~マツムシソウ満開の草原漫歩~
タイトル
おおやがまるからおおくらたかまる
2002.8.25.(日) 曇り時々晴れ
マップ
中央線甲斐大和駅7:15-7:45景徳院-9:25曲沢峠-10:55大谷ガ丸11:10-11:25米背負のタル-12:30ハマイバ丸12:45-13:40大蔵高丸13:50-14:25湯ノ沢峠-15:55天目温泉
歩行時間:7時間35分
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ヨツバヒヨドリ、ハクサンフウロを見ながら緩やかに登って行くと、やっとマツムシソウが現れる。ハマイバ丸のピークに近づくにつれ、お花畑もどんどんにぎやかになっていく。マツムシソウの密度がさらに高まる。

ハマイバ丸への最後の登りは、大きく展望が開ける。天気がよければ背後に富士山が大きいはずだが、今日は朝から雲の中。大谷ガ丸のこんもりした塊が視界に入る。
マツムシソウお花畑
マツムシソウお花畑
マツムシソウお花畑

ハマイバ丸(1752m)山頂は一転して樹林の中だ。「桑西下り口 ・歩3分」とある。さっきの展望地付近に下る道があったようである。

休憩して歩き出すと、再び草原の中へ。マツムシソウはますます群生の度を高める。展望ほぼ360度のピークに登り着くが、まだ大蔵高丸の山頂ではないようだ。付近には大きな三脚やカメラを構えた人がたくさんいる。マツムシソウが「わんさか」咲いている。タムラソウ、アキノキリンソウ、コウリンカ、マルバダケブキも。

北アルプスのお花畑も壮観だが、ここ大蔵高丸-ハマイバ丸間もそれに負けない。広さや規模は比較するべくもないが、花の種類と密度でいえばこっちのほうがすごい。
整然と咲き揃っているのではなく、表現が変だが、「容赦無く咲いている」とでも言いたいくらいだ。本当のお花畑とはこういうのを言うのかもしれない。

さらに短い樹林を越すと、さらにすごい光景を目の当たりにする。あたり一面のマツムシソウだらけ。これには圧倒された。
これはもう先に進めない。ザックを下ろし、写真を撮りながらしばらくそのへんを行ったり来たりする。

ダケカンバの木を見ながらさらに登高する。花の途切れるところにはススキが目立ち、やはり季節の移り変わりを感じさせる。
ゆるく登ってようやく大蔵高丸(1781m)。北面を除いて270度の展望。小広い山頂の回りには花は目立たなく、逆にほっとするくらいだ。
他の登山者が、少し西に行くとウメバチソウが咲いていると言うのだが、ちょっとここは遠慮して、広々とした山頂で一休みする。

大蔵高丸 花の写真館

この山頂は晩秋から冬にかけて、富士山の展望が素晴らしいという。四季を通じて魅力いっぱいの山域ということだろう。一度訪れたら必ずもう一度来たくなる、リピーターの多そうな山である。

大蔵高丸山頂
大蔵高丸山頂
大蔵高丸
大蔵高丸
湯ノ沢峠へ下る
湯ノ沢峠へ下る

甲斐大和駅から大蔵高丸まで、実に長い長い登りの行程であった。湯ノ沢峠に向けてようやくの下山となる。
大蔵高丸の直下は気の抜けない下りだ。やがて再び小広い台地に出る。大勢の人がいる。見ると登山者ではなく、普通の行楽客のように見える。湯ノ沢峠まで車で上がってきたのだろうか。
あたりは開けた台地だが休憩場所は狭い。みんな所構わず腰をおろしている。アップで写真を撮ろうと、花の咲く場所にどんどん踏み込んでいく。草地が痛んでしまわないか、裸地化が進まないか心配になってしまう。

のびやかな草原をしばらく下って行くと湯ノ沢峠。小金沢山からの道と出会う場所だ。ここにも15人くらいの人がごったがえしている。
今回は大谷ガ丸を経て、長い登りの末にたどり着いたのだが、反対側の湯ノ沢峠まで車で上がってしまえば、ちょっと歩くだけでそこそこのお花畑を見れてしまう。
手軽にここに来れてしまった人の目には、このお花畑はどのように写るのであろうか。目の前に展開する景観は同じものであっても、きっと自分とは違うのが見えているのかもしれない。

ここは、まだ広くは知られてはいないが、いずれは奥多摩・御前山のカタクリのように、観光バスでのツアーが組まれて人が大挙押し寄せて来るようになるかもしれない。
御前山も大菩薩嶺も、今は登山道とお花畑との間は柵で仕切られ、山野草はロープ越しにしか鑑賞出来なくなってしまった。柵のない大蔵高丸の稜線も近い将来、同じ運命をたどってしまうのだろうか。

救いはある。大蔵高丸もハマイバ丸も、山を越えてくるには相当の急登をこなさなければならない。一般の行楽客が大挙押し寄せて来れるような場所ではかろうじてない。
両峰の間にある楽園のようなお花畑は、とりあえずはその急坂のおかげで豊かな自然が保たれているように思える。残るは、やって来る登山者のマナーの問題だ。登山道は努めて中央を歩き、道を外さないこと、道幅が広がり周囲が裸地化するのを少しでも防ぐことが大切だと思う。

しかし、このような場所でも、車道が山を切り開いてしまったらすぐに荒れてしまうだろう。まさにこの一帯は林道建設真っ盛りの地でもあり、今後の延伸計画が気になるところだ。

避難小屋の横を通り、焼山沢に沿って下って行く。この沢筋の道も気に入っている。
30分ほど登山道は終わり、湯ノ沢峠からの車道と出会う。あとは1時間ほどの車道歩きで天目温泉へ。

ハマイバ丸から大蔵高丸、やはり素晴らしい縦走路だった。ここには、そう遠くない時期にまた来ることになろう。


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