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  • -東京湾フェリーで登る山-
  • 浜金谷-車力道-鋸山-石切場-観月台
  • 房総
  • 千葉県
  • 鋸山(330m)
  • 2017年1月3日(火)
  • 5.8km
  • 2時間20分
  • 323m(浜金谷-鋸山)
  • -
  • -
  • フェリー, マイカー
天気1

 

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2017年1月3日(火)
久里浜港 10:20
  東京湾フェリー
11:00 浜金谷港 11:10
  国道127号
11:20   金谷海浜公園プール駐車場 11:30
11:47   車力道入口
12:10   吹抜洞窟(分岐)
12:32 鋸山 12:40
12:52 地球が丸く見える展望台 13:10
13:30   石切場
13:40   日本寺分岐
14:00   観月台
14:15   浜金谷駅
14:20 海浜公園プール駐車場 14:30
  国道127号他
14:40 富津金谷IC
  富津館山道路
館山自動車道
東京湾アクアライン
16:00 浮島IC

 

浜金谷港から車で数分、金谷海浜プールの駐車場に車を置かせてもらう。プールが開いていない時期であれば、登山客が主に利用している駐車場である。しかし今の時間だとかなりの数の車が停まっていて、残り2台分くらいしか空いていなかった。

富津市と鋸南町の境にある鋸山は、ギザギザした稜線と「地獄のぞき」という展望台が有名で、一般には鋸山の山頂といえばそこになる。ロープウェイを使って登ることができるのだが、日本寺という寺の敷地内にあり、600円の拝観料が必要だ。
一方、鋸山の三角点はもっと東にあり、山登りとしての山頂はその330mの地点となる。今回はロープウェイは利用せず、車力道(しゃりきみち)という登山道を登って三角点を目指す。

午前の大楠山へ


巨大な要塞にも似た石切場

金谷海浜公園プールの駐車場に停める。冬は登山客などに使われているようだ

駐車場から出発

海浜公園から鋸山を望む。ロープウェイも見える

ロープウェイも

住宅街につけられた標識に従い登山口へ

住宅街を抜け

車力道には、大きな石を切り通して造られたような道もある

切り通し状の道

吹抜洞窟の石切場

吹抜洞窟

吹抜洞窟からは、手を使うような急階段を上っていく

急な階段を上る

階段を上りきったところが展望台手前の鞍部。鋸山まではアップダウンのある樹林帯となる

樹林帯へ

三角点のある鋸山は、北東側が開けて眺めがいい

山頂は眺めいい


県道を南に行き、次の角で民家の間の道に入る。目の前にもう鋸山が壁のようにそそり立っているが、手前の住宅地は年始ということもあり人もほとんど見かけず、時が止まったようだ。一昨年に富山(とみさん)と伊予ヶ岳に登った際に、下山後鋸南町に寄ったときは、道の駅や海産物の直売店もあり、賑やかで活気溢れる町という印象があった。それに比べてこちらは背後に山を背負った静かで小さな港の町、といった雰囲気である。
内房線のガードをくぐり、観光案内版のあるところで下山に使う予定の観月台ルートを分け、左の林道に入っていく。

トンネルの脇に車力道入口があり、すぐに再び案内板、そこから登山道となった。初めのうちは緩やかだが次第に傾斜のきついジグザグ道に変わっていく。
車力道は江戸時代、建材として切り出した石の運搬に使われた道ということである。当時は石もまだ建材として広く利用されており、切り出した何トンもの石は棒状にして女性が担ぎ下ろしていたというから驚きだ。

やがてその石壁の前に出る。吹抜洞窟と呼ばれるところで、まるで建築中のビルが、工事中止になりそのまま遺棄されたような状態である。近代になって木材やセメントが建材として使われるようになり、鋸山の石切り場としての役目は終わったということだ。そしてそのままの姿でこのように残っている。
先週の加波山で見た花崗岩の採石は、建材ではなく美術工芸品としてのものなので、今でも需要はある。石切り場と共にこの車力道も廃道状態となっていたが、つい10年ほど前に登山道として復活したようである。

ここは分岐になっているが、左折して急な階段を上っていく。振り返ると浜金谷港が真下に見えた。やがて展望台下の鞍部になる。展望台は後回しにしてまずは三角点のある山頂を目指す。
常緑樹と落葉樹の混じったヤセ尾根はアップダウンの連続でなかなか山頂に着かない。歩く人は多く、そのほとんどが普段着と普通の運動靴で、登山姿の人はほとんど見ない。時間も遅いので、早起き早出がモットーの登山者はすでに下山したのだろう。

「地球が丸く見える展望台」から、浜金谷港方面を見下ろす

展望台から

コンサートホールにも似た石切場

石切場

石切場の現場にはこのような標語も残されている

当時の標語か

石切場付近からは、岩から突き出た地獄のぞきを見上げられる

地獄のぞき

観月台コースは明るい照葉樹林の道

照葉樹林の道

観月台コースには、石切場の全体を見渡せるところがあった

石切場の全貌

内房線の浜金谷駅

浜金谷駅


いくつかコブを越え、アンテナ施設の裏手を通って鋸山山頂に到着する。狭い場所だが海の方向が切り開かれており展望はいい。標高330mであっても、海から急斜面で立ち上がった山のため高度感がある。
山頂は数人が休憩していて、ベンチも使われていたためあまり長居せず引き返す。
鞍部に戻り、展望台へ急坂を登る。登って来た方向以外はぐるっと展望が効き、海や房総半島の先端がすぐ近くに見える。足元には鋸山ロープウェイの駐車場らしきものも見えた。また、ここからは地獄のぞきが真正面で、手すりにつかまった観光客がたくさんいる。こちらの展望台の方が標高は高いので、見下ろす感じだ。
地球が丸く見える展望台」という名前は少し大げさかもしれないが、海を見る山としてはなかなかいいところである。

ずいぶん人も増えてきた。急階段を下って吹抜洞窟まで戻る。下山路の観月台ルートでまでは石切り場が連続し、さながら古代なんとか文明の遺跡のようだ。こんなものが山の中にあることが信じがたい。傍らには錆びついた重機も放置されている。石壁の直下にある展望台に上ってみたが、あまりいい眺めではなかった。
見上げると地獄のぞきの展望台がテラス状に、石の山から突き出るようになっていた。手すりがあるとは言え、一番手前まで踏み出すのは結構勇気がいりそうだ。
その地獄のぞきに通じる日本寺分岐まで来たが、料金を取られる上、さっきの展望台の方から見下ろせる位置だったこともあり、わざわざ行くことはなさそうなので、このまま下ることにした。

観月台への下りは雑木林が主体で、車力道よりも明るく眺めも得られる。途中で登り返した台地からは鋸山の全貌が捉えられた。岩山の筋骨隆々とした姿とは違い、どこか退廃的である。
観月台に来ると、昔ここに観光施設として運動グランドが作られていたとの案内板があった。ここからはすぐ下に海辺の町目指して一気に下っていく。階段を下り、朝分かれた車力道を右から合わせる。あっけない下山路だった。

帰路は浜金谷駅を見ていく。ローカル線らしく自然に囲まれたのんびりした雰囲気の駅だった。駅前通り、というほどのものではないが何軒かの食べ物屋さんがある。肉屋のコロッケは登山者の間で話題になっていたが、今日はあいにく三が日で休み。ただ定食屋やラーメン屋は開いていた。
浜金谷駐車場は、セイリング?のグループで占拠されていた。ボートを車に載せる作業が終わるのを待ち、帰路に着く。

東京湾アクアラインは、帰省ラッシュと事故でで少し混んではいたが、それでも5時前には東京の自宅に戻れた。やはり神奈川や千葉の山はアクセス時間かいつもの山の半分近くになる。フェリーやアクアラインを使えばなおさらだ。
この冬はもう少し山深い山にも登りたくなった。

午前の大楠山へ