~上越の個性溢れる山~
7:25越後湯沢駅-[タクシー]-7:45旭原登山口7:50-8:16渡渉点-8:55尾根上-10:00大源太山10:35-11:35七ツ小屋山12:00-12:45池の平(謙信ゆかりの道分岐)12:50-13:30シシゴヤノ頭13:45-14:45水場14:50-15:25旭原登山口15:40-[車]-16:00越後湯沢駅 歩行時間:6時間10分 |
関東地方は梅雨入りしたと思ったらすぐに梅雨の中休み。この土日はどの地方も好天に恵まれた。 奥秩父・茅ヶ岳のツツジや御坂山地で富士見山行も惹かれたが、少し遠出をして、上越の未踏の山に登ることにした。「上越のマッターホルン」とも言われる大源太山である。 数年前、清水峠の十五里尾根から見上げたこの山は急峻な三角錐で、いったいあの山は登れるのだろうかと思った。実際は旭原から明確な登山道が伸びているそうだ。また越後湯沢駅から旭原まではバス便もある。
ピストンなら所要時間も少なく余裕の山行になるが、隣りの「謙信ゆかりの道」も歩いてみたい。旭原からちょうどよい周回コースとなる。 日帰りだと少しきついが、この際タクシーでアプローチしてこのコースを歩くことにする。 なお「謙信ゆかりの道」は平成12年に地元湯沢町の有志の方によって整備された、登山路としては新しい道である。古くは清水峠と同様に、越後と上州を結ぶ交易路であり、上杉謙信が関東出兵の際に使われた道でもある。 展望もよく花も多いので大源太山からのついでに歩くだけではもったいない。上越国境稜線に接続する道としても利用価値は高い。
越後湯沢駅からタクシーで旭原登山口へ上がる。新幹線+タクシーで大名登山になってしまった。ちょっとくらい眺めがいいだけでは済まされない。 タクシーは大源太山を正面に見ながら進む。旭原登山口の駐車場には車が数台、それに何とバスが入っていた。林道には狭いところもあったから、よく入ってこれたなと思う。 ゆっくりしているとバスの団体さんの後になってしまう。準備を急いで、8時前に行動開始する。 杉林を抜け沢沿いの道となる。ステンレス製の橋で反対側に渡る。路面が沢側に傾斜しているので歩きにくい。 謙信ゆかりの道の分岐点がある。帰りはここに戻ってくる予定だ。さらに直進して、今度は飛び石伝いに沢を渡る。水量が多いと難しいところだ。 やがてロープの張られた急登となる。きついが、意外と早くに上方が明るくなる。左が開けた場所からは、これから合流する弥勒尾根が見渡せた。 傾斜が緩くなり、ブナの豊かな尾根に乗る。樹林の切れ間から大源太山の頂上部が見える。 さらに高度を上げると樹林帯を脱し岩がちの細尾根が始まる。背後には苗場山の平頂、湯沢の町並み。展望がどんどん広がっていく。 岩尾根にはアカモノが群落をなしている。他にコイワカガミ、キジムシロ、ムラサキヤシオも色鮮やかだ。 目の上にあるピークを次々と越えていく。天気よく、気温は高いがジメジメした暑さではない。大源太山の怪異な姿を正面に見据えながら気持ちの良い尾根歩きが続く。 湯沢町の先には北陸から日本海側の眺めが広がっている。遠くに見える端正な姿の山は米山であろう。その右方に見えるのは東北の山か、それとも佐渡の金北山だろうか。 気分よく歩いていると、目の前を蜂が飛んでいる。登山道の真上をホバリングしていてこのままでは通過できない。 うっかり変な動きも出来ないので、他の登山者とともにしばらくにらめっこ状態となってしまった。 こういうときはちょっとした動きでも蜂は反応し攻撃してくるらしい。3分ほど後、蜂は飛んで行ってくれた。
場所によっては幅50センチほどの細い尾根を進む。高度感がありスリリングだ。しかし危険というほどの場所はほとんどない。茂倉岳など国境稜線の山々も見え出してきた。最後のひと登りで大源太山頂上に着く。 頂上からの展望はさらに素晴らしい。居合わせた5名ほどの登山者と山座同定をする。残雪輝く巻機山、朝日岳、七ツ小屋山からもちろん谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳。それら主峰の奥には万太郎山の三角形がりりしく、さらにエビス大黒ノ頭、縦に長い1本の残雪が目立つ仙ノ倉山、平標山と上越国境の主な山はほとんど全て見えるといってよい。 意外なのは妙高、火打山の眺めだ。苗場山の右側はるか遠くに2つの山が並んでいるのだが、右の雪の多く付いたほうが火打山なのである。右に見えるのは妙高という先入観がどうしてもあるので、勘違いしやすい。 大源太山は標高こそ1600mに満たなく上越国境周辺の山の中でも一番低いのだが、眺望は一級品である。それに足元、特に南東側は絶壁だ。今の季節もいいが、秋の錦繍の山肌も見てみたい。 これほどいい天気の下で上越の山を歩けるのは初めてなので、ここから先の行程にも期待が膨らむ。 |