2012年6月10日(日) | |||
◇ | 富ヶ谷ランプ | 3:45 | |
首都高速 中央自動車道 |
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◇ | 須玉IC | 5:40 | |
国道141号 県道124号 |
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7:00 | 長者の森キャンプ場 | 7:20 | |
8:18 | 鉄塔 | ◇ | |
8:30 | 白岩コース合流点 | 8:33 | |
9:03 | 見晴台 | 9:10 | |
9:45 | 前衛峰 | 9:55 | |
10:25 | 御座山 | 11:25 | |
11:50 | 前衛峰 | ◇ | |
12:20 | 見晴台 | 12:35 | |
13:10 | 白岩コース合流点 | ◇ | |
13:15 | 鉄塔 | ◇ | |
14:05 | 長者の森キャンプ場 | 14:25 | |
県道124号 国道141号 海ノ口温泉立寄り |
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17:20 | 須玉IC | ◇ | |
中央自動車道 首都高速 |
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22:25 | 富ヶ谷ランプ | ◇ |
関東甲信は梅雨に入った。眺望はあまり期待できないので、樹林帯中心で歩きがいのある山を選ぶ。
佐久地方の山は今まで登ったことがなかったが、今回の御座山の他にも茂来山、天狗山・男山などいい山がある。しかし東京からだとアプローチに時間がかかり、電車・バス利用では日帰りは難しい山域である。
御座と書いておぐらと読ませるのはちょっと珍しい。「~でござる」の「ござ」にあたる字であり、いかにも日本的な名前の山だ。おそらく信仰の山だったのだろう。シャクナゲの宝庫でもある。西上州の山域の最高峰というように分類されることが多いが、それにしては標高が抜きん出ているし、山の大きさからいって西上州のイメージとは少し違う。山域分類が難しい孤高の峰である。
ここでは中信の山として、とりあえず八ヶ岳などと同じ分類とした。
アズマシャクナゲ(前衛峰付近) |
マイカーでも出発は早いほうがいい。夜明け前の3時半に家を出る。雲の多い朝。中央道で笹子トンネルをくぐると少し天気は持ち直すが、須玉ICから広域農道で標高1300m超の八ヶ岳高原に上がると雨が降り出した。すぐに土砂降りである。今日は雨合羽の登山かなと考えた。
小海町に下り北相木村の県道に入っていくと、かすかに日差しも覗くようになる。今日の登山口、長者の森キャンプ場に到着する。
テニスコートの横に駐車場があったが、少し先の橋の袂に車を置いた。
長者の森から |
むせ返るような緑 |
シラカバの道 |
シダ植物も |
トウゴクミツバツツジ |
シャクナゲの道 |
葉も世代交代 |
御座山の登山コースは、白岩地区から上がるのが最も一般的のようで、車でもアプローチできるが、駐車場が狭いとのことである。路肩駐車すると、近所の農家の方の仕事に支障をきたしかねないということで、地元でも車利用の時は長者の森から登ることを薦めている。
舗装された小道を進むとコテージの建つ場所に出る。その脇から未舗装の林道が延びていた。車の轍がついていたが、運転が未熟だと立ち往生しかねないので、無理をせずずっと手前に停めたわけである。
ぬかるみの道を進み、標識の場所から御座山の登山道となる。6月ともなれば緑も濃くなってむせ返るようだが、道はよく整備されていて歩きやすい。それほど歩かれているようにも思えないが、とりあえず先行者が一人いるので、クモの巣払いのわずらわしさもないだろう。ラショウモンカズラ、クワガタソウなど、この時期の標高の低いところでよく見かける花が咲く。ニリンソウやスミレも見るが、こちらはそろそろ見納めの風情である。
と、登山道に小鹿が一頭、うずくまっていた。怪我をしているのか、身動きひとつせず、虫が飛んでいても払いのける仕草もなしに、ただうつろな表情をしている。しかしどうすることもできない。下山時にここを通るとき、すでに回復しその場にいなくなっていることを祈って、その場を後にする。
トウゴクミツバツツジが今を盛りと咲いている。シャクナゲも見るが、このあたりの標高ではすでに終期である。清々しい自然林の中をやや下って、赤い送電鉄塔の基部に着く。開けた場所だが、上部は雲の中で山は見えない。
ひとしきりの登りで白岩コースに合流した。大きな鹿が尾根を横切っていく。さっきの子鹿の親だろうか。
ゴツゴツした岩場 |
イワカガミ |
一瞬の展望 |
針葉樹の道 |
ようやくの見晴らし |
瑞々しい6月の森 |
ここからしばらくは、起伏の少ない森の散歩道だ。カエデやツツジ、ミズナラの広葉樹林が鮮やかな緑で瑞々しい。白い幹はダケカンバではなく、シラカバだろうか。
林床にはマイヅルソウもポツポツと現れる。シダ類の植物はヤマドリゼンマイだろうか。これも緑が鮮やかで、体が染まってしまいそうな緑色に山全体が包まれている。
道は尾根の少し左下を巻くようについている。途中で尾根に上がって急坂を登る。大きな岩の脇をすり抜けながら行くと再び登山道に合流。「御座山」と書かれた白い標柱がいい目印になっているが、、なんだか道路標識みたいで違和感がある。
岩っぽいところを越えていくとにわかにシャクナゲが増えて、見晴台に着いた。開けてはいるが雲厚く視界はない。トウゴクミツバツツジがよく咲いている。少し先に「見晴台」の標識が木にかかっていた。
再び樹林帯。シャクナゲがますます増えてきたが花数はそう多くない。やがてシラビソなどの針葉樹に入り、あたりを静寂が支配する。人の声がするが、近くにいるのか遠くなのかわからない。
尾根の下のほうにはシャクナゲが多く咲いている。霧が晴れ、若干見通しがきくようになったようだ。シャクナゲの木のトンネルを抜け、三角点のある1992mピークが前衛峰。そのすぐ先に見晴らしの効く場所に出た。前方におそらく、御座山の山頂部だろう。ガスが流れるたびに大きな塊がかすかに姿を現す。
このあたりもシャクナゲの木は多いが、ほとんど花を付けていない。うだの沢のトーミと呼ばれるダケカンバの鞍部に下ると、廃道となった下新井への下山路が分岐していた。標識には来た方向を加和志と示している。沢の名前であり、登山口に向かう途中で見た人造湖のを加和志湖というようだ。
再びシャクナゲの急登。道にはシャクナゲの枯葉がいっぱい積み重なっている。シャクナゲの葉も生え変わるのだ。急坂を登りきると、避難小屋が現れる。雲取山の山頂避難小屋くらい大きく、しかも新しい。御座山山頂はそのすぐ先にあった。
展望乏しかった今までの登山道から一変、オール岩場の山頂部は大展望台であった、と言いたいのだ天候には勝てず。一面真っ白であった。予想はしていたことだが至極残念。
ガスが流れたときわずかに覗く南面の尾根筋がダイナミックで、ピストンでなく反対側に下山してみたくなる。山頂岩場の至るところにイワカガミが咲いている。
展望を諦きれず1時間ほど粘っている間に、次から次へとやってくる登山者で、山頂は満員になる。標識の前で記念写真を撮るのに列ができた。最後に一瞬だけ反対側の稜線が見えたが、すぐに再びガスの中へ埋没する。
来た道を下山する。天候は回復し、見晴台からはギザギザの稜線の先に続く白岩の高原野菜畑や、茂来山の姿も見ることができた。茂来山も御座山同様、佐久を代表する山である。
下のほうでハルゼミのわんわんと鳴く声が聞こえている。下界は早くも初夏の趣である。鉄塔を過ぎてさらに下っていき、いつしかその初夏の森に入る。朝見た小鹿が、少し姿勢を変えてまだうずくまっていた。望みは薄いが、明日になれば元気になってそこらを飛び回っていて欲しい。
登山口に下り立ち、長者の森に戻ってきた。高く深く、大き山だった。展望の得られる場所は少ないが、人の少ない晩秋から初冬なら木の間からの眺めもきくだろう。山頂からのパノラマも見てみたい。再訪を期して帰るとする。
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1975年(昭和50年)自分が高校生の時、 北相木村の知り合いの農家(民宿?)に泊まったことがあり、そのときの写真を久しぶりに見てみたら、御座山と思われるものが写っていた。
泊まった場所などははっきり覚えていないが、車で走っていて何か懐かしいものを感じた。
37年ぶりの訪問であった。