マップ

-奥只見の奥山は静かな自然郷-
タイトル
みじょうがたけ(1553m)
2009年6月20日(土) 晴れ時々曇り

(前日発)練馬IC-[関越自動車道]-赤城高原SA(車中泊)-6:10小出IC-[国道352号、奥只見シルバーライン]-6:40泣沢口7:15-7:50三ツ又登山口7:55-8:55 974m峰-9:00松ノ木ダオ9:10-9:50 1204m峰9:55-11:05未丈ヶ岳12:30-13:15 1204m峰-13:50松ノ木ダオ14:00-14:10 974m峰-15:10三ツ又登山口-15:45泣沢口16:00-[シルバーライン]-折立温泉(大鼻旅館入浴立ち寄り)-[国道352号]-小出(ホテルオカベ泊)-[翌日帰京] 歩行時間:6時間25分
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新潟県中越地方の未丈ヶ岳は、奥只見の山と言われているように福島県境に近く、奥深い山だ。
越後側からの尾瀬へのルートとして利用される「奥只見シルバーライン」が開通するまでは、このあたりの山は未開で、登山の対象にはならなかったそうである。今でも登山口に至る公共の交通機関はなく、秘峰めいた存在であることには変わりない。

この辺鄙な山へは、付近の旅館に泊まって登山口まで送迎してもらうのが、アプローチとしては一番現実的である。タクシーは高くつく。あとはマイカーだが、東京からは実に遠く片道220kmある。
一度は関越トンネルをくぐって車で新潟に行ってみたいと思っていたので、今回挑戦してみることにした。ドライブイン前夜泊で、翌朝早く登山口に向かう。


未丈ヶ岳に至る長い尾根を望む

赤城高原SAではよく眠れなかった。運転中の眠気覚ましに濃いコーヒーを飲んだのがいけなかったかもしれない。
4時前に起きて北を目指して出発する。朝霧に包まれた中を関越トンネルに飛び込む。トンネルの中はかえって視界が利くので走りやすい。しかし寝不足で頭がボーっとしていたので、トンネルを出たところの土樽PAで、1時間ほど仮眠した。

改めて出発する。湯沢、塩沢石打とICを通過。関越自動車道の新潟県側は、視界が開けて車も少ないので快適である。もともと関越は運転の楽な高速なのだが、新潟県側はよりいっそう走りやすい。

小出ICで下りて国道を東進。どこかで食料を買おうと思っていたが、コンビニが見つからない。関東近辺の山に慣れてしまうと、コンビニなどすぐに見つかると思ってしまうのがいけない。
このあたりに来るときは、水や食べ物などは前もって用意しておかなければならないのだ。今日の所は、非常食や前の晩の残りもので何とかするしかない。

泣沢口に車を停める
赤い橋を渡る
ヤセ尾根の稜線

奥只見シルバーラインに入る。電源開発用に造られた道らしく、トンネルの多いくねくねした細道である。
そして最後の、暗くて水びだしの長い長いトンネル。関越トンネルも長いが、こちらも果たして出口があるのだろうかと不安に思うくらい、延々と続く。
未丈ヶ岳の登山口はこのトンネルの途中、泣沢(ナキ沢)というところである。
シャッターがあって、その横に車を停めて自分でそのシャッターを開けて外に出るのだ。こんな登山口は日本全国、ここしかないのではないか。
外に出るとそこは、草の茂った小広場になっていた。すでに車が1台停まっている。見ると横浜ナンバーである。広場の先には青空の下、むせ返るような自然むき出しの緑の山稜が、目の前に展開していた。

支度をして歩き出す。と、少し先にゼンマイ小屋と呼ばれる建物、そしてさらに広い駐車場があった。5,6台の車がある。こんな早くから未丈ヶ岳に登っている人がいるのか。(実際はほとんどが釣りの人の車だったようである)。

草いきれの中、緩く高度を落としていく。ガレた岩場を慎重に下って沢を渡る。水量はそう多くなく、靴底5センチくらいである。
続いて崩れやすい沢のへつり道を注意深く進む。のっけから次々と難路に出くわし、今日1日、タフな山登りになることを予想する。

越後駒
ブナ林へ
アカモノ

その後も2回沢を渡るが、いずれも沢を渡る前後に、鎖またはロープにつかまりながらの急坂、急登がある。しかも水の流れる方向に登山道は向かっているので、歩いていてどこか奇妙な印象を受ける。普通、山に入るときの沢筋歩きは、上流に向かって進むはずだ。
これは、今見ている沢が支流で、黒又川の本流に向かって水が流れているからである。

やがて赤いステンレス製の橋を渡ると、初めて指導標を見る。三ツ又の登山口である。
緑濃い森に入ると再び標柱が立ち、ここから長い登りが始まった。初めのうちこそ緩やかな傾斜だが、すぐに細い道の急登となる。
尾根に上がる地点は比較的明瞭で、以降しばらくは、松などの木が立つ展望のよいヤセ尾根が続く。
高みに上がって振り返ると残雪をしたためた越後駒ヶ岳が見えていた。さらに高度を上げると中ノ岳の姿も。そして黒又川が作る深い谷の先に、これまた越後の名山、荒沢岳が形よく聳えている。湿気が多く霞み気味ではあるが眺めの楽しめる道だ。東北や北陸の山ならではだろう。

標高の低いこのあたりは花は少なく、せいぜいヤマツツジやアカモノを見るのみ。尾根筋はイワカガミの葉で敷き詰められているが、花は終わっている。
正面にはすでに未丈ヶ岳の高い壁が見上げられる。1500mそこそこしかないのにものすごく高く感じる。その壁の手前に、これから登っていくべき尾根が幾重にも折り重なって続いている。

蒸し暑くて、寝不足も手伝って早くからグロッキー気味だ。越後の山に来るときはいつもこうである。これではせっかく前夜発した意味がない。

展望のよい974m峰から先、かなり下ってしまう。鞍部である松ノ木ダオは木陰になるのでいい休憩場である。
少し先を行くと、今日初めての登山者に出会った。そういえば登山口に車がたくさん停まっていたのに、未丈ヶ岳に登っている人はそれほどいないようである。釣りの人が多かったのかもしれない。



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