-水潤う道を登り広大な平頂へ- なえばさん(2145m) 2009年7月5日(日)曇り時々晴れ (前日発)20:20練馬IC-[関越自動車道]-赤城高原SA(車中泊)-6:35湯沢IC-[国道17号、林道]-7:30駐車場7:40-8:00和田小屋-8:50下ノ芝-9:20中ノ芝9:30-9:45小松原湿原への分岐-10:00神楽ヶ峰10:05-11:05苗場山12:05-13:20神楽ヶ峰-13:47中ノ芝13:52-14:15下ノ芝-15:10和田小屋-15:25駐車場15:35-[林道、国道17号、神立温泉立ち寄り]-18:00湯沢IC-[関越自動車道]-20:40練馬IC 歩行時間:6時間25分 |
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苗場というと、どうしてもリゾート色の強い避暑地とか、賑わうスキー場を思い浮かべてしまい、なかなか登山と結びつかない。しかし苗場山は越後の山らしく、深くて味わいのある山だと聞く。 上越・谷川連峰と隣り合っているが、苗場山は日本海側の気象の影響を強く受けるため、太平洋側の気象とぶつかり合う谷川岳に比べると天候は安定しているとのことだ。新潟・長野県境に位置するので地理的には「信越の山」ということになる。
登山道は四方から伸びている。車でのアプローチが前提となる祓川からのコースは、車のない時は全く検討外だった。時間はかかるが小松原湿原を経由するコースが魅力的である。 しかし結局、この山への初登山は車を使っての祓川コースを取ることにしてしまった。じっくりゆっくり登ることよりも、最近はどうしても手っ取り早さを重視してしまっている。 前回の未丈ヶ岳と同じく、赤城高原SAで前泊した。朝起きると、何とバッテリーが上がっていて大パニックとなる。 幸いブースターケーブルを持っていたので、隣に停まっていた車の方にお願いして、なんとかエンジン起動することが出来た。このトラブルで、出発が2時間も遅れてしまった。
湯沢ICから国道17号で三国峠方面に進む。和田小屋への標識の立つ場所で苗場山林道に入り、山を上がっていく。 途中でゲートがあり、管理人がいた。マイカー登山者はここで登山計画書を書き、ゲートを開けてもらう。タクシー乗車の場合は登山計画書を書かずとも、そのまま入れるようだ。 しばらく林道を上がり、かぐらみつまたスキー場のリフト発着場に着く。手前の駐車場で車を停める。もう7時半になってしまっていたので、駐車場は満車近かった。 支度をして歩き出すとさっそくぬかるんだ道となった。やはり最初からスパッツをつけていくことにしよう。 ここはすぐに林道に出る。その林道をさらに10分ほど登り、ゲレンデの下に出る。右に大きなレストランの建物、そして左側には古い校舎のような和田小屋がある。登山道は、実質的にはここが始まりで、ゲレンデを斜めに進むとすぐに、ブナ林の登りとなる。
始めのうちは歩きにくさは感じないが、間もなく岩の突き出た、ギャップの多いタフな登山道が続くようになる。おまけに、場所によっては小川のように水が流れていて、足を置く場所を選びながら登る。 東京周辺の山に歩き慣れてしまうと、こういう山道にはかなり苦労させられる。「名にし負う越後のぬかるみ」。自分にとっての、最初のぬかるみの山は岩手の焼石岳だった。しかしこれが本来の山の道なのだと思う。 樹林が時々切れ、山裾の眺めが得られる。朝方見えていた青空も、高度を上げるにつれその面積がどんどん小さくなり、ついには雲の下になってしまった。 ゴゼンタチバナ、カラマツソウなど花は最初から多い。コイワカガミもあちこちで群落を作る。今年は行く山行く山でイワカガミをたくさん見る。 標識には地名の他に六合目、六合半、と合目表示も見かける。下ノ芝に来るとようやく斜度が緩み、イワイチョウも見られるようになった。小さな池塘に近寄れば、姿なきカエルのゲコ、ゲコという声が響いている。 笹の中でガサガサ、と大きなものが動いている。前後の登山者と目を合わせ、お互いに「熊ですかね?」と問いかける。でも人間の頭のようなものも見えたので、おそらく山菜採りだろう。人騒がせな人だ。 明るい草原から、道はやがてツガなどの針葉樹林に入る。鬱蒼とした感じはなくどこか明るい。 山の上の方に青空が復活している。大勢の人の声を耳にするようになるとやがて樹林を抜け、中ノ芝に到着した。 ちょっとした草原になっておりワタスゲ、そしてベニサラサドウダンが満開だ。チングルマも少し見られる。 下界の眺めは残念ながら乏しいが、ここから先は青空と白い雲、針葉樹の点在する広い緩斜面に木道が続く、開放的な登山道になる。 上ノ芝の先で霧の搭~小松原湿原へのコースを分ける。ツマトリソウが群落を作っている。いつも単独で咲いているのしか見たことがなく、これだけ密集しているのは珍しい。やはり苗場山は花の山なのだろう。 岩場を下って神楽ヶ峰(2030m)の目立たないピークを過ぎると、初めて苗場山が姿を現す。半分を雲で隠されているが、ずんぐりむっくりした重量感のある山容で、苗場山という名前から受けるイメージとはずいぶん違う。 さすが日本百名山、高き気高き山といった印象もある。 |