-白銀の山岳パノラマ-
タイトル
ピラタスロープウェイ-坪庭-北横岳
山域 八ヶ岳
地域 長野県
標高 北横岳南峰(2473m)、北峰(2480m)
山行日 2010年2月21日(日) 天気
沿面距離 3.2km
歩行時間 2時間
標高差 247m(ロープウェイ山頂駅-北横岳)
宿泊
温泉 蓼科温泉(立ち寄り入浴)
交通 マイカー、ロープウェイ Home
地図

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行程
2010年2月21日(日)
自動車 調布IC 4:55
中央自動車道
6:52 諏訪IC
国道299・152号
ビーナスライン
7:30 ロープウェイ ピラタス駐車場 8:50
ロープウェイ
9:00 山頂駅 9:10
9:20 坪庭
9:45 稜線
9:50 北横岳ヒュッテ 9:55
10:08 北横岳南峰 10:13
10:18 北横岳北峰 11:00
11:13 北横岳ヒュッテ
11:35 坪庭
11:55 ロープウェイ 山頂駅 12:10
ロープウェイ
12:20 自動車 ピラタス駐車場 12:45
ビーナスライン
蓼科温泉立ち寄り
国道152・299号
14:10 諏訪IC
中央自動車道
首都高速
16:30 目黒IC


関連リンク
ピラタス蓼科ロープウェイ
北横岳ヒュッテ


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今週も越後の低山を狙っていたが、土曜日雪、日曜日曇りの予報。日曜は登れるかもしれない。しかし地元の方が付けてくれるトレースをあてにするという図々しい考えなので、土曜日が悪天ではちょっと不安がある。そんなことが毎週続いているので、なかなか踏み出せない。
甲信地方の天気はよさそうである。昨年に引き続き北八ヶ岳に登ることにした。北横岳は標高だけ見れば厳しい雪山だが、ピラタススキー場のロープウェイを使えば、標高差も少なく格好のスノーハイキングコースとなる。
ただし長野県中央に位置する山域であり、東京朝発の日帰りは車を使ってもかなり厳しい。それにこの日は夕方までに帰りたかったので、真夜中に出発し午前中に登ってしまおう。

北横岳山頂

2時半、家を出るときに気がついた。ロープウェイはそんな朝早くから運行しているのだろうか。いくらスキーリゾート地とはいっても、まさか朝6時に着いても動いているとは思えない。調べたら9時からだったので、結局出発を少し遅らせた。

ピラタスロープウェイ駐車場には7時30分着。あたりをぐるっと見渡せば、もう雪山・雪山のパノラマだ。端正な山容の蓼科山が大きく、そして真っ白な北横岳。駐車場の正面には中央アルプス、南アルプス、木曽御嶽などを眺めながらロープウェイの運行開始を待つ。

北横岳を見上げる
山頂駅は銀世界
南アルプス
稜線を目指す
浅間山
眺望広がる

8時50分、改札はすでに長蛇の列。登山者・スノーボーダー・スキーヤーそれぞれ同じくらいか。9分間の空中散歩が始まる。白銀の山岳パノラマがほしいままだ。ゴンドラの真下を見ると、スキーゲレンデに沿って登山道がしっかりとつけられている。ただ歩いている人はいない。
来る前はこの登山道が歩けるものなのかがわからなかったので、今回はロープウェイを使った。しかし早い時間に来れたのなら、この登山道を上がってもいいと思った。1時間もかからないだろう。

ロープウェイ山頂駅。架線ケーブルまでもが樹氷化している。建物の外に出ると、完全に白銀の世界だ。山、樹木、案内板、道を示す棒杭、何もかもが白い。先週の三ツ峠も白かったが、同じ白でも全く違う風景。今日は天気もいいしやはり輝きが違う。これが雪山か。若い頃スキーをやっていたときも、こういう情景を見ていたはずだが、あまり記憶に残っていない。
そして、空気がうまい。山の上なら当然かもしれないが、今日は特にそれを強く感じる。
多くの登山者はアイゼンで歩くようだ。スノーシューの人も多い。自分もアイゼンは持っているのだが、登りは輪カンで行くことにした。

さっそく白い道を歩き始める。ちょっとした登りをこなすと、坪庭という広い台地に出る。両側には縞枯山と横岳、遠景に南・中央アルプスや御嶽、乗鞍岳、素晴らしい眺望が広がっている。歩いて進んでしまうのがもったいないくらい。
日がさんさんと照り続けるためか、寒さは感じない。しかしおそらく氷点下5度くらいにはなっているだろう。
登山道の部分は圧雪になっているので、踏み抜いてもぐることはない。このあたりはツボ足でも歩けそうだ。でも輪カン歩行も楽しい。
10mほど下ったのち、横岳の稜線目指しての樹林帯のジグザグ登りが始まる。こういうほどほどの傾斜の登りは輪カンだと歩きやすく、アイゼン装着時とさほど変わりはない。踵が離れるスノーシューはかえって扱いにくそうだ。少しして樹林が切れた場所からは、坪庭の広大な平原が箱庭のように見えた。

槍・穂高・大キレット
木曽御嶽
蓼科山と後立山連峰
樹氷をくぐり抜け
硫黄岳
北横岳ヒュッテ
雪原の坪庭遊歩道

三ツ岳からの稜線に出る。左折しさらに少し進むと北横岳ヒュッテ。ここからは浅間山が大きい。日本の真ん中に位置する北八ツは、国内の中部山岳のどれからも程よい位置関係にあるので、それぞれの山々の眺めが大きく、見ごたえがある。
ヒュッテから先は、ちょっときつい登りになる。さすがにここはツボ足だとつらいだろう。また4本や6本爪の軽アイゼンをしている人が多いのに驚いたが、4本だと登りにくいように見える。下りはさらに難儀するだろう。
輪カンはここでも威力を発揮し、ガンガンと登っていけるので感心した。やはり昔から使われ続けてきた道具は、場所をさほど選ばない、オールラウンドの使いよさがあるということだろう。

傾斜が緩むと樹林の背が低くなる。蓼科山と北アルプスが目の前に広がると、北横岳南峰に着いた。駐車場から見た眺めとはやはり、比較の対象ではない。南・中央・北の日本アルプスが揃い踏み。さらに木曽御嶽、乗鞍岳の白い峰も意外な近さで見える。
人の流れはさらに先に行く。まだ北峰があった。モンスターのようになった樹氷の間を歩き、北峰に立つ。諏訪富士とも呼ばれる蓼科山がさらに大きい。また、北アルプスが蓼科山の後に一直線に並んでいてこれもすごい眺めだ。蓼科山の左側には槍・穂高などの3000m峰、右に見えるは鹿島槍から五竜岳、唐松岳と続く後立山連峰と、蓼科山を境にして北アの峰々がきっちり分かれて見えるのが面白い。
さらに浅間山群や妙高連峰。麓の町もよく見えている。振り返れば、両神山や金峰山といった奥秩父山塊。唯一、赤岳などの南八ヶ岳だけが逆光になって見えづらい。また、富士山は八ヶ岳の後ろなのでここからはまったく見えない。本当に、どこを向いても魅入ってしまう雪山のパノラマ模様であった。
登山者はどんどんやってくる。さすがにツボ足の人は見当たらず、時間を追うごとに、スノーシューの割合が多くなってきた。北峰からさらに足を伸ばして、下方に見えるちょっと広めの雪原で休んでいる人もいる。

名残惜しいが下山とする。だんだんと薄雲が空を覆うようになってきた。坪庭まで下り、遊歩道への道に入る。こちらの道も大賑わいだ。山頂に行かずに、坪庭周辺をスノーシューで歩くだけのグループが多い。たちまち人の列に飲み込まれてしまう。
その列がぴたりと止まった。どうやらこのすぐ先に下り坂があって、ツボ足の人が恐がって先に進めないらしい。途中で転んで、そのまま下まで滑ってしまった人もいた。こういう人が後ろにいると、自分まで巻き添えを食って滑落してしまうので注意が必要だ。
一見靴だけで歩けそうな平坦な場所でも、雪山は最低アイゼンやスパイク長靴で歩いてほしいものである。

山頂駅に到着。ロープウェイからは相変わらず、パノラマの眺めが広がっている。
ふと下を見るとカモシカがいた。添乗員の人によると、ここをずっと縄張りにしているカモシカらしい。しかしすぐ近くにスキーゲレンデがあるので、最近はあまり姿を見せなくなったということだ。目と鼻の先のゲレンデでは大勢のスキー、ボード客が気持ちよさそうに滑っている。
でも今年も雪は少ないらしい。窓から眺められる天狗岳の斜面には黒い岩角やヤブが多く見られた。

12時過ぎに駐車場に戻って来られた。時間に余裕が出来たので、蓼科温泉(共同浴場)の熱いお湯に入っていく。
高速で東京に近づくにつれ、空は厚い雲で覆われ始めた。ここのところ1日の天気の変化が早くなってきている。季節の変わり目である。