~紅葉と初冠雪の頂を目指す~ にしぐろおねからたにがわだけ(1977m) 2004年10月16日(土)曇り 8:33上越線水上駅-[バス]-8:55ロープウェイ土合口駅9:05-9:20西黒尾根登山口-10:45森林限界-11:00ラクダのコル11:10-12:45谷川岳[トマの耳]13:25-13:35肩の小屋14:00-15:30天神平駅16:20-[ロープウェイ]-16:30土合口駅17:00-[バス]-17:25水上駅 歩行時間:5時間10分 |
ザンゲ岩を越し、ようやく頂稜部のポールが見えてくる。下のほうに肩の小屋、そして新潟側の大きな展望が初めて捉えられる。感動の一瞬だ。 トマノ耳(1963m)への緩やかな道を登る。天神尾根を登ってくる登山者も合流し、アイスバーンで滑りやすい山頂はかなりの大混雑だ。中には軽装で登ってきて当然アイゼンもなく、狭い頂上で何度も転ぶ人を見てこっちが肝を冷やす。 しかし360度の大展望がそんな気ぜわしさを忘れさせてくれる。こんな素晴らしい眺めは最近見ていない。
巻機山や平ガ岳、燧ケ岳などの会越、尾瀬や上州の山の眺めは言うまでもない。苗場山の背後に雪を被った北アルプス、煙をモウモウと上げる浅間山、八ヶ岳・南アルプス・奥秩父・御坂の山々、そしてそれらの山並みをまとめ上げるように、富士山も堂々たる存在感を示している。大源太山から仙ノ倉山に続く主脈縦走路の眺めも圧巻だ。 山はどれも上州側に雪を多くしたため、越後側はあまり白くなっていない。 少し前に奥多摩の鷹ノ巣山でも、このような曇りの天気で大きな展望を得られた。もしかしたらドピーカンの日よりも、こういう乱反射のない曇天のほうがかえって展望は広く得られるのではないか。これは意外な発見だ。 山々の眺めのすぐ上には青空と雲の境い目が、さっきよりももっとはっきり見えている。今日の上越国境稜線は同時に、天候の境界線でもあるようだ。 オキノ耳の先には一ノ倉岳、茂倉岳の高まりがもう手の届くところにある。しかしその頂上部は真っ白、あそこまで行き着く精神力と体力はもはや残っていない。背中のシュラフと食糧はこのまま下界に持って帰ることにした。 名残惜しいが頂上を辞す。気温も低いので雪は溶けず、肩の小屋から少し下がったあたりまでは、木道が大変滑りやすくなっている。 しかしさっき登りで聞いた話ほど歩きにくい雪道ではない。スリップに気をつけて足場を確かめ、しっかり歩を進めれば大丈夫だ。 高度を下げると雪もなくなる。天神尾根の紅葉は今がちょうど見ごろのようだ。 カラフルな樹林帯の平坦道を楽しみ、天神平ロープウェイ駅に着く。ロープウェイ待ちの行列がすごい。これはすぐには乗れないと思い、頂上では省略していた昼食を建物わきでとる。 ロープウェイ、バスと乗り継ぎ夕焼けのきれいな水上駅に戻る。 高気圧が張り出す明日は青空の下の山行が保証されている。どこかに宿を取って1泊しようか。そうも思ったが今日はこのまま帰ることにする。 「近くてよき山」谷川岳は、こんな曇天下の日帰り山行でも十分に満腹にさせてくれる山だ。登った後の充実感がひときわ大きい。しかしやはり、いつか近いうちに縦走はしなければと改めて思う。 |