山の写真集 > 大菩薩 > 小金沢連嶺
  • -草原と原生林を渡り歩く-
  • 小屋平-石丸峠-小金沢山-黒岳-湯ノ沢峠
  • 大菩薩
  • 山梨県
  • 天狗棚山(1957m), 小金沢山(2014m), 牛奥ノ雁ヶ腹摺山(1985m), 黒岳(1988m), 白谷丸(1920m)
  • 2015年8月16日(日)
  • 14.2km
  • 5時間45分
  • 427m(小屋平-小金沢山)
  • -
  • 天目山温泉
  • 中央線, バス, 京王線
天気1

 

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2015年8月16日(日)
新宿駅 6:00
  中央線
6:38 立川駅 6:43
  中央線
8:01 甲斐大和駅 8:10
  栄和交通バス
8:50   小屋平
9:10   林道横断
9:50 石丸峠 10:00
10:15 天狗棚山
10:25 狼平
11:05 小金沢山 11:10
11:40 牛奥ノ雁ヶ腹摺山 12:03
13:05 黒岳 13:15
13:30 白谷丸 13:45
14:15 湯ノ沢峠
14:52 焼山沢登山口
15:25   ゲート
15:47 天目山温泉
入浴立寄り
17:12
  栄和交通バス
17:23 甲斐大和駅 17:31
  中央線
18:44 高尾駅 18:54
  京王線
20:10 新宿駅

 

甲斐大和駅からのバスは増発が出た。2台目のバスに乗り小屋平で下車する。今日は5年ぶりに小金沢連嶺を歩く。
他の乗客は皆大菩薩嶺に登るようで、この先の上日川峠まで乗っていった。


草付の登山道を歩いて石丸峠へ

林道初鹿野線の小屋平バス停から歩き始める

小屋平から出発

未舗装の林道を横断するところで見た標識。たしかに登山道が付け変わっていた

最近のことか

石丸峠手前で、頭だけ出した富士山を見る

富士山は頭だけ

コウリンカは全域で多い(石丸峠にて)

コウリンカ

石丸峠から、熊沢山の斜面を見る

石丸峠

稜線からは上日川ダムと周辺の林道が見下ろせる。上日川ダムは大菩薩湖とも呼ばれるようになった

上日川ダム

天狗棚山から、狼平の草原を前景に小金沢山を望む

伸びやかな稜線

ハナイカリ(天狗棚山)

ハナイカリ

草原から一転、深い森林帯へ

深い森林帯

小金沢山頂上

小金沢山


カラマツ茂る笹原の斜面を登る。思ったほど暑くはないが、20分ほど登るうちに汗が吹き出す。
一旦未舗装の林道を横断する。道脇にはネジバナが咲いていた。
続きの登山道は「道が崩れたため入り口を変更した」との表示があった。前来た時もそうだったのか記憶がない。しばらく登ると前方が開けてきて、進む方向に草原の斜面が見えてくる。小金沢山の右奥には富士山。ほとんど雲に隠されててっぺんだけがかろうじて見えていた。それもすぐに見えなくなる。
石丸峠を前に、草原の登山道にはツリガネニンジン、ワレモコウ、カイフウロなど盛夏の花が現れ出す。そして多いのはコウリンカ。鹿が食べない花ということで、奥多摩や大菩薩の山域ではマルバダケブキとともに生育の範囲を広げている。

熊沢山からの道を合わせて、石丸峠に着く。ガスが低く垂れ込め周囲を舞っており、青空の見える範囲は狭い。小休憩ののちら小金沢山に向け縦走を開始する。天狗棚山を経て狼平の草原帯に緩く下っていく部分は、伸びやかでいつも気持ちがいい。
草に隠れてハナイカリもたくさん見られる。春の花のイカリソウにも似た立体的で独特な形状は、カメラのピントが合わせにくい花の代表だ。
狼平からは樹林帯の中緩やかに高度を上げていく。このあたり鬱蒼とした原生林の雰囲気がある。シャクナゲの森を登り切り、南北に長い頂稜部を歩いていくと、小金沢山の頂上に着く。単独の女性が休憩していた。
初訪の1999年の時はもっと眺めが開けていたように思うが、木がずいぶんと伸びてきた。もっとも、ガスが頂上付近を取り巻いており、富士山などは全く見えない。

稜線をさらに南下。笹の丈はせいぜい膝下程度で、踏み跡もしっかりして歩きやすい。石丸峠ほど花は多くないが、ときどきウメバチソウ、ヤマオダマキ、キオンなど見る。シモツケソウをこのコースでは久しぶりに目にした。
草原帯が続いたかと思うと、倒木の目立つ深い原生林に入る。小金沢連嶺は伸びやかさと山の深さが隣り合わせで、変化に富んだ縦走路となっている。
それに、標高も1900m前後とある程度の高さを保っているため、とても涼しい。他の地方に住んでいる人が、夏にここ南関東甲信の山を歩くなら、このコースをまずはお勧めしたい。

牛奥ノ雁ヶ腹摺山で休憩する。雲多く、南アルプスの展望は得られない。頂上直下の斜面には、マルバダケブキのお花畑が見られた。
日川ダム(大菩薩湖)に下山する道が分岐していた。ここを登路として、大菩薩嶺や大谷ヶ丸への縦走も面白いかもしれない。

いったん下ってから、黒岳への登り返しとなる。高度はすぐに回復するが、小金沢山と同様に稜線上の歩きが長く、一等三角点のある山頂へはそこそこの距離がある。

牛奥ノ雁ヶ腹摺山ではマルバダケブキのお花畑が見られた

マルバダケブキ

キオン(牛奥ノ雁ヶ腹摺山~黒岳間)

キオン

木の幹が赤く塗られているのを何箇所かで見た。何の意味があるのか、不明である

何のため?

カニコウモリの群落(黒岳北面)

突然の大群落

白谷ノ丸は霧が深かった

霧舞う白谷丸

湯ノ沢峠下の沢沿いの登山道は、笹(スズタケ)が軒並み枯れていた

笹枯れが顕著


黒岳山頂には、沢登りの人が二人、休憩していた。この稜線の東側の沢を登ってきたということだが、自分には沢の名前はわからないので、それ以上聞かなかった。
なおその人たちによると、少し前に雷が鳴ったらしいが、自分には全く気づかなかった。

黒岳から先は、豊かな広葉樹の森となる。カニコウモリの大群落があった。5メートル四方ほど地面が、白い絨毯のようになっている。地味な花でもこれだけ群れて咲いていると壮観である。
それと、この稜線では幹が真っ赤に塗られた木を時々見るが、何を意味しているのだろう。何かの目印か、あるいは鹿の食害の調査であろうか。

天気がよければ展望のすばらしい白谷丸の草原地に出るが、ガスが濃くなり視界が悪くなってきた。以前ここで見ることのできたヤナギランは、今は咲いていなさそう。
東側の白砂の台地で少し休憩し、湯ノ沢峠への急な下りに入る。ここは元々崩れやすい斜面を下っていたが、ついに登山道が付け替えられたようだ。
新しい登山道は西側の山腹についているが、スズタケの刈り取りが不十分で非常に歩きにくい。従来の登山道と合流するとそのスズダケのトンネルとなり、湯ノ沢峠に下り立った。
避難小屋の横を通って、柳木場沢沿いの登山道を下る。

この沢沿いのスズタケはかなりの部分が枯れてしまっていた。50年に一度咲くという花も、枯れ笹と命を共にするように、多量にミイラのように干からびている。奥多摩や秩父で進行している笹枯れがここ南大菩薩でも顕著である。
先ほどまでの稜線上のスズタケはまだ勢いがよかったが、下の方は軒並み枯れていて、数年後にはこの登山道もかなりすっきりしてしまいそうである。
自分が歩き続けている17年あまりの間にも、山の姿はどんどん変わっている。笹が枯れたり、花が少なくなったり、マイナス方向の変化ばかり目につきがちなのだが、たまにはプラスへの変化にも出会ってみたい。自然の大きな復元力を信じたいものだ。

焼山沢登山口から1時間かけて林道を下る。高度を下げても、一頃のうだるような暑さに悩まされることはもうない。
天目山温泉で一風呂浴び、乗客が自分ひとりのバスで甲斐大和駅に戻った。