山の写真集 > 谷川岳・越後・信越 > 大力山
  • -峰走りとカタクリの尾根-
  • 宝泉寺-大力山-505m三角点
  • 越後
  • 新潟県
  • 大力山(504m)
  • 2019年4月21日(日)
  • 5.6km
  • 3時間5分
  • 372m(宝泉寺-505m三角点)
  • 龍氣別館(六日町・前日泊)
  • -
  • マイカー
天気1

 

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全体地図 Googleマップ
2019年4月21日(日)
六日町(前泊地) 6:15
  国道17号他
宝泉寺前駐車場 6:50
7:00   秋葉堂
7:07   鉄塔下
7:50 大力山 8:00
8:10 尾根分岐
8:26 505m三角点
9:00 大力山
9:35 287m点
9:55   八色線登山口
10:05 宝泉寺前駐車場
  国道291,117号
句碑公園立寄り
国道253号
六日町IC 13:30
  関越自動車道
練馬IC 16:40

 

魚沼の地も桜が満開となった。道路に雪は残っていない。
昨日は新潟県のブナ林公園巡りをして、六日町に泊まった。今日はあいにくの曇り空だが、せっかく久しぶりに山の近くで朝を迎えたので、低い山に登って魚沼の春を満喫したい。
旅館(六日町)から歩いても行ける坂戸山は、カタクリが見ごろとのことで混みそうだ。ここは裏をかいて(?)、小出の大力山に登ることにする。今まで2回、いずれも新緑のころ登っている。

前日のブナ林公園巡り


ブナの峰走り。萌黄色の線が尾根伝いに稜線へ突き上げていく [ 拡大 ]

宝泉寺手前にある駐車スペース(下山後に撮影)

駐車スペース

民家の庭に植えられたソメイヨシノは満開に

庭に桜

尾根に上るとすぐに眺めが開け、大力山が見上げられる

すぐに眺め広がる

ハイイヌツゲはイヌツゲが低木化した変種で多雪地に生育する。「ハイ」はハイマツと同じで地を這うとの意味。冬は深い雪の下になる

ハイイヌツゲ

タムシバ

タムシバ

稜線上のブナが芽吹く

ブナは芽吹く

大力山のあずまやから、八海山を望む

大力山山頂

大力山山頂から尾根伝いに南下。残雪は風下側だけに残り、冬の積雪量の違いがうかがわれる

風下側に雪が残る


いつも車を停めさせてもらっていた宝泉寺は、敷地に車止めのバーが置かれて駐車できなくなった。その少し手前、ごみ置き場のあるところにスペースがあり、すでに1台停まっている。ちょっと不安だったが、今日は長い時間歩く予定はないのでここに停めさせてもらうことにした。
登山口には今までと同じくショウジョウバカマ、そしてカタクリの花がある。曇っているのでカタクリの花は今日は開かないか。秋葉堂まで上がると正面に大力山の頂上付近が見えた。

この山は登山道に高い木があまりなく、終始見通しはいい。魚沼の山はどこもこんな感じである。低灌木の尾根にはタムシバの白い花が点々と咲き続き、オオカメノキも丸まった葉を開かせるとともに白花をつけ始めている。
登山道に残雪はほとんど見られず、若干ぬかるんでいる程度だ。越後の山道を踏みしめた時の足の感触が気持ちいい。最近は南関東の遊歩道化した山ばかり歩いていたので、よけいそう感じる。灌木の下にはショウジョウバカマ、カタクリのほか、イワウチワも多い。カタクリは閉じたままのものがほとんどなので、今のところは速足で登りがちだ。
今日の新潟の天気予報は1日曇り。晴れか雨雪か、はっきりした天気の多い印象のあるこの地で、1日中曇りということはあるのだろうか。

少し高度を上げるとブナが数本、登山道脇に立っていた。ブナは昨日見飽きるほど見たのだが、山の中で見るブナはやはり自然で、見ごたえがある。明るい黄緑色の葉をたくさんつけ、もう新緑近い状態になっていた。
ただ周囲の他の木は、低潅木含めほとんど芽吹いていない。行く方向を見上げると、大力山の背後に標高600m前後の稜線が横たわっている。残雪の白と黒っぽい杉が目立つでモノトーンの配色の中、緑鮮やかなラインが尾根伝いに稜線に突き上げている。ブナの峰走りである。

マンサク

マンサク

イワウチワ

イワウチワ

ショウジョウバカマ

ショウジョウバカマ

オオカメノキ

オオカメノキ

カタクリ

カタクリ

多雪地で見られるユキツバキと思われる。ヤブツバキかもしれないが、違いがわからない

ユキツバキ

八色線登山口の上で、ブナの大木が集落を見下ろしていた

集落を見下ろす


歩いている登山道にも残雪が出てきた。大力山山頂直下はスキーで滑れそうな一面の雪となっていた。 あずまやのある大力山に着く。八海山など越後三山はまだ純白の衣をまとい、バックの白い空との境目がわかりにくくなっていた。
山頂から、もう少し先に進む。稜線は雪は減るがぬかるみが多い。大力山の最高点を過ぎるとマンサクが見られるようになる。

いったん下って板木城跡方面への道を見送り、とりあえずこの先の505m三角点まで往復する。杉林を片側に見る登りとなるが、足元にはイワウチワが増えてきた。残雪が増え、505m三角点。空模様も芳しくないこともあり、この先の黒禿の頭まで行くのは気が進まない。板木城跡経由で周回もできるが、今日は大力山に戻って下山することにした。

数人の登山者と行き違うが、天気のせいか会う人は少ない。坂戸山は大賑わいだろうか。大力山山頂を過ぎ、下っていくと先ほどは閉じ加減だったカタクリがかなり開いていた。お日様はなくても、気温が上がると開きやすくなる。
やせた尾根にカタクリとイワウチワが咲き続いていた。ここでこれだけの数の花を見たのは初めて。引き返してきて正解だったかもしれない。

八色線と書かれた標識のあるところで下山路が分岐していたので、試しにそちらに入ってみる。地図にも破線で書かれている。八色(やいろ)とは上越線の八色駅のことだと思うが、おそらく今まで歩いていた尾根を乗っ越して駅まで登山道が続いているのだろう。
登山道はわかりにくいこともなく、287m点を越えて集落の見える位置まで下ってきた。下り立つ直前、集落を見下ろすように1本の大きなブナがあった。土地の人にとって守り神の様な存在なのだろうか。
魚沼の低山は昔、どこもブナに囲まれた山だったはずだが、今日、大力山の稜線から周囲の山を見渡してみて、低いところはブナなどの落葉樹が一部の尾根筋にしかしか残っていないのがよくわかった。ほかの山域と同ように、江戸から明治にかけて、炭焼きの原料など需要に応じてことごとく伐られたのだろうか。

南関東や太平洋側の山はその後杉が植林され、新潟の下越・上越の山も落葉樹が生育し、見かけ上は緑の山が復活した。その一方で、魚沼の低山は灌木ばかりが目立つ昔の姿のままだ。斜面は雪崩が頻発するので、高木は尾根筋にだけしか育たないのだろう。
でもそこが魅力であり、低山ながら展望がよく、花や残雪の豊かな独特の景観が楽しめる山域となっている。

道路に下り立ち、宝泉寺までは10分弱の歩きだった。ゴミステーションの駐車スペースには、おそらく山中で行き違った登山者の車が5台ほど、停まっていた。
まだ10時を過ぎたばかり。昨日のブナ林公園巡りで行きそこなった、句碑公園へ足を伸ばして、東京へ帰ることにする。