-北アルプスと日本海、高山植物-
タイトル
キャンプ場-荒菅沢-笹平-雨飾山
山域 信越
地域 長野県
標高 雨飾山(1963m)
山行日 2010年7月24日(土)  天気
沿面距離 8.0km
歩行時間 5時間20分
標高差 823m(登山口~雨飾山)
宿泊小谷温泉山田旅館(前夜泊)
温泉 雨飾高原露天風呂(立ち寄り入浴)
交通 マイカーHome



2010年7月24日(土)

小谷温泉 5:05
県道114号
5:20 登山口 5:30
5:45 登山道入口
6:15 ブナ平
6:45 荒菅沢
7:50 笹平 7:55
8:20 雨飾山 9:10
9:40 笹平
10:45 荒菅沢 10:55
11:30 ブナ平
11:50 登山道入口 11:55
12:05 登山口
県道114号、国道148号、19号
15:20 更埴IC
長野自動車道
上信越自動車道
関越自動車道

17:55 練馬IC


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小谷村観光情報


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小谷温泉を5時に出発。登山口となる雨飾高原キャンプ場までは、車で舗装道路を15分ほどだ。
途中でツアーバスとすれ違う。この先の登山口でツアー客を下ろし、別の登山口に回るのだろう。ツアーはバスで登山口まで来れて、往復登山でなく別のルートを歩いて下山できるメリットがある。マイカーのときはそうはいかない。


笹平から雨飾山の丸いピークを望む

舗装された広い駐車場に着く。ここは家族連れのオートキャンプ場として運営されており、休憩所とトイレもある。

駐車場はすでに満車近い。土曜日とは言えさすが百名山だ。昨日とは打って変わって、今日は賑やかな山を登ることになる。
今日は最初からTシャツで行く。暑い1日となりそうだ。日焼け止めを多めに塗っておく。

早朝から混雑
急登が始まる
荒菅沢
急登の岩場
背後に広がる展望
覗き込む

最初は湿地帯につけられた木道を、緩く下っていく。水芭蕉の葉が多い。
山頂までの行程を11等分した標識が掲げられており、まず2/11と書かれた登山道入口に着く。木道はここで終わって、雨飾登山の本格的な登りが始まる。

木の根の張り出したジグザグの急登をしばらく我慢して登っていくと、やがて傾斜は緩くなって気持ちのよいブナ林となる。4/11の標識を過ぎ、ブナ平という場所に出る。
山腹を右から巻き気味に進む道は、やがて斜度がほとんどなくなってしまう。歩みが速くなり、そのままザーと音を立てる荒菅沢へ下っていく。
6/11の標識を見て、下りついた荒菅沢は雪渓になっていた。左上部に雨飾山の鋭い岩峰を見ながら雪上を横断することとなる。上流から吹き降ろす風はまさに天然のクーラーだ(エアコンではない)。

このまま雪渓を登っていきたいものだが、登山道は対岸の樹林帯に続く。「雨飾山頂まで90分」の標識。一転してきつい登りだ。
ところどころ整備用の砂袋が置かれているが、滑りやすく両手を使うところも多い。高度を上げていくと潅木帯になり、背中から強烈な日射を浴びる。

クガイソウ
シモツケソウ
ノアザミ
ハクサンフウロ

左手に山頂と思われるピークが現れる。人も見える。このきつい登りは笹平まで続き、右から回りこむように山頂に達することになる。
ヨツバヒヨドリ、クガイソウ、オンタデ、シモツケソウと、目につく花々はどれも日本海の山らしく色鮮やかで、灼熱の苦しさを幾分か忘れさせてくれる。
岩稜の厳しい登りに転じ、梯子をどんどん登っていく。緑の山肌からはオオバギボウシがそこかしこに頭を出している。

登りがついえ、青空が大きくなってようやく笹平に到着した。一転して涼しい風が通り、ギラギラした日光をなだめてくれる。
稜線に上がると気候も全く変わる。目の前には伸びやかな高原状の草地が広がり、雨飾山の丸いピークが奥に控えている。
すぐ先で金山への縦走路を分けて進む。笹平から雨飾山頂上までは、高山植物の宝庫であった。
色濃いシモツケソウがそこかしこに咲き、ハクサンフウロ、ノアザミ、コバノギボウシも。白花はタカネイブキボウフウ、ミヤマウイキョウ、そしてシシウドが青空に映える。風に吹かれながら歩いていくと、マルバダケブキの群落がある。視線を北面に移動していくと、下界に日本海が広がっていたのにびっくりした。

雨飾温泉へ下る道を右に見て、荒菅沢を上から覗き込むようになると、草むらにタテヤマウツボグサが大きな群落を作っていた。
最後の斜面に取り付けばミヤマシャジンが現われ、お花畑は切れることなく、雨飾山の双耳峰の中間点に着いた。
右は石仏の奉られた西峰、左に行けば山名標と三角点のある東峰だが両者間の距離は50mくらいしかない。
後ろから団体が来そうなので東峰は混むだろうと思い、西峰で休むことにした。

百花繚乱
雨飾山頂上
日本海
北アルプス
焼山、火打も

山頂部にはタカネナデシコ、クガイソウ、イブキジャコウソウが咲き、まさに百花繚乱状態である。
そしてここからの展望。今歩いてきた草原の先にさらに稜線が伸び、それは昨日登った金山まで続いているのが見えた。もちろん焼山や火打の眺めも。
さらに戸隠連峰など北信の山々、そして西面には北アルプスの眺望が加わった。雲に隠され気味だが朝日岳と雪倉岳はよく見える。雨飾山の花の顔ぶれは、この雪倉岳から朝日岳間の稜線で見たものとかなり共通していた。
いずれにしても、北アルプス以外でこれほどの花の多い山に登ったのは初めてだ。
そしてもちろん日本海の眺め。朝日岳から日本海に続く栂海(つがみ)新道も、途中まで見えている。あそこを歩くのはいつの日か。

オオバギボウシ
タカネイブキボウフウ
ハクサンシャジン
タテヤマウツボグサ

登山者は続々と上がってくる中、今日も往路を戻ることになる。
雲の塊が風に運ばれ、笹平は日陰で覆われつつある。しかし笹平からの下りは、またしても日差しギラギラの尾根となった。日も高くなって灼熱の度合いはさらに増している。今から登ってくる人は大変だ。
スカート姿の山ガールも必死に耐えている様子。早く稜線に上がってほしい。

荒菅沢に下り切る手前に、雪渓の縁に下りられる細い踏み跡があった。この先の雪渓を横切るところでは水を得られないので、ちょうどいい休憩場所になっている。
雪渓の天然クーラーで精気を取り戻し、下山となる。

登山口到着は正午を回った頃だった。見上げれば山稜にも大きな雲がまとわりつき始めている。この酷暑の中、早い時間に登ることができてありがたかった。

今回の山旅は、高山植物・展望・温泉と三拍子揃ったとてもいい山行だった。長い時間をかけてやってきた甲斐があった。
昨日と同じく雨飾露天風呂に立ち寄り、帰途に着く。土曜日の比較的早い時間だったため、渋滞には会わずにすんだ。