山の写真集 > 八ヶ岳・信州 > 御座山
  • -佐久にそびえる孤高の峰-
  • 長者の森-見晴台-前衛峰-御座山
  • 中信
  • 長野県
  • 前衛峰(1992m)、御座山(2112m)
  • 2012年6月10日(日)
  • 9.5km
  • 5時間
  • 864m(長者の森キャンプ場-御座山)
  • -
  • 海ノ口温泉 鹿の湯
  • マイカー
天気1

 

地図
2012年6月10日(日)
富ヶ谷ランプ 3:45
  首都高速
中央自動車道
須玉IC 5:40
  国道141号
県道124号
7:00 長者の森キャンプ場 7:20
8:18   鉄塔
8:30 白岩コース合流点 8:33
9:03 見晴台 9:10
9:45   前衛峰 9:55
10:25 御座山 11:25
11:50 前衛峰
12:20   見晴台 12:35
13:10 白岩コース合流点
13:15 鉄塔
14:05 長者の森キャンプ場 14:25
  県道124号
国道141号
海ノ口温泉立寄り
17:20 須玉IC
  中央自動車道
首都高速
22:25 富ヶ谷ランプ

 

関東甲信は梅雨に入った。眺望はあまり期待できないので、樹林帯中心で歩きがいのある山を選ぶ。
佐久地方の山は今まで登ったことがなかったが、今回の御座山の他にも茂来山、天狗山・男山などいい山がある。しかし東京からだとアプローチに時間がかかり、電車・バス利用では日帰りは難しい山域である。
御座と書いておぐらと読ませるのはちょっと珍しい。「~でござる」の「ござ」にあたる字であり、いかにも日本的な名前の山だ。おそらく信仰の山だったのだろう。シャクナゲの宝庫でもある。西上州の山域の最高峰というように分類されることが多いが、それにしては標高が抜きん出ているし、山の大きさからいって西上州のイメージとは少し違う。山域分類が難しい孤高の峰である。
ここでは中信の山として、とりあえず八ヶ岳などと同じ分類とした。


アズマシャクナゲ(前衛峰付近)

マイカーでも出発は早いほうがいい。夜明け前の3時半に家を出る。雲の多い朝。中央道で笹子トンネルをくぐると少し天気は持ち直すが、須玉ICから広域農道で標高1300m超の八ヶ岳高原に上がると雨が降り出した。すぐに土砂降りである。今日は雨合羽の登山かなと考えた。
小海町に下り北相木村の県道に入っていくと、かすかに日差しも覗くようになる。今日の登山口、長者の森キャンプ場に到着する。
テニスコートの横に駐車場があったが、少し先の橋の袂に車を置いた。

長者の森キャンプ場からスタート


長者の森から

むせ返るような緑の登山道が続く。整備されて歩きやすい


むせ返るような緑

白岩コース合流点からしばらくは、シラカバの多い穏やかな広葉樹の道が続く


シラカバの道

林床にはシダ植物が鮮やかな緑


シダ植物も

見晴台付近には鮮やかな色つきのトウゴクミツバツツジが多かった


トウゴクミツバツツジ

見晴台から前衛峰までの間はシャクナゲが多い


シャクナゲの道

シャクナゲの枯葉が地面にいっぱい落ちていた


葉も世代交代

御座山の登山コースは、白岩地区から上がるのが最も一般的のようで、車でもアプローチできるが、駐車場が狭いとのことである。路肩駐車すると、近所の農家の方の仕事に支障をきたしかねないということで、地元でも車利用の時は長者の森から登ることを薦めている。

舗装された小道を進むとコテージの建つ場所に出る。その脇から未舗装の林道が延びていた。車の轍がついていたが、運転が未熟だと立ち往生しかねないので、無理をせずずっと手前に停めたわけである。
ぬかるみの道を進み、標識の場所から御座山の登山道となる。6月ともなれば緑も濃くなってむせ返るようだが、道はよく整備されていて歩きやすい。それほど歩かれているようにも思えないが、とりあえず先行者が一人いるので、クモの巣払いのわずらわしさもないだろう。ラショウモンカズラ、クワガタソウなど、この時期の標高の低いところでよく見かける花が咲く。ニリンソウやスミレも見るが、こちらはそろそろ見納めの風情である。
と、登山道に小鹿が一頭、うずくまっていた。怪我をしているのか、身動きひとつせず、虫が飛んでいても払いのける仕草もなしに、ただうつろな表情をしている。しかしどうすることもできない。下山時にここを通るとき、すでに回復しその場にいなくなっていることを祈って、その場を後にする。

トウゴクミツバツツジが今を盛りと咲いている。シャクナゲも見るが、このあたりの標高ではすでに終期である。清々しい自然林の中をやや下って、赤い送電鉄塔の基部に着く。開けた場所だが、上部は雲の中で山は見えない。
ひとしきりの登りで白岩コースに合流した。大きな鹿が尾根を横切っていく。さっきの子鹿の親だろうか。

御座山山頂は南北に細長く、ゴツゴツした岩場となっている


ゴツゴツした岩場

御座山山頂にはイワカガミがたくさん咲いていた


イワカガミ

御座山山頂にて。一瞬だけガスが切れて、眼下の稜線が覗いた


一瞬の展望

標高1800mあたりでは針葉樹の道となる。下部は広葉樹、上はシャクナゲや針葉樹と、植生の垂直分布がはっきりしている


針葉樹の道

下山時は見晴台で眺めが開け、白岩コースの先のギザギザした尾根筋が見られた。長者の森コースは右端の鉄塔の方向へ


ようやくの見晴らし

ミズナラやカエデなどの広葉樹も見ごたえあり。見晴台より下にて


瑞々しい6月の森

ここからしばらくは、起伏の少ない森の散歩道だ。カエデやツツジ、ミズナラの広葉樹林が鮮やかな緑で瑞々しい。白い幹はダケカンバではなく、シラカバだろうか。
林床にはマイヅルソウもポツポツと現れる。シダ類の植物はヤマドリゼンマイだろうか。これも緑が鮮やかで、体が染まってしまいそうな緑色に山全体が包まれている。
道は尾根の少し左下を巻くようについている。途中で尾根に上がって急坂を登る。大きな岩の脇をすり抜けながら行くと再び登山道に合流。「御座山」と書かれた白い標柱がいい目印になっているが、、なんだか道路標識みたいで違和感がある。

岩っぽいところを越えていくとにわかにシャクナゲが増えて、見晴台に着いた。開けてはいるが雲厚く視界はない。トウゴクミツバツツジがよく咲いている。少し先に「見晴台」の標識が木にかかっていた。
再び樹林帯。シャクナゲがますます増えてきたが花数はそう多くない。やがてシラビソなどの針葉樹に入り、あたりを静寂が支配する。人の声がするが、近くにいるのか遠くなのかわからない。

尾根の下のほうにはシャクナゲが多く咲いている。霧が晴れ、若干見通しがきくようになったようだ。シャクナゲの木のトンネルを抜け、三角点のある1992mピークが前衛峰。そのすぐ先に見晴らしの効く場所に出た。前方におそらく、御座山の山頂部だろう。ガスが流れるたびに大きな塊がかすかに姿を現す。
このあたりもシャクナゲの木は多いが、ほとんど花を付けていない。うだの沢のトーミと呼ばれるダケカンバの鞍部に下ると、廃道となった下新井への下山路が分岐していた。標識には来た方向を加和志と示している。沢の名前であり、登山口に向かう途中で見た人造湖のを加和志湖というようだ。

再びシャクナゲの急登。道にはシャクナゲの枯葉がいっぱい積み重なっている。シャクナゲの葉も生え変わるのだ。急坂を登りきると、避難小屋が現れる。雲取山の山頂避難小屋くらい大きく、しかも新しい。御座山山頂はそのすぐ先にあった。

展望乏しかった今までの登山道から一変、オール岩場の山頂部は大展望台であった、と言いたいのだ天候には勝てず。一面真っ白であった。予想はしていたことだが至極残念。
ガスが流れたときわずかに覗く南面の尾根筋がダイナミックで、ピストンでなく反対側に下山してみたくなる。山頂岩場の至るところにイワカガミが咲いている。
展望を諦きれず1時間ほど粘っている間に、次から次へとやってくる登山者で、山頂は満員になる。標識の前で記念写真を撮るのに列ができた。最後に一瞬だけ反対側の稜線が見えたが、すぐに再びガスの中へ埋没する。

来た道を下山する。天候は回復し、見晴台からはギザギザの稜線の先に続く白岩の高原野菜畑や、茂来山の姿も見ることができた。茂来山も御座山同様、佐久を代表する山である。
下のほうでハルゼミのわんわんと鳴く声が聞こえている。下界は早くも初夏の趣である。鉄塔を過ぎてさらに下っていき、いつしかその初夏の森に入る。朝見た小鹿が、少し姿勢を変えてまだうずくまっていた。望みは薄いが、明日になれば元気になってそこらを飛び回っていて欲しい。

登山口に下り立ち、長者の森に戻ってきた。高く深く、大き山だった。展望の得られる場所は少ないが、人の少ない晩秋から初冬なら木の間からの眺めもきくだろう。山頂からのパノラマも見てみたい。再訪を期して帰るとする。

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1975年8月、北相木村から望む御座山。カシミールで調べると、おそらく村内の宮ノ平地区付近からと思われる

1975年(昭和50年)自分が高校生の時、 北相木村の知り合いの農家(民宿?)に泊まったことがあり、そのときの写真を久しぶりに見てみたら、御座山と思われるものが写っていた。
泊まった場所などははっきり覚えていないが、車で走っていて何か懐かしいものを感じた。
37年ぶりの訪問であった。