい場所だが、もう少し先にいい場所があるかと思いそのまま行く。

いったん樹林が切れるが、再びブナを中心とした森に入る。見事な黄金色の葉をまとったブナの大木があったのでここで小休止。
道はようやく緩い登りとなる。樹林帯を抜けるとスキーゲレンデに出た。少し高度を上げると尼ヶ禿山や玉原湖をバックにブナの森の眺めがいい。
しかしこうやって俯瞰すると、ここのスキー場はブナ林を伐採して出来た施設だということがよくわかる。

ゲレンデと林の中を交互に歩くうち、傾斜がきつくなってくる。次第に木が少なくなり、笹が増える。
スキーパーク方面への分岐をいくつか見て尾根に乗る。谷川連峰の稜線がよく見える。急坂を登りきると鹿俣山の狭い頂上だった。

頂上からブナの森
艶やかな黄葉
カエデはオレンジ色
玉原茶屋

展望は北西から南西方面のみ。ブナ林の中に何本ものスキーゲレンデとリフトが伸びている。玉原湖の後ろには尼ヶ禿山と迦葉山、上州三峰山、戸神山と沼田市の山々が眺められる、
平坦な頂稜部がシンボルの三峰山は、ここから見ると意外とゴツゴツしている。遠く赤城山がシルエットで浮かんでいる。
谷川連峰やすぐ隣りの上州武尊山は木が邪魔して見えない。武尊山とは尾根続きになっているが登山道はない。冬は歩かれているのかもしれない。

もうひとつ興味を引いたのは、頂上部の山名柱とは別に、東側の籔の中にある樹林帯に鹿俣山の山名板がかかっていることだ。しかもそれほど古くない。ただし籔が深くて、今の時期は近づくことが出来ない。
冬山用の山名板なのだろうか。

下山は南西に伸びる尾根を使う。武尊山ルートと名付けられているそうだが、武尊山は樹林越しに数箇所でしか見られなかった。葉が落ちれば眺めはいいのかもしれない。
ちなみに登りに使ったコースは「水上鹿俣ルート」というらしい。

シャクナゲ群生地と書かれた標柱の周囲は確かにシャクナゲが多い。しかしその先はまた、ブナなどの広葉樹林となる。カエデなど赤系の色に紅葉する木も多く、こちらの紅葉はさらに見ごたえがあった。

気持ちよく下っていくとゲレンデに出る。しばらくゲレンデを歩いていくようだ。
しかしどこかで進む方向を間違えたらしく、林道を横断した後、別の駐車場に下りてしまった。リフトが下りてきていたので「リゾートセンター」と言うところに来てしまったらしい。
サイクリングロードのある広い斜面を登り返すと、玉原湿原への細い道があった。ゲレンデは幅広いので、この分岐はわかっていないとまずは気づかないだろう。

湿原へ戻る道も、気持ちいい広葉樹の散歩道だった。登山者以外にも、行楽客が大勢歩いている。ゲレンデや大きな建物など人工物の多い山だが、歩きやすい広葉樹の森はいつの季節も楽しめそうだ。

センターハウスに戻ってきた。今回は三脚と2種類のカメラをたずさえ、撮影に時間をかけた。さらに下りで道を間違えたので3時間コースが4時間半以上もかかってしまった。
駐車場は満杯で、入りきれない車が手前の車道に長い列を作っていた。静かな山ではあるが、紅葉が見頃でもありそれなりに人は来る。それでも穏やかな森の道を、肩の力を抜いてのんびり歩けた。

車で県道を少し下りたところの玉原茶屋に寄り、てんぷらそばを食べて帰る。


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