-年納めは展望の2000m峰- だいぼさつれい(2057m) 2009年12月27日(日)快晴
|
|
今年から山を始めた友人が、アイゼンを買ったというので、試し歩きの出来る山に行く。 半月ほど前の寒波で、東京周辺の高いところにも雪が積もったようだが、それから少し間があいてしまった。調べたところ、確実に雪踏みが出来そうなのは、雲取山や大菩薩嶺くらいのようだ。日帰りで行ける大菩薩嶺にした。 車で上日川峠まで上がる。裂石登山口からの林道はすでに閉鎖されているので、甲斐大和からの道を使う。前日に山荘の人に電話で聞いたところ、雪はほとんどないが、早朝は霜が立つので滑り止めが必要、とのことだった。 友人の車にはチェーンやスタッドレスなどの装備がない。とりあえず甲斐大和の車道を上がってみて、もし走行不能なら裂石に回って下から登ることにする。実際、北向きの斜面の下が白かったが、問題なく上日川峠まで上がれた。
峠の駐車場は閑散としていて、1,2台しか停まっていない。朝日に赤く染まった南アルプスがくっきり、寒空に浮かんでいる。ロッジ長兵衛もひっそりとしている。 赤い屋根には雪が積もっていない。脇にある水場からは、水が勢いよく流れていた。 自然林の尾根を少し登ると、福ちゃん荘の前に出る。熱いのでさっき着たジャンパーを脱ぐ。 山荘前から、薄茶色の大菩薩嶺の稜線を見上げる。わずかに、道の部分だけ白く光っている。これから登る唐松尾根は南面なので、雪はほとんどなさそうだ。 大菩薩峠への道を右に見て、正面の登山道に入る。次第に急な登りとなるが、低い笹とカラマツに囲まれた気持ちのいい道である。 振り返ると、背後の木の間から大きな富士山が顔を出していた。高度を上げるほど、秀麗な山体は余すところなくその姿を見せてくれる。
標高1800m付近、道が緩やかになると、足元には薄い雪がまだらにつくようになった。凍ってはいないが、このあたりでアイゼンを使うことにする。 同行者はすんなり付けることができたが自分のほうが少々手間取った。少し登ると、雪はまた消えてしまった。石の上を登る場所が多くなってきたので、アイゼンはすぐに外した。稜線でもう一度使うだろう。 周囲に樹林がなくなり、展望が一気に開ける。稜線はもう、すぐ上だ。 一気に登って雷岩に立つ。南アルプスや甲府盆地、上日川ダム(大菩薩湖)の先に秀麗富士、そして左右に連なる山並みと、眺めは申し分ない。 大菩薩嶺の三角点まで往復する。樹林に入ると雪が現れる。日陰で10cmくらいだ。三角点から先、丸川峠に続く北斜面にはもう少し雪がありそうだ。
雷岩に下る前、アイゼンを再び付ける。しかし少し歩くと外れてしまった。 今日は6本爪を持ってきたのだが、靴のほうは軽登山靴で、それに合わせたサイズ調整をしてくるのを忘れていた。6本爪はいつも少し大きめの皮の靴に使うので、今日の靴に装着してもブカブカで、すぐ外れてしまう。 少々古い型のアイゼンなので、調整には六角レンチが必要だがそれも持っていない。今日は友人のアイゼン試し歩きが目的だったが、自分にとってもこれから冬の山を歩くいい練習の機会となった。 雷岩から展望の稜線を歩く。南アルプスと八ヶ岳の間に遠望される白い頂は、どうやら乗鞍岳だ。もしかしたらここから乗鞍岳を見れたのは初めてかもしれない。 標高2000m地点である神部岩を過ぎる。風の強い大菩薩連嶺にしては、今日は気持ち悪いほどの無風、そして暖かい。雪は少ないが、人の歩くところは凍っている。アイゼンの歯がよく噛む。 高度を下げていくと、正面に大岳山や御前山など、奥多摩の山も見えてくる。雪は少なくなったのでアイゼンを外す。ちょっとした岩場を下り、介山荘の立つ大菩薩峠に着く。 登山者もぼちぼち見かけるが、今日は意外なほど静かな大菩薩だった。南アルプスを目に焼き付け、下山にかかる。 介山荘の裏手から、車の轍の付いた道を下っていくが、ここが今日一番凍結していた。一度しまったアイゼンを引っ張り出す気も起きず、スッテンコロリンしないように慎重に歩を進める。 雪はしだいに少なくなり、勝縁荘(しょうえんそう)の横を過ぎる。以前に比べて、壁が少し傷み始めているようにも思える。 早い時間での上日川峠への到着となったので、嵯峨塩館に立ち寄り入浴していく。歴史の古いこの鉱泉宿には以前も来たが、今日は人も少なかったのでゆっくり入れた。 館内の落ち着いた雰囲気と気持ちよい檜風呂。お掃除ロボットが床を這いまわっていたのが、この大正年間の古い佇まいの宿に不釣り合いだが、それもまた面白い。人手の足りないこのような季節は、旅館にとってこのような機械が重宝するのだろう。 大展望の初冬の山、気持ちのよい温泉と、いいことづくめで今年の山を終えることが出来た。そろそろ帰省の時期。上りの中央高速は渋滞なし。5時前に帰京する。 |