~春風薫る雑木林の尾根~
タイトル
ごんげんやま(1311m)、あそうやま(1267m)
2007年3月26日(月) 晴れ後時々曇り

7:14猿橋駅-[バス、田無瀬乗換え]-8:00富岡-8:35合流点-(北峰巻き道引返し)-10:55麻生山11:10-11:50権現山12:25-12:55雨降山-13:25入山-13:45二本杉-14:20墓村-14:45用竹15:08-[バス]-15:35上野原駅
歩行時間:5時間55分

マップ
冬の権現山・麻生山 Home


相模湖駅から石老山・石砂山に登ろうと思ったが、一面のガスで何も見えていない。中央線を下りずにもう少し先に行く。今日の第2候補、権現山に登ることに変更する。今日は天候などの条件が怪しかったので、複数のコース案を用意してきていた。せっかくの平日休み、少しでもいい条件の下での登山をしたい。(もっとも相模湖あたりも、昼近くなればガスも晴れると思うが)


富士山の展望

ダンコウバイ

アカネスミレ

猿橋駅から奈良子行きのバスに乗り田無瀬で下車、上和田行きのバスが来るのを待つ。
15分後にやってきたバスは田無瀬始発かと思っていたが、運転席上の料金表示を見るとそうでもないようだ。いったいどこから来たバスだろう。富岡バス停で下りるときに聞いてみればよかったが、整理券を取り忘れてあわてていたので聞き逃した。

富岡バス停から里道を歩き、ウグイスの初鳴きを聞きながら山に入っていく。天神峠、麻生山への指導標に従う。
やがて富岡からのもう1本の道と合流する。どこが天神山なのか、今回もわからなかった。

少し高度を上げると南側が開け、富士山が見えてくる。上空に雲も出ているので、権現山に着く頃は見えていないだろう。今のうちに写真に収めておく。

周囲はやがて、自然林の気持ちよい尾根となる。長尾根は距離こそ長いが、自然林が多く季節感に満ち溢れている。今の時期のように、冬から春に季節が移り行く時は瑞々しい景観に出会える。
足元にはシュンラン、スミレ、視線を上げればアブラチャンやダンコウバイ、キブシなどの木の花が盛りである。また、木はこの時期特有の甘い香りを放ち始めている。隣りの鋸尾根を見ながら、決して急な登りのない道をゆっくりと進む。

麻生山が近くに見上げられるようになる頃導標が現れる。正面の尾根には導標は指し示しておらず、北峰へのトラバース道のみ明示している。その道に入るが場所によっては落ち葉が膝上まであり、路肩の狭い箇所もあって少し緊張する。
やがて枯れ沢状の所に着くと踏み跡が土砂で寸断されている。いや、寸断されているように見える、と言うべきか。
いずれにしても先に進むには、少し危険なトラバースが必要である。四点支持の姿勢で乗り切ろうとするがかなり危険だ。

麻生山

稜線を権現山へ

ここは以前下りにとった道なのであるが、そのときは緊張する場所はあったものの、通過するのに困難な場所はなかったと記憶する。
やはり崩落でもあったのだろうか。それとも自分が危険な場所と心理的に感じる条件が、以前に比べて広がってきているのか。

やはり無理しないことにした。先の分岐まで戻り、尾根筋の直登道を今度は選ぶ。
エアリアでは赤破線扱いとなっているがこちらに危険な場所はほとんどない。ただし斜度50度はあろうかというほどの急登である。
広い尾根のため踏み跡は何本も付けられており、この尾根筋はさっきのトラバース道よりもむしろ多く歩かれているのではないか、そういうふうに思える。

熊笹が現れ、じきに丸い平頂に出る。稜線を権現山とは反対方向(西)に進み、ひと登りしたところが麻生山(1267m)だ。
樹林に囲まれて展望は乏しい。木の枝から垣間見える御坂の山々、そして富士山は大方春霞の中に隠れてしまっている。

さらに西に行けばもうひとつの「麻生山」、そしてさらに展望のいい北峰に至れるが、今日はこのまま引き返して権現山に向かうことにする。
アカマツ、ミズナラ、クリなどの自然林が多い稜線は緩やかで気持ちがいい。正面に見える権現山がどんどん近づいてくる。権現山は近くの山から見ると、丸いこんもりした山頂部をしているが間近では形の良い三角錐である。
四方に何本も支尾根を伸ばしている大きな山稜らしく、根張りの大きな堂々としたいでたちだ。

権現山の二等三角点
[ 権現山の二等三角点標石 ]

着いた権現山頂上からは、北側に奥多摩や奥秩父の山々が一望できる。南面はやはり潅木が成長しているようで、4年前に見たときほど広い展望は得られない。富士山は今は霞んで見えていない。

頂上の中央に二等三角点標石がある。権現山の三角点標石は大変きれいで、普通だと角が欠けていたり字が読みづらくなっていたりするのだが、ここのはまるで出来たてそのままである(他の山と同じ様に土砂流出の影響で基部がむき出しになってきたが)。
前に来たときも同じことを思ったので、誰かがまめに手入れをしているのではないだろうか。
平日で誰もいなく静かだったがやがて一人登ってきた。

下山は用竹への道をとる。日本武尊を奉った大ムレ権現を見て、高度を落としていく。権現山の東面は西面に比べて植林が多いのが難点だが、高原状の明るい尾根歩きの部分もある。
北面が自然林で木の間から奥多摩の山々がよく見える。


シュンラン

菜の花咲く墓村集落

雨降山(あふりやま・1177m)には巨大なアンテナ設備がある。巡視員が数人、機器の点検をしに来ていた。
こういう人工物があるととたんに山道がわかりにくくなる。巡視員の人に、用竹への下山路はどっちかと聞いてみたが、わからないという。平坦地を進むとすぐに山道に戻れた。
アンテナのあたりで車のエンジン音が。さっきの巡視員が車で下るところだ。雨降山には車道が通じているようである。

以降の山道は、植林と雑木林が交互に現れる感じだ。緩やかに下り、次のピークが入山(1028m)。山名板に「寺入山」と書かれていて、その「寺」の字が消されている。
三ツ森北峰の北側に大寺山、小寺山があり寺の文字は阿寺沢の名前に由来しているのだろうか。
薄暗い植林の中を下り、分岐のある場所が二本杉というらしい。人工林に混じって杉の大木が1本あるがもう1本は根元から切られている。

次の分岐で墓村への道に入る。いったん開けた場所に出て、用竹や棡原地区の家並みと笹尾根の眺めが得られた。 ダンコウバイやシュンランがここでも見られる。
里道っぽくなったと思ったらじきに民家の屋根が見えてきた。墓村集落はその名前とは裏腹に、明るい山上集落の雰囲気だ。路地にはスミレが多く咲き、梅に菜の花の黄色が山の風景にマッチしている。
舗装道を30分ほど歩いて用竹バス停に下りついた。

季節の移ろいを肌で感じることの出来る山道を、今日は歩いた。


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