~行きにくいが登りたい山~
タイトル

とんのむねやま(1208m)
2008年3月16日(日) 曇りのち晴れ

調布IC-[中央高速道]-都留IC-[県道40号、国道413号]-8:15道の駅どうし8:30-8:50グリーンロッジ-9:30第一ピーク-9:40鳥ノ胸山10:15-10:40雑木ノ頭-11:20道志の森キャンプ場-11:50道の駅どうし-[国道413号(道志の湯立ち寄り)]-相模湖IC-[中央高速道]-高井戸IC 歩行時間:2時間55分

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道志川に沿うように伸びている道路が国道413号、いわゆる道志みちである。丹沢と道志の両山塊を東西に分けているこの道を車でアプローチし、鳥ノ胸山に登った。
登山に車を使うことで、まず初めに考えたのがこの道志みち付近の山である。道志みちには以前は登山に使えるバスが通っていたのだが、平日以外の便はことごとく廃止になってしまった。相模原市または山梨県の富士吉田市からタクシーを使うのも、距離が長く現実的でない。近くて遠い山の最たるものである。


鳥ノ胸山の登り

都留ICで中央高速を下り、県道を道坂トンネルまで上る。今倉山の登山口に何台か駐車していた。
トンネルからは九十九折の下りとなり、開けた山間の土地に出る。道の駅どうしに来ると、道志川を隔てて鳥ノ胸山がもう目の前に見える。名前に違わず、ふっくらと盛り上がった形をしている。
周囲には釣り客が数人、その他ドライブの人もちらほら。道の駅の駐車場に車を置き出発する。

道志川を渡り、その先の小さな橋は渡らないで小川の左側を登っていく。
別荘地を過ぎると「グリーンロッジ」と書かれた登山口に着く。小広い場所だがグリーンロッジがその場所にあるわけではない。さっき見た建物のうちのどれかだったのだろう。薄暗い桧の植林帯に入る。

いったん林道に出てから、道は尾根上となる。というより林道が途中で登山道に変わった感じだ。
左側は桧、右は落葉樹林ときれいに分かれている。時折日が差すものの、丹沢の山の上は厚い雲が支配している。北側の道志の山稜は青空の下だ。鳥ノ胸山は道志の山の部類に入れられることが多いが、気象的には海風の影響を受けやすい丹沢山地の山である。加入道山や大室山などの西丹沢の山稜と尾根続きになっている。

階段状の急登が長く、思った以上にきつい。登路1時間半で標高差500mは伊達じゃない。
あと数分で、見えていたピークに達せそうだと思ったころ、右にもう少し高いピークが見えてくる。そちらが山頂だった。鳥ノ胸山は周囲から眺めるときれいにまとまった形の双耳峰である。


稜線から鳥ノ胸山

道志みちは富士山へ続く

自然林の尾根

道の駅から鳥ノ胸山

2つのピークの間は距離は短いが、自然林のきれいなところだ。日陰にまだ雪が残っている。
2人が山頂から下ってきた。この天気では富士山の眺めはなかったろう。敢えて聞きもしなかった。

鳥ノ胸山山頂に着く。半分を占める植林帯の側に、地味な山名板がかかっている。山頂部は細長く、先に進んでみると眺めのいい場所に出た。ここには山梨百名山の標柱が立っている。
近くの菰釣山や御正体山は見えるが、その先は雲の中。しかししばらくして視線を再び向けると、雲を割って白いものが見えている。富士山の8合目あたりだ。富士山の見える割合は時間を追うごとに増えている。
やがて雲が取れ、青空の中に富士山がきれいに現れるようになった。諦めて早く下山しなくてよかった。

気温も上がり、春の空気の満ち溢れた気持ちのいい山頂になった。鳥ノ胸山は決して展望のいい山ではなく、山頂でさえも広い眺めは得られないが、富士山の見え方はなかなか絵になる。
菰釣山や御正体山の配置、麓の家並みや道志みち、道志川がみな富士山のほうを指向していて、写真もいい構図で撮れそうだ。
青空の下といっても、春の陽気で霞がちの眺めである。おまけに今日も黄砂が来ているらしい。それでもこの短い行程でいい眺めが得られたことで満足して下山する。

雑木の頭への尾根道を行く。桧の植林帯は急な下りで単調だが、すぐに自然林になる。ブナもたくさん現れて歩きが楽しい。振り返れば、樹林の間から覗く鳥ノ胸山もいい形をしている。
雑木の頭で西丹沢の稜線へ向かう道を分ける。桧林と雑木林を交互に見ながら、道志の森キャンプ場への下りとなる。

ボーイスカウトが書いた標識が随所に立っている。どれも「トリノムネヤマ」と記されているが「トンノムネ」とどちらが正しい?いや、リとはンは字体が似ている。やはりトンノムネと書いているのかもしれない。
そういえば、自分が少年だったころ、ボーイスカウトやカブスカウトは身近な存在で、街中でも見かけるくらいだった。今も時々地方の山で見たりするが、東京周辺ではほとんど出会わない。甲子園の高校野球大会の入場式で選手を先導する人も、ボーイスカウトから今年は一般の学生に変わったようだ。
ネット検索してみるとボーイスカウトの機構は存続しているようだが、やはり今日び、参加する少年少女は多くはないのだろう。しかしこういった組織が見直されていい時代にもなってきているような気がする。

沢の音が次第に大きくなり、道志の森キャンプ場に下りる。暖かい春の日差しが降り注ぐ。それに花粉もすごい。標高が高いためかスミレなどの山野草はまだ見られない。20分ほど林道を歩いて道の駅どうしに戻る。
道の駅はさっきと打って変わって、多くの人で賑わっていた。豚汁の出店があったので一杯買って食べた。

車なので移動は便利だ。道志の湯に実に久しぶりに立ち寄る。休みの日にはバス便が来なくなってしまったせいか、閑散としている。
帰路は都留に戻るのではなくて、東に進み相模原ICから帰ることにする。これで道志みちを端まで走ったことになる。まだ山道の運転に慣れない自分は、後ろの車にあおられながら、夢中になって急カーブの連続を下った。


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