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2010年6月12日(土)前夜発
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◇ |
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練馬IC |
22:30 |
関越自動車道 赤城高原SA泊 |
◇ |
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小出IC |
6:55 |
県道70・553号他 |
7:20 |
手ノ又登山口 |
7:40 |
8:05 |
滝見台 |
8:10 |
8:50 |
上権現堂山分岐 |
9:10 |
鏡池 |
◇ |
9:40 |
いっぷく平 |
9:50 |
10:10 |
猫岩 |
◇ |
10:40 |
唐松山 |
11:05 |
12:45 |
上権現堂山分岐 |
12:50 |
13:23 |
上権現堂山 |
13:35 |
13:55 |
上権現堂山分岐 |
14:10 |
14:37 |
滝見台 |
◇ |
14:55 |
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手ノ又登山口 |
◇ |
県道553・70号他 中子沢温泉羽川荘立寄り |
18:00 |
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小出IC |
◇ |
関越自動車道 |
20:45 |
練馬IC |
◇ |
| タニウツギ |
| ユキツバキ |
| ショウジョウバカマ |
| タムシバ |
| ナガハシスミレ |
| ムラサキヤシオ |
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日本百名山の著者、深田久弥氏は「どの山が一番好きか」と聞かれたとき、こう答えたという。『一番最近登った山です』 その山の印象がフレッシュに残っているからということだ。その感覚は、継続的に山を登っている人はわかると思うし、自分もたぶん、聞かれたら同じように答えるだろう。
今年はゴールデンウィークに残雪の北アルプス、先週には水芭蕉の尾瀬ヶ原に行ったのに、今はこの土曜に登った唐松山・権現堂山が、一番の印象深い山として脳裏に刻まれている。
ここのところ軽快に歩ける山行が続いていたが、今回久しぶりに、汗もいっぱいかいて思う存分歩くことができた。いい山にめぐり会えた気がする。
展望開ける唐松山への稜線
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唐松山・権現堂山は、関東地区の登山者の間ではあまりなじみがないが、新潟県中越地方の日帰りハイキングの山として、地元ではよく登られている。標高が1000m前後とは思えない展望のよい尾根と、ちょっとスリルのある岩稜歩きが楽しめ、雪解けの5月から6月にかけては花も多く咲くという。
新潟の山通いを始めたなら、新緑か紅葉の時期に必ず登っておきたい山である。
| 手ノ又登山口 |
| ヤマツツジ |
| 初めから眺望良 |
| 不動の滝 |
| 尾根を見上げる |
| 涼しい道 |
| イワウチワ |
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小出ICから県道を15分ほど走り、田畑の広がる静かな山村を眺めながらのドライブ。中子沢温泉を過ぎると登山口に至る細道が分岐する。少し先で道は未舗装になりデコボコがひどくなる。
用水池のある手ノ又登山口に着くと、車が2台停まっていた。車の外に出ると、山のひんやりした空気はなく、暑いくらい。快晴だが上空はもやっとしている。でも周囲は緑があふれ、目の前に山があることに安心感がわく。
沢から引かれた用水で水を補給する。帽子と昼食を忘れてきたことに気づく。
コンビニへは相当戻らないといけないし、そもそも高速を下りてからここまで、店らしきものは見かけなかった。予備食で間に合わすしかない。問題は帽子である。この暑さでは熱射病になってしまう。何か代わりになるものはないかと探し、結局タオルを頭に巻いていくことにした。何とかなるだろう。
用水池の脇につけられた畦道を少し行くと、登山道入口があった。藤とタニウツギがきれいな花を付けている。ここにも数台の車が停まっていた。
山道に入る。最初の100mくらいは涼しげなブナ林だが、すぐに上部の開ける尾根となった。振り返るとすでに、周囲の山々の眺めが広がっている。鮮やかなヤマツツジの赤色が、目の高さにある。
尾根を直登していく割には傾斜はきつくない。足がはかどるが日射が強いので、あまり張り切り過ぎないようにする。
展望のいい南斜面の尾根道は、背中あぶりの道でもある。今日は朝の出発が遅く、歩き出しが8時近くなってしまった。初夏から夏に低山を登るときは早朝からの行動が鉄則で、日のあまり高くならない6時台には歩き始めているのがいい。
まだ6月に入ったばかりなので、帽子忘れ、昼食忘れとともにプランニングの油断があったのかもしれない。
平坦な場所に上がった所が滝見台だ。川東地区遊歩道が左から合わさる。
ここも展望のいいところで、反対側には新緑に囲まれた不動滝が見下ろせ、目を上に向ければ、これから辿る尾根筋がくっきりと見えている。滑りやすそうな白ザレの場所もはっきりわかる。そしてその上には、上権現堂山・唐松山間の鮮やかな緑の稜線横たわっている。もうすでに、今日歩くコースの全貌が目で確認できてしまった。
少しだけ下って、ヤマツツジの咲く尾根をさらに登る。足元はイワウチワの葉で敷き詰められている。さっき見えていた白ザレは意外と難所で、不注意の滑落が恐い。下山時にはさらに注意が必要そう。
時間の経過とともに気温もぐんぐん上昇しているようだ。水は1.5リットルを持ってきたが、足りなくなるかもしれない。ほんの1ヶ月前、日光の山を寒さに震えながら歩いていたことが信じられない。
やがてブナ林に入り、暑さから解放されホッとする。緩く上っていくと、上権現堂山への分岐に出た。木陰の休憩適地である。
上権現堂山は帰りに登るつもりだが、この暑さで体力が残っているかだ。
唐松山へは右に折れる。ブナの樹林帯が美しく、残雪も現れる。雪の消えたと思われるところにはイワウチワ、ショウジョウバカマが咲き、ナガハシスミレ、チゴユリ、オオバキスミレも見られる。そしてユキツバキが鮮やかな大粒の赤い花を咲かせている。
展望が売りの唐松山だが、樹林帯も多くの花が見られるので、息つくヒマがない。この山は全域が見所のようだ。
鏡池はほとんどがまだ雪の下だ。あまりの暑さに、雪をすくって首回りにつけてみると、少し意識がはっきりする。頭につかえていた何かが落ちてきた気がした。
潅木の展望尾根に出る。ヤマツツジ、ウラジロヨウラクが見られる。高度を上げて後ろを振り向くと、上権現堂山が形よい。この山は本来はずんぐりむっくりした形をしているのだが、ここからは形のよい三角錐で見える。
| アカモノ |
| 猫岩 |
| 唐松山頂上 |
| イワカガミ |
| ブナ林 |
| 上権現堂山 |
| 魚沼は米どころ |
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再びブナ林に入ると急登となる。登りついたところがいっぷく平で、ここも四方が開けている。行く先に猫岩や唐松山がよく見えるようになった。ただし遠望は利かず、越後駒ヶ岳などの主役の山々は、頂上付近の残雪の白がかすかに見られるのみだ。
水をかなり飲んでしまい、すでにペットボトル1本と少しくらいしか残ってない。
ナナカマドやタムシバの白花が目立ってくる。遠目には残雪ではないかと思われるほど、タムシバはあちこちの山肌を白く染めていた。
岩っぽさが目立つ尾根を行くと、今度はアカモノ、イワカガミの道となる。前方に見えている2つの突起、右が猫岩だ。近づくと右手に巻き道があったが、往路はこの猫岩を登っていくことにする。
岩場の登りになるがそれほど難しくはない。突起部に立つとここも眺めがよい。進行方向に2つあるピークの、右奥側が唐松山である。けっこうまだ高度差がある。
猫岩はここから先がギャップになっており、岩伝いに下ることはできない。稜線に戻る道は、猫岩を右側から回り込むようにつけられているが、2箇所ほど足場が見えない場所があり、少し緊張する。
日もいよいよ高くなって、標高1000m程度の尾根は灼熱の地と化す。登山道が北側に分岐している。この道は地形図には描かれていないが、標柱に「松川林道へ90分」と記されている。
唐松山頂上直下まで来ると、左手に大きな雪田が残っていた。急傾斜のため近づくことはできないが、雪の消えた縁からカタクリが咲き始めている。新潟の残雪の多い山は、カタクリの花期が6月、7月まで続く。
さらに小さなアップダウンをこなし、360度展望の唐松山頂上に立つ。
予備食を片手に周囲をぐるりと一回りする。越後駒や八海山、荒沢岳、反対側に守門岳と、なんとなく輪郭は認められる。秋や初冬の、空気の澄んだ時期ならさぞかしすばらしい眺めが得られるだろう。
それでも眼下に広がるグリーンバンドの山並みは、高度感もあって圧倒される。そして来た方向には猫岩の先に、ずんぐり型に形を変えた上権現堂山が大きい。
山頂には日をさえぎられる樹林などはないので、傘をさして休憩する。水はペット1本となってしまった。これからどのあたりで飲んでいこうか、計画的にいかねばならない。
上権現堂山の分岐まで、来た道を下る。猫岩は、今度は巻き道のほうを行く。花と緑、ブナの瑞々しさと暑苦しさで、爽快感と不快感が交錯する。
鏡池の雪の上に上がり、少し体を冷やしていくことにした。ポリタンの容器に雪を詰める。泥で汚れているので飲料水にはならないが、何かの役に立つだろう。
そのまま雪の上を通過しようとしたのが大失敗。数歩進んだところがすでに雪が溶けて池に戻っており、深さ30センチくらいの水の中に見事に突っ込んでしまったのだ。
靴の中に多量の水が入り、ビチョビチョですぐには歩けず、しばらくの間靴を脱いで乾かす羽目になった。
上権現堂山分岐に着く。体力的にはいいところまできているのだが、もうひと踏ん張りすることにしよう。
権現堂山は戸隠神社登山口から登り、下権現堂山を経て稜線を歩くのが一般的だが、上権現堂山だけなら、こちら手ノ又コースで唐松山とつなげて登ることができる。
上権現堂山への道はけっこう草深く、滑りやすい急登が続く。酷暑の下、草いきれの中を歩くのも久しぶりの感触だ。 30分くらいで傾斜が緩くなると、ムラサキヤシオの咲く平坦地に出た。背後に唐松山が双耳峰のようにそびえている。そこから数分で、鐘のある上権現堂山頂上に着く。
こちらはとりたてて展望のいい場所とはいえないが、やはり開放的な地だ。少し先に行った所の樹林帯で休憩する。
分岐点まで一気に下る。ついに水がなくなった。ここから40分程度の下山路ではあるが、炙られるような展望の尾根がずっと続くので、少々不安だ。でも、それも贅沢な悩みである。
遠くに見える用水池目指して下るとする。正面に越後駒を見上げながら、ザレ地を慎重に下って滝見台を過ぎる。水の代わりに、雪を詰めたポリタンを顔につける。
短いブナ林を抜けて登山口に下り立つ。駐車場に戻り、水場で500mlを一気に飲むと生き返る心地がした。
今日は一足先に夏の山登りをした。1日中汗だくになって、とことん山と対峙した充実感がある。新潟にはこういう、登ることに夢中になれる山が多い。
静かな中子沢温泉で立ち寄り入浴し、道の駅でコシヒカリを調達。その日のうちに東京に戻る。
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