~ユーモラスな姿形の早春の使者~
タイトル

おぐらやま(954m)
2007年2月25日(日) 晴れ後曇り

8:42中央線塩山駅-[バス]-9:10湯原-9:20ザゼンソウ自生地10:40-10:55平沢集落分岐-11:15上条峠-11:42・996m峰-11:50分岐-12:00小倉山12:45-12:55水晶山-13:25鉄柵-13:37農道-14:00青梅街道-14:35塩山駅-[中央線]-甲府駅(古名屋ホテル泊)
歩行時間:3時間20分

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2月の最終週、山梨へ早春の花を見に行った。暖冬の結果、開花時期が例年より2週間ほど早いようである。
日曜日は甲州市塩山、小倉山の麓にあるザゼンソウ自生地へ。甲府に泊まり、翌月曜に身延線を使って市川三郷町を訪問する。芦川沿いにある節分草の自生地を回った。

ザゼンソウのほうは山登りと絡めて計画を立てられるが、芦川沿いは四方を山々に囲まれているにもかかわらず一般的な登山道が少ない。登山ガイドやインターネットの山行サイトでもあまり取り上げられていない。自生地から伸びる地形図上の破線路を辿れば、芦川北側稜線(北稜)に達せるものと考えた。

ザゼンソウ
ザゼンソウ

塩山駅から玉宮行きバスに乗り、湯原で下車する。旧塩山市内を走るので運賃は一律100円だ。右手には高芝山から小倉山に続く稜線が大きい。

バス停から少し戻って左折する。タクシーが数人の登山者を乗せて来たが、この時間に駅から来るならバスに乗ればいいのにと思う。ザゼンソウ自生地まではほんの10分弱の歩きだ。

「竹森のザゼンソウ」は地元の努力もあってかなり知られるようになってきた。小倉山周辺の登山道マップも書かれた大きな案内板が立てられ、入口近くには売店も出ている。
自生地には木道が張り巡らされている。ぐるっと1周回るのに30分くらいかかる、かなり広い場所だ。

広いだけあって、いろいろな色形のザゼンソウがある。赤茶色のほか黄色がかったもの、白く尖ったものなど。ユーモラスでちょっとグロテスクないでたちが面白い。


木道が敷かれた自生地

ザゼンソウ

白いものもある

春の山野草の中で真っ先に見るのがこれとは、少しインパクトありすぎである。惜しいのは、木道の上から見下ろすため近づいてじっくり観察しにくいことだ。

お昼近くになり見物の人もどんどん増える。撮影を切り上げ小倉山への登山道に歩を進める。なお、自生地の奥から先に小倉山への近道があるのだが、今日はこれを登らずに平沢集落から上条峠を経由するコースをとる。
売店の横を通って山道に入る。平沢分岐までは尾根コースと沢沿いコースとがあるようだが、尾根コースも途中で沢の近くを通る。

平沢集落が見えたところで右折し緩やかな登りとなる。自生地を後にしてからは植林がない、穏やかな雑木林の道である。ダンコウバイの木があればもう咲いていい時期だが、周囲に樹の花は見られない。

前方の稜線が近づき、少しの登りでその稜線に上がる。左方から声が聞こえる。ここが上条峠のようだが特に目印はない。反対側には車道が伸びてきている。
高芝山とは反対の方向に尾根を進む。小さいピークを越えると左(南側)が開け、塩山の市街地と富士山が眺められる。ここには指導標もあり、さっき登ってきた山道のほうを指している。登っているときは気づかなかったが、この稜線に上がる道がもう1本あったようだ。

細かなピークをどんどん越えていく。見通しの良い雑木林で、先に進むのがもったいない。反対側から登山者がどんどん登ってくる。ザゼンソウ自生地からのルートを登ってくる人のほうがやはり圧倒的に多いようだ。
やがてアカマツの茂る996m峰に着く。南北に長い頂稜部からは小倉山が少し下のほうに見え、ここが小倉山よりも標高が高いのがよくわかる。小倉山の頂上部は杉などの植林が優勢のようだ。


冬枯れの雑木林

頂上から南アルプス

大きな矢印

鞍部に下るとザゼンソウ自生地からの道を合わせる。広くなった道を登ると、ベンチと木製の展望台が立つ小倉山頂上だ。
西面が広く刈られ、南アルプスの展望がほしいままである。大菩薩嶺の雷岩からよりも南アルプスはずっと大きく見える。もう日が高くなってしまっているのでくっきりした眺めではないが、早い時間に登れば南アのよい撮影地となるであろう。

小倉山からの下山は南尾根を行く。一般登山道ではないが、こちらに下ったほうが塩山駅にも近いし、青梅街道に出れば大菩薩峠登山口-塩山間のバス便も利用できる。また「中央線の山を歩く」、「静かなる尾根歩き」、そして新ハイキングの2003年3月号の記録いずれもこの南尾根を下りに取り、尾根末端まで歩き通している。

下り始めははっきりとした植林下の道だが、次第に倒木とヤブで歩きにくくなる。くるっと1回転した松の木がある。
ちょっとした高まりである水晶山を越え、肩のような場所に出る。「中央線の~」ではここで石積みを見て尾根を外れ玉緒神社に下る、とあるが石積みなど見られない。西に下る踏み跡のようなものは認められるもののかなり薄いので、これはこのまま南尾根を下ったほうがいいと判断した。

歩きにくいヤブの下りは続く。踏み跡がはっきりしなくなったので尾根を外さないように下る。樹木の先に塩山の町並みが見下ろせる。
足まかせにどんどん下り、尾根が広くなるとやがて鉄柵に出会う。これをまたぎ山腹を巻くダートの道に下りられた。新ハイの記録と同じようである。

さてここから林道を右に進むか、左に行くか。新ハイの記録ではここから少し右に行ったところにある正面を下る道に入っている。その踏み跡もはっきりわかったのだが、林道にふと目をやると、木の枝で大きな矢印が右方向を示しているのに気づく。こんなでっかい矢印なら従わないわけにはいかないだろう。右に進路をとることにする。

武田信玄像

しばらく行くとあずまやと墓地があり、そこから半舗装の道が下の農道まで下りていた。的場橋を渡り塩山北中学校の横を通って青梅街道に出る。この下山ルートは結局「静かなる尾根歩き」と同じだったようだ。

塩山北中学校の横を通り青梅街道に出る。しかしバスはしばらく来ないので、このまま塩山駅まで歩くことにした。
小1時間ほど車道を歩き塩山駅北口に着く。普段塩山駅から山に行くとき、南口ばかり使っていて北口は初めてだった。駅前の旧高野邸は立派な造りの建物で、甘草(かんぞう)屋敷の名称で甲州市の重要文化財に指定されている。多くの見学者で賑わっていた。

今日はこのまま甲府駅まで行き、市内のホテルに泊まる。


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