~芽吹きの森とヒカゲツツジ~
タイトル

みつもり(1250m)、おおてらやま(1226m)
2003年4月27日(日) 曇り後晴れ

8:46中央線猿橋駅-[バス]-9:11杉平入口バス停9:25-9:40登山口-11:30北峰(三ツ森)11:45-12:10尾名手峠-12:30北峰-13:05大寺山13:15-13:35小寺山-14:10西原峠14:25-(休20分)-16:00中風呂バス停16:32-[バス]-17:10猿橋駅
歩行時間:5時間35分

マップ
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今日は鋸尾根を登り三ツ森(北峰)、大寺山へと歩く。最近気になっている権現山西側の山稜だ。
この時期、ヒカゲツツジの群落で人気の坪山が尾根続きにある。この日も相当の混雑のようだが、時間に余裕があれば寄ってみたい。
三ツ森から大寺山・西原峠に続く稜線は一般登山道ではなく、インターネットで情報を得ようとしても、意外と山行報告が少ない。必然と25000地形図を抱えての歩きになる。
小姓集落
小姓集落
霧に煙る
霧に煙る

ゴールデンウィークに入り、山も一気に春めいてきた。杉平入口のバス停から見上げる山々は、下部はかなり緑色のラインが上がって来ている。少し前まで山は灰色だったのが、山麓はいつのまにか新緑真っ盛りになっている。

しかし天気予報とはうらはらに、空は鉛色。時々霧雨の降る中、小姓集落の小道を進む。指導標に従って、川を渡ると道は登りに転じる。

やがて1軒の農家の前に出る。「麻生山ですか?」家の人が声をかけてくれる。「ええ、鋸尾根」「道はこっちですよ」
「北峰」を示す指導標があり、畑と家の間を登って行く。家の裏は茶畑になっている。
新緑の鋸尾根
新緑の鋸尾根
ナガバノスミレサイシン
ナガバノスミレサイシン
北峰(三ツ森)頂上
北峰(三ツ森)頂上

しばらくは植林のジグザグの登りだ。やがて雑木の森となる。鮮やかすぎるほどの緑色。新緑の森を歩くときはむしろ、今日のような曇りや雨模様の天気のほうがいい。あまり日が射し過ぎると、反射で葉の緑色が鮮やかに見えないことが多い。

意外とミツバツツジは少なく、深紅のヤマツツジがたまに見られる。足元にはミミガタテンナンショウやチゴユリ、ツクバネウツギ。高度を上げるとヒトリシズカ、スミレも多く見かける。木の花はマメザクラ、ヤマブキソウが見頃だ。

急登が続きかなりきつい。傾斜が緩みホッとするとまた急登。木々の葉も芽吹き程度になり、かわりに霧が周囲を覆い始める。ヤセ尾根の続く先が、霧に溶け込んで見えなくなっていて幻想的だ。
ヒナスミレ?が固まって咲いている。花はどれも雨に濡れている。

小ピークを右側から巻き、やがてアップダウンの道になる。岩も出てくる。天気がよければ景色も楽しめるかもしれない。
そのうち、頭上が明るくなってくる。すぐ上にある雲を突き抜ければ、青空になりそうである。

「鋸尾根」とある指導標の後、小さな登りをこなすと、「北峰 1202m」の表示のあるピークに着く。北側を除き270度の展望。南側、雲海の上に道志・御坂の稜線が見え出す。富士山は雲の中だが、展望の楽しめる頂だ。

本当なら、さっきの指導標まで戻り、大寺山への尾根を行くはずだった。しかしここで勘違い。その分岐は「三ツ森」というピークにあるのだと思っていた。
北峰の先に三ツ森があると思い、さらに先に進んだ。岩峰を3つ登って下りる。ヒカゲツツジが咲いていた。ここで見れるとは知らなかった。岩面にはイワカガミと思われる葉も群生していた(花はまだ)。

やがて、鞍部に下り立つ。見覚えのある峠。尾名手峠だった。しまった、通り過ぎた。三ツ森はどこだ?

この時点でわかった。さっきの「北峰」とは三ツ森のことだったのだ。
しかしここで疑問がわく。25000図を見ると、北峰とされるピーク(山名が載っているわけではない)は、等高線から明らかに標高は1240mを越えているのに、さっきの山名板には1202mとあった。25000図の間違いだろうか。
自分は、三ツ森は標高1250mくらいと思っていたので、先に進んだのだが。

さらに、「北峰」とは何の北なのだろう。一般的には「麻生山の北峰」とされているが、それは麻生山のすぐ近くのピークのことのように思える(先月の山行記参照)。麓の指導標にも単に「北峰→」とだけ書かれていた。

ミツバツツジ
ミツバツツジ
ヒカゲツツジ
ヒカゲツツジ
ヒカゲツツジ
ヒカゲツツジ

いずれにせよ、戻らねばならない。30分ほどのロスだ。北峰(三ツ森)に登り返すとグループが休憩していた。同じように大寺山方面を目指すという。先ほど青空まで見えていた展望は再び隠されていた。

北峰を少し下り、指導標のところから北に伸びる稜線に入る。崖のような急な下り。しかしそれも短く、すぐに歩きやすくなる。
指導標はないが、たまにビニールテープが木に巻かれている。尾根の形状ははっきりしているので、迷うようなところはない。
けっこう太いブナもある。高度を下げ、芽吹きの森が復活してくる。
大寺山へ
大寺山へ

大らかな図体の大寺山へはちょっとした急登となるが、天候も回復方向で気分よく進む。大寺山頂上(1226m)で休憩する。
雑木に囲まれていい雰囲気だ。簡単な手書きの山名表示が木に付けられているのみ。

来し方を振り返るが、さっきの北峰のほうが明らかに高い。25000図が正しく、北峰の山頂にあった標高表示は誤りのように思われる。

小寺山へは、少々ヤブっぽくなる。芽吹いて勢いを取り戻した木の枝が、時々顔にあたる。カラマツも芽吹きが始まりきれいだ。小寺山(1165m)もまろやかな山頂で、さらに地味である。山名表示は見つからない。
久々に見る杉の植林を回り込むように、高度を下げて行く。アカマツの混ざる道となり、ミツバツツジも多く見かける。
鋸尾根を見る
鋸尾根を見る
中風呂への下りにて
中風呂への下りにて

やがて林道の通っている鞍部へ。ここは西原峠だろう。小寺山・西原峠とも、地図に名前が載っているわけではなく、それとわかる標識も現地にない。じゃあいったいここがどうして西原峠と言えるのか、と言うとそれはいくつかの文献(「中央線の山を歩く」(新ハイキング社)やインターネットでの報告など)でそう呼んでいることを根拠にしている。

時間に余裕があれば坪山まで足を伸ばしたいところだが、下山後のバスに間に合わない恐れがある。道を間違えたのがまずかったが、ケガの功名か、間違えて歩いたところでヒカゲツツジを見れてしまった。坪山に今日行く目的がひとつ減った。
今日はここで、中風呂へ下山することにする。

峠から左折するとすぐにカタクリの群生がある、が、花期はほとんど終わり。道は大変よく、手入れされた普通の登山道と変わらない。新緑を楽しみながら、努めてゆっくり下る。バスの時間まで余裕がある(普通に下ると1時間弱くらいか)。

切り開きに出会い、ギザギザの鋸尾根を北側から見る。新緑のラインがすぐ下まで上がって来ている。

眼下に車道と集落が見えて来て、ほどなく民家の横をすり抜けて下山となる。川を渡って車道に上がり、少し右に進むと松姫鉱泉の建物と釣り場が見えて来る。中風呂バス停はそのすぐ前にある。15名ほどの登山者がバス待ちをしていた。

自然林が多くてこの季節には最適の山域である。駒宮や小姓・中風呂など、葛野川流域の集落の風景も心和むものがある。


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