山の写真集 > 八ヶ岳・信州 > 守屋山
  • -諏訪湖見下ろす少し謎めいた山-
  • 杖突峠登山口-守屋山東峰-西峰
  • 信州
  • 長野県
  • 守屋山東峰(1631m), 西峰(1650m)
  • 2015年1月24日(土)
  • 7.3km
  • 3時間20分
  • 410m(杖突峠登山口-守屋山西峰)
  • -
  • 片倉館
  • マイカー
天気1

 

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2015年1月24日(土)
富ヶ谷IC 4:15
  首都高
中央自動車道
諏訪IC 6:30
  国道152号
7:00   杖突峠登山口 7:40
8:00   林道横断
8:20   避難小屋・キャンプ場
9:10 守屋山東峰 9:20
9:50 守屋山西峰 10:25
10:50 守屋山東峰 11:00
11:20   避難小屋・キャンプ場
11:57 杖突峠登山口 12:05
  県道183,487号,国道152号
片倉館立寄り
15:20 諏訪IC
  中央自動車道
18:00 高井戸IC

 

品川の自宅を4時前に出発し、首都高速・中央自動車道で長野県の諏訪へ。今日は守屋山に登る。木曜日に降った雪で、いいスノーハイキングが期待できる。
守屋山は南アルプスの赤石山脈の最北端と言われる一方、伊那山地の最北端と捉える向きもある。その場合は中央アルプスの山と言う事が出来ようか。諏訪市と伊那市にまたがっており、地理的にも分類のしにくい山である。
諏訪市方面の麓には諏訪大社があり、守屋山はその諏訪大社のご神体として知られている。その一方で、諏訪大社からは守屋山が見えないなどの理由で、守屋山がご神体というのは正しくないという見方もある。八ヶ岳や入笠山など、一般にも知られた山の後ろに隠れて、守屋山はどことなく謎めいた山である。


守屋山西峰から御嶽山方面を望む

杖突峠の駐車場は除雪されておらず、スタックを避けて手前のスペースに駐車した

杖突峠は積雪

登山道途中で見られる小屋。モンゴルの高原で見られる「パオ」と呼ばれる移動式住居の形をしている

パオ

ザゼンソウ自生地である沢沿いの木橋も雪の中だった

木道も雪の中

キャンプ場の先にある登山口。無雪期であればここまで車で上がれる

本格的な山道へ

カラマツ林の尾根道には、シラカバの白い幹も混ざる

明るい雪道へ

守屋山山頂は遮るもののない展望地

すぐ先が山頂

守屋山東峰。遠く中央アルプスを望む

守屋山東峰

守屋山東峰から乗鞍岳を望む

乗鞍岳

守屋山東峰から八ヶ岳方面を望む、左から蓼科山、北横岳、天狗岳が並ぶ

北八ツの稜線

守屋山東峰から、樹氷のカラマツ林を前景に南アルプスを望む

南アルプス

守屋山東峰から中央アルプスを望む

中央アルプス

守屋山東峰から眼下の諏訪湖と北アルプスの稜線を望む

北アルプス


中央自動車道は、最高点の原村付近で道脇に雪が残っていた。諏訪インターで下り、国道152号を上がっていくとあちこちで凍結している。気温の電子表示は氷点下11度だった。
そして、登山口のある杖突峠は一面の雪。様子を見るため峠を越えて少し下り、適当なところで折り返そうと思ったのだが、道脇は雪たっぷりのために転回場所がなく、ずっと下まで降りてしまった。
再度杖突峠へ。駐車場は除雪されていない。雪の上に乗り上げてしまってはたまらないので、慎重に駐車できるところを探す。結局、バス停横のアイスバーンになったわずかな場所に停めることにした。

まだ薄暗いうちからスタート。ソーラーパネルも雪が積もっていて用をなさなそう。カラマツ林の中を緩く登っていく。最初から30cm前後の雪だがトレースはついており、凍結もしていないのでアイゼンもストックも使用せずに歩く。
いったん林道に出て、アジア風の小屋を2つ見る。モンゴルで見られる「パオ」という住居ということだ。カラマツ林の先の標高の高い所には朝日が当たり、オレンジ色に輝き始めた。しかしなかなかそこへ到達できず、冷え冷えとした雪道が続く。トレースがしっかりして歩きやすいのが救いだ。
小ピークを左からトラバースしていったん下降。再び林道を横断して「ザゼンソウ自生地」をの中を通っていく。守屋山のザゼンソウは、高遠の小彼岸桜と時期がいっしょなので、両方見に来る人が多いようだ。

キャンプ場や自炊場のある避難小屋の前を過ぎ、本格的な登りが始まった。尾根に上がるとカラマツ林の中にシラカバが混ざってくる。雪の量は増え、ようやく明るい日差しが雪面に降り注ぐようになる。パウダースノーとまではいかないが、2日前に降り積もった雪はきれいで、白さが際立つ。
さらに高度を上げると周囲は一面の樹氷となり、澄み渡った空の青をバックに鮮やかだ。一部急登を交えさらに上へ。岩場に鎖がかかっていると聞いていたが、この雪道ではそれがどこだか見当もつかない。
一点だけ惜しいのは、ずっと樹林の中の登りで変化に乏しく、周囲の山々の眺めは木の枝越しにしか得られないことか。

そうした樹林下の登りもついにおしまい。こんもりと盛り上がった守屋山東峰の頂上に到着する。
とにかく展望である。北には乗鞍岳から穂高、槍ヶ岳、鹿島槍などの北アルプスの白い壁が圧倒する。西には中央アルプス、南には南アルプス。そして東の八ヶ岳の眺めもすごい。赤岳や横岳など南部の荒々しい稜線から、北部の天狗岳・北横岳、さらには蓼科山・霧ヶ峰までがズラリと並んでいた。守屋山は八ヶ岳が一番よく見える山かもしれない。蓼科山の後ろには浅間山も。「日本の屋根」と呼ばれる名だたる主峰が四方に見渡せた。眼下に諏訪湖もよく見える。

守屋山西峰の直下にある避難小屋はラビットハウスと名づけられていた

ラビットハウス

守屋山西峰は丸い頂

丸い頂

守屋山西峰から、噴煙を上げる御嶽山を望む

御嶽山

守屋山西峰から望む八ヶ岳は、南部から北部まで全貌を見渡せる

八ヶ岳は横に長い

尾根伝いの樹林帯は樹氷が美しい

樹氷が美しい

守屋山東峰から八ヶ岳を望む

八ヶ岳

守屋山東峰から、西峰の山頂部が少しだけ見える

西峰が頭部だけ

守屋山東峰から槍ヶ岳、南岳、大キレットと北穂高岳を望む

槍・穂高

諏訪湖沿いの下諏訪温泉にある日帰り温泉施設「片倉館」。歴史ある建造で国の重要文化財に指定されている

日帰り温泉・片倉館


4年前の北横岳から見た北・中央・南アルプス眺めも印象的だったが、守屋山からの展望はそれに八ヶ岳連峰という主役が加わる。また、杖突峠からここ東峰までは、危険の少ない尾根道を2時間弱で登れるので、朝早く来てのご来光狙いも有り得る。
男性がひとり早足で登ってきて、この大パノラマを前に立ち止まることもなく、西峰への道へ入っていった。

自分もさらに西に進む。鉄柵で囲われた一角があり、今は雪に埋もれて見えないがここには祠が祭られているという。
面白いのは、これが諏訪大社ではなく「守屋神社」の奥宮だということである。守屋山をご神体している諏訪大社とは縁もゆかりもない神社が山頂に祭られているという、かなり不思議な山なのだ。
話が混乱するが、諏訪大社の神長官は代々「守矢氏」により世襲されてきたということを考えると、両社はどこかで関係があるのかもしれない。

小さく下って緩く登り返す。再び樹林の中の道となる。カモシカが乗っているのがよく目撃されるという「カモシカ岩」を過ぎ、稜線伝いに進む。東峰で追い抜かれた人がもう戻ってきた。西峰でも立ち止まらずすぐに下山してきたように見える。もしかしたら守屋山に登るのを日課にしている人かもしれない。

やがて、白い小屋の前に出た。そのすぐ先が守屋山(西峰)山頂だった。
こちらも展望が素晴らしい。東峰からは見られなかった御嶽山が見られるのが西峰の特徴である。東峰から20mほどしか標高は高くなっていないが、ここ西峰からは諏訪湖がよく見える。青い湖面を前景とした八ヶ岳や北アルプスの眺めは絶品である。
登山ガイドでは、東峰のほうが展望はいいと書かれているが、個人的には西峰のほうが好みの眺めである。
風も弱いので、山頂の雪を少しならして腰を下ろし、昼食にした。

山名板には「日本展望の山 100山」と書かれている。守屋山もその中に入っているということだろうが、そんな「100山」があるとは知らなかった。もっとも、ネットで調べても見当たらなかったが。
避難小屋の壁にはかわいいうさぎの絵とともに「ようこそラビットハウスへ」と書かれていた。地元の山岳会の方がよく整備しているようである。小さいが頑丈な小屋で、いざと言うときには心強い存在である。

東峰まで戻る。下山路に入ると展望はなくなってしまうので、もう一度写真を撮る。
下りでは何人かの人とすれ違うものの、喧騒はなく静かな山である。登りでは気づかなかったが立石コースへの分岐があった。杖突峠から10分ほど下ったところに同コースの登山口があるようなので、そこに車を置き三角コースにしてもよかったかもしれない。今日のところは杖突峠の往復とする。
なお、立石コースを作ったのも「守屋さん」という人らしい。いったいこの山にはいくつの「モリヤ」が存在するのか、考えると夜も眠れなそうだ。
雪が多いので滑るように下れる。キャンプ場までは早かった。太陽が高くなり、周囲を明るく照らす。気温はおそらく氷点下だろうが、日差しが暑いくらいに感じる。
その先の登り返しも大したことはなく、杖突峠の駐車場に戻ってきた。
歩いた距離は短かったが、充実した展望の山だった。

諏訪大社近くの「宮ノ湯」に入っていく予定にしていたが、あまりにも下山が早かったせいかまだ準備中だった。
せっかく車で来たので、諏訪湖まで足を伸ばし上諏訪温泉に寄っていくことにする。「片倉館」という日帰り入浴施設は中世ヨーロッパ風というか、大正時代のモダンな建物風で興味深い。日帰り温泉専用なのがもったいないくらいだ。千人風呂と呼ばれる大きなお風呂は一度に100名が入れると言う(1000名ではない)。
休憩室のテラスからは凍りかかった諏訪湖も目の前に見えて、得した気分になった。