山の写真集 > 大菩薩 > 白谷ノ丸から黒岳
  • -白ザレの大展望-
  • 焼山沢林道登山口-湯ノ沢峠-白谷ノ丸-黒岳
  • 大菩薩
  • 山梨県
  • 白谷ノ丸(1920m), 黒岳(1988m)
  • 2014年1月3日(金)
  • 11.4km
  • 4時間45分
  • 833m(林道ゲート-黒岳)
  • -
  • 天目山温泉
  • マイカー
天気

 

地図
2014年1月3日(金)
調布IC 5:20
  中央自動車道
勝沼IC 6:30
  国道20号,県道218号
焼山沢林道
7:00   林道ゲート 7:20
7:57   登山口 8:10
9:05   湯ノ沢峠 9:15
10:10 白谷ノ丸 10:20
10:35 黒岳 10:45
11:05 白谷ノ丸 11:45
12:15   湯ノ沢峠 12:25
13:05   登山口 13:10
13:45
林道ゲート 14:00
  焼山沢林道
天目山温泉立寄り
県道218号,国道20号
16:00 勝沼IC
  中央自動車道
18:25 高井戸IC

 

3が日の最終日、まだお正月気分も抜け切らない中2014年最初の山に出かけた。南大菩薩の展望のいい峰を目指す。
湯ノ沢峠を起点に、大蔵高丸は数年前の冬に登ったので今回は反対側の白谷ノ丸にした。湯ノ沢峠からだと急登で大変だが、大蔵高丸同様に富士山などの展望がすばらしい。


緩やかな広い斜面の白谷ヶ丸 [拡大]

焼山沢林道を2kmほど上がった所のゲートに車を置かせてもらい出発する。駐車場はない。ゲートが開閉できるように車の置く位置に注意が必要

林道ゲートから出発

柳木場沢沿いの登山道は積雪30cmくらい

沢沿いの道

沢沿いの登山道では氷の造形美が見られた

氷の造形

湯ノ沢峠

湯ノ沢峠

白谷ノ丸への登りにて、大蔵高丸・ハマイバ丸の稜線越しに富士山が大きい [さらに拡大]

南側はパノラマ展望

白谷ノ丸への登りにて、富士山を望む

富士山

北岳から聖岳まで、南アルプスの3000m峰が全て見える [さらに拡大]

南アが一直線

勝沼インターを下り、甲斐大和駅の先で景徳院を通る車道を北上。すぐに道脇に雪があったので、上のほうは積雪がある程度ありそうだ。天目山温泉の先で焼山沢林道に入る。夜明け前でところどころで凍結しているが冬タイヤなら運転に問題はない。
ゲートの手前で車を停める。冬期は登山口までは車で行けない。このあたりは標高1200m。外に出ると相当な寒さだ。氷点下5度は下回っているのではないか。
やがてタクシーが一台、登山客を乗せてやってきた。こちらはゲートを開けて登山口の先、林道終点の湯ノ沢峠まで行くようだ。一般車は真似しないほうがいいだろう。

着込んで出発する。湯ノ沢峠までは3年前の冬、大蔵高丸に登ったときと同じ行程だが、路面はところどころ凍っていて、歩行さえも少し難儀する。やがてタクシーが戻ってきた。上のほうは雪と凍結がひどく、チェーンを付けても車で行けなかったと言う。おそらく湯ノ沢峠手前で客を降ろしたのだろう。

柳木場沢登山口でアイゼンをつける。気温が低いのでおそらく沢筋は凍結しているだろう。
堰堤沿いに未舗装林道をしばらく進んだ後、樹林と笹の中につけられた登山道に入る。沢のところどころで氷の造形が見られた。まだ日の差さない薄暗い樹林の中、きんと張り詰めた空気が冬山に入っていることを実感させられる。
道は沢から遠ざかりはじめ、標高を上げていく。正面に太陽が現れるとあたりの山肌が赤味がかり、次第に明るさと暖かさで満たされてきた。

湯ノ沢峠に到着。避難小屋は以前より老朽化しているものの、中はきれいで布団もある。登山者や写真家が利用しているのだろう。小屋の裏にある駐車場には車はなかった。
北に向きを変え、急坂を登り始める。えぐれた道で両側から伸びる笹がうるさい。初めのうちは眺めもなく黙々と高度を稼ぐ。赤い実をつけた棘のある潅木が、目線の位置で伸びているので要注意だ。
上部右には白ザレの崩壊地がぱっくりと大きな口を開けており、その部分にはあまり雪がついていない。登山道やその周辺には30cmくらいの積雪がある。
南面の尾根道で溶けるのが早いからか、さっきまでの沢沿いの登山道と雪の量はあまり違いはない。

南アルプス悪沢岳(右)と聖岳

悪沢、聖

黒岳の一等三角点は雪の中だったので、掘り出してみた

掘り出し物

白谷ノ丸~黒岳間の広葉樹林は、山梨の森百選に選ばれている

黒岳の広葉樹林

白谷ノ丸付近には風紋も形成されていた

風紋も

白谷ノ丸(左)と対照的な黒木の黒岳

白と黒

崩壊地を左から巻き、その上部の見晴らしのいい場所に立つ。大蔵高丸のこんもりした山体の上に富士山が頭を出していた。さらに高度を上げていくにつれ、富士山がどんどん大きくせり出してくる。西には南アルプスの白いラインが見え始めた。
甲府盆地から富士山の下方、関東地方に至るまで高度1000mあたりに雲海の帯が細長く伸びていて、それを境界にして空が切り取られているように見える。合成写真を見ているみたいで面白い。

大きく開けた平坦地に出た。登山者が一人、もしかしたらタクシーで上がってきた人か。ここからはまさにパノラマ展望である。北側の展望は得られないが、富士山・南アルプス・八ヶ岳・金峰山・乗鞍岳と圧巻だ。特に南アルプスは甲斐駒・仙丈から白根三山、塩見岳、悪沢岳、赤石岳、聖岳、笊ヶ岳に至るまで全部見えている。
白谷ノ丸まではもう少し。今までトレースはあったがこの先は薄くなる。小さいコブを越えると白谷ノ丸の2つの丸いピークが現れる。標識のある白谷ノ丸頂上からはさらに広い眺めである。乗鞍の右に見える雪山は北アルプスの主峰だろうか。

さらに黒岳まで歩を進めることにする。往復コースなので、あまり遠くへは行けない。白谷ノ丸北面の斜面を下る。標高は1900mを越えており、シラビソなど針葉樹の植生となるが、斜面を下りきるとミズナラなどの穏やかな林になる。山梨の森百選「黒岳の広葉樹林」という看板が立っている。
雪上の足跡はなくなり、ところどころで膝上まで潜るようになった。黒岳への登り返しは長くきつかった。黒岳の山頂は樹林の中の切り開きにある。一等三角点があるが展望はない。三角点標石が雪に埋もれていたのでほじくり出してみた。

白谷ノ丸に戻る。一段下がったもうひとつのピークで休憩することにする。しかしそこまでのトレースがなく、数10mなのに10分くらいかかってしまった。
そちらのピークは南アルプスの甲斐駒や薬師岳のような白砂の台地になっていて、雪が溶けて地面が見えている場所も多い。そういう場所に腰を下ろして、大パノラマをおかずにゆっくり休憩する。風もなく暖かささえ感じる1900mの地だった。
展望を見納め、湯ノ沢峠へ一気に下る。湿った雪が重たく、アイゼンの裏にひっつきやすい。湯ノ沢峠で小休止し再び沢沿いに下っていく。凍結していた道は随分緩んでいたが、まだ谷間の冷えた空気が残っている。
淡々と歩いて林道の登山口に出る、あたりがパッと明るくなった。アイゼンとスパッツを外し、凍結した箇所に注意しながら舗装の道をゲートまで戻る。朝見たタクシーの客以外に、登山者はいなかった。

車でアプローチしたとは言え、日帰りで2000m近い雪の山へは以前は簡単には行けなかったというか、敬遠していた。昨年の銀山平、守門岳の山行を経て、雪山の歩き方が少し身についてきたのかもしれない。あまり無理することなく、今年の冬は雪を楽しみたいと思う。
天目山温泉では甘酒、みかんのサービスがあった。