2012年5月19日(土) 前夜発 | |||
◇ | 練馬IC | 22:50 | |
関越自動車道 上里SA泊 |
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◇ | 小出IC | 7:30 | |
国道352号、県道70,501号 | |||
◇ | 渓流公園駐車場 | 8:00 | |
8:05 | 戸隠神社 | ◇ | |
8:20 | 業ノ秤 | ◇ | |
8:58 | 五合目 | ◇ | |
9:25 | 弥三郎清水 | 9:30 | |
9:50 | 下権現堂山 | 10:15 | |
11:05 | 中越分岐 | ◇ | |
11:40 | 上権現堂山 | 12:15 | |
12:55 | 中越分岐 | ◇ | |
13:50 | 中越コース五合目 | ◇ | |
15:10 | 戸隠神社 | ◇ | |
15:15 | 渓流公園駐車場 | ◇ | |
県道501,70号、国道352号 ゆ~パーク薬師立寄り |
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18:00 | 小出IC | ◇ | |
関越自動車道 | |||
21:25 | 練馬IC | ◇ |
ゴールデンウイークに引き続き、新潟に足を運んだ。
今年の冬は6年前の「平成18年豪雪」に近い積雪量を記録したところもあったようで、中越地方の山も雪解けが遅れていたが、5月を過ぎて、ようやく残雪と花を楽しめる時期に入ったようだ。
一昨年の7月、唐松山に登った際に上権現堂山にも寄った。地元魚沼の人々の間では、唐松山よりも平野に近い権現堂山のほうがよく登られているようで、自分も今回は、戸隠神社からの下権現堂山登山コースを歩くことにした。
この時期、春先の中越地方の山の稜線は雪解けで、新緑と花に彩られる。標高が1000m近ければ、ある程度の残雪はありそう。しっかりした登山靴と日焼け止め、サングラスなど、残雪の山に登るときと同じ装備とする。念のためアイゼンも持っていく。
尾根伝いに上権現堂山(右)へ。中央奥に唐松山、左奥は毛猛山塊 |
まだ八重桜咲く |
戸隠神社 |
展望の尾根 |
下権現堂山 |
ブナが現れる |
新緑鮮やか |
山頂に到着 |
小出インターから20分程度で広神地区の「戸隠渓流歴史公園」に着く。川沿いの公園には、遅咲きの桜がまだ残っていた。神社のすぐ下が比較的広い駐車場に停める。朝早くから林道工事か河川の護岸工事が行われていて、トラックが砂利を運んでいた。
園地に入ると水場、そして権現山登山コースの案内板が設置されていた。階段を上がって戸隠神社に入る。ここは、信越の戸隠神社の分社として立てられたものだそうだ。
境内にはまだ雪が残っている。雪の消えた斜面にはカタクリが点々と咲いているが、花閉じられている。戻ってくるころには、日が高くなり咲いているだろう。
登山道に入るとすぐに、中越(なかごえ)コースが分岐する。下山はこの道を使おうか、まだ迷っている。残雪期は道がわかりにくく、迷いやすいそうだ。
下権現堂山へのコースに入るとここにも、雪が溶けたばかりの斜面にカタクリがたくさんあった。樹林はすぐに抜け、業の秤(ごうのはかり)という場所に出る。魚沼の平野が見下ろせる、いい場所だ。
展望地とは言っても、それは登山しない人がここまで上がってきて、眺めがいいね、と言う話。このコースはここからしばらく、低潅木の眺めのよい尾根が始まる。一昨年の唐松山や昨年の平ヶ岳のときも同じように、新潟の山は歩き始めの下部が展望のよい尾根となっていることが多い。
ユキグニミツバツツジを見ながら、かなり急な登りが続く。高度を上げて振り返ると、正面の尾根の向こうに、銀色に輝く越後三山が姿を現していた。越後駒ヶ岳と、右は八海山。その後ろに巻機山も。
進む先には下権現堂山が、まだ仰ぐような位置に。上権現堂山に続くたおやかな稜線も残雪をところどころにしたため、青空との境にきれいなラインを引いている。
急坂を登って再び後ろを向くと、雪山がさらに大きくせり上がってきた。越後駒の左横に、大きく羽を広げた如くの山は荒沢岳だ。八海山と荒沢岳、今年はどちらかに登りたい。新潟の主な山のうち、こうした難所のあるものばかりが残ってしまっている。
守門岳 |
アズマシャクナゲ |
越後三山 |
振り返る |
三角点 |
浅草岳 |
緑と白のコントラスト |
四合目、五合目、・・・登山道の脇には合目標柱があるがどれも倒れている。なぜ地面にささっていないのかというと、やはり雪のせいか。雪解けのときに地面が緩んで倒れたのか、または、閉山の際に最後の登山者がわざと抜いているのかもしれない。
六合目を過ぎると傾斜が緩くなってきた。道には残雪が現れ始め、ブナも目立つようになる。白くスラッとした、きれいなブナ林だ。
倒木を除けながら登っていく。山を左から巻くような道になって七合目。この標柱は地面に突き刺さっていた。そのすぐ先が弥三郎清水と呼ばれる水場だった。冷たそうな水が豊かに出ているが、補充するには及ばす、そのまま先を進む。
突如、山のてっぺんめがけての直登に転ずる。大きな岩をいくつも巻く。岩のテラスになっているようなところは大展望だ。潅木をくぐった先、神湯への下り道を分けたらすぐに下権現堂山頂上だった。
広い広い、大きな展望だ。展望盤もあるのでゆっくり山座同定する。越後三山の反対側には守門岳、浅草岳、毛猛山塊の会越三峰が揃い踏みだ。これは贅沢な眺めである。
上権現堂山の後ろに小さく尖っているのは唐松山か。また、守門の左手には長岡市の鋸山もギザギザした姿を見せていた。魚沼平野の水田には水が張られ、数日後にでも田植えが始まりそう。来週くらいには、これらの田んぼが緑に染まって、さらに素晴らしい眺めとなるだろう。
今日は行程が長いので、早々に腰を上げる。上権現堂山への尾根道に入ると、一面の残雪となった。正規の登山道は右手の潅木の中につけられていて雪はとけているのだが、ヤブや倒木が場所によってはすごいので、そういう時は雪の上を歩く。権現堂山の山開きは6月に入ってからのため、刈り払いや倒木の処理などは、まだ少し先なのだろう。
一人の登山者が追い抜いていった。そうしたら少し先で木に登って、山菜を取っていた。コシアブラらしい。長靴姿だし、地元の人のようである。
中越コース |
ショウジョウバカマ |
慎重に通過 |
群落地 |
カタクリ |
優美な山容 |
やがて岩交じりのヤセ尾根も出てくる。新緑が瑞々しい。イワウチワやショウジョウバカマをたくさん見る。雪解け間もない場所ではカタクリも。
そしてこの、権現堂山の稜線でもうひとつ注目なのは、新潟の山としては珍しくアズマシャクナゲが自生しているということだ。注意して見渡すが、花を付けているのはほんの数株だった。むしろ全体的に見て、いわれているほどシャクナゲの株数が多くない気もする。盗掘の影響もあるのか。ただ、登山道を離れた場所にはもう少し群落地があるのかもしれない。
越後三山や守門、浅草を見ながら、尾根伝いに進む。小さなアップダウンはあるが大したきつさではない。
中越コースへの分岐を過ぎ、上権現堂山への長い登りとなる。雪で白い斜面に新緑が駆け上がっている横を登る。傾斜が緩くなると、上権現堂山に到着する。
一昨年来た時は雪がなく、潅木の中で展望があまりなかったが、今日の山頂はほぼ一面、1m近くの残雪なので眺めがいい。守門岳、浅草岳、そして唐松山の先に未丈ヶ岳まで望めた。
土の出ているところに腰を下ろす。さっき山菜をとっていた人が休憩していたので話をする。下りは中越コースを行くというので聞いてみると、下部は迂回路がつけられていて、それがけっこう歩きにくいと言う。
その人は一足先に下っていった。先行者、しかも地元の人(と思われる)が歩くのなら、自分も中越コースを下ることにした。
中越分岐まで戻り、緩い谷間の道を下っていく。すぐに雪が現れ、方向感覚の乏しいブナ林の中となる。先行者の足跡が1つだけついている。これと、時たま現れるテープを手がかりに進む。
谷底へ下り、平坦な残雪の上をしばらく行く。足の下で水の流れる音がした。ここは沢の上だろう。足跡を注意深く拾って、踏み抜きのないように注意する。
やがて雪が崩れて沢身が露出している場所に行き着いた。ここからは沢の上を歩くわけにはいかない。周囲に目をやると、右手の山腹に這い上がる足跡が付いていて、その先に細い道が続いていた。やがてテープも復活してひと安心である。この踏み跡に気づいたことで、今まで不安だった気持ちも大方消えた。
以後、左下に沢を見ながらしばらく行くことになるが、時々残雪に乗り、沢を越える場所もある。沢筋のスノーブリッジには要注意。場所によっては、渡渉できるところまで藪の中を進み、慎重に沢を渡る。
高度を下げ、ようやく雪も少なくなった。5,6名のグループに抜かれる。今日は追い抜かれてばかりで、この山の中では自分が一番歩みの遅い人間のようだ。スミレサイシンを見て、さらにその先にカタクリの群落地に出た。登山道に沿ったこのカタクリ群落は大きく、100mくらい先まで続いていた。キクザキイチゲも混ざって咲いている。
越後駒が見上げられる登山道は、たしかに途中で本道から迂回するようになっており、左から山腹を巻き気味に進むようになる。足を置く場所が傾斜がきつく歩きにくい。山頂で会った人はこのことを言っていたのだと思う。
それでもオオバキスミレ、マキノスミレ、ミツバツチグリなどが咲く明るい道が続くので飽きない。ユキツバキも鮮やかに花を付けている。
読みにくい標識のある分岐に出る。戸隠神社の方向、右に折れて小さな沢を橋で渡る。それほど大きく下っていかないので、神社はまだかと思った頃、社が下のほうに見えてきた。朝出合った分岐からすぐ、戸隠神社に戻ってきた。境内のカタクリはどれもきれいに花開いていた。下界は暑いくらいだ。
雪解けてすぐの中越地方の低山は、新緑、残雪、花どれもが瑞々しくて素晴らしい山だった。これから標高の高いところもどんどん雪解けが進み、7月には2000m級の山まで行き着く。新潟の山は、雪解けラインを追うように登山プランを立てることになる。
帰りに立ち寄った温泉の建物の窓からは、下・上権現堂山とそれを結ぶたおやかな稜線が目の前だった。