~展望と春の日差しの中の彷徨~
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しゃくしやま・ししどめやま 2002.3.9 快晴


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新宿駅5:18-[中央線]-6:52大月駅6:54-[富士急行線]-7:38富士吉田駅7:45-[バス]-8:05忍野郵便局前-8:35鳥居地峠-9:20高座山9:30-10:05大ザス峠-10:35杓子山11:05-11:40鹿留山12:25-13:05杓子山13:15-13:35大ザス峠13:40-14:30不動の湯15:40-[車]-16:00大明見-16:40下吉田駅16:59-[富士急行線]-17:45大月駅17:52-[中央線]-19:31新宿駅
歩行時間:5時間30分


暖かい日が続いている。今年は春の訪れが昨年より1週間ほど早いようだ。カラッとした晴れの日が続かず天気が周期的に変わるのも、春の足音が1歩1歩近づいてきた表れだ。
天気予報では、この週末は久しぶりに全国的に晴れ。冬晴れの展望が楽しめるのも、今冬はこれが最後かもしれないので、富士山が眺められる展望の山、杓子山(1587m)に登った。

JR大月駅から6:54発の富士急行で富士吉田まで行く。990円と高い。この料金は半分が富士山などの景色料なのだろう。それほどこの富士急の車窓から眺められる富士山は、大きくきれいである。
高座山への登りから
高座山への登りから

駅からバスに乗り忍野(おしの)郵便局前で下りる。目の前に展開する富士の裾野の高原はどこまでもだだっ広い。北に少し進むと忍野中学校がある。
ここの生徒は毎日この雄大な富士山を見ながら登校し、授業を受けているのだろうか。うらやましいと思う反面、少し気の毒な気もする。何故なら、将来旅行先などで富士山を眺められても、さほど感動することもないのでは、と思うからである。登山をするにしても楽しみがひとつ減るのだなと。

鳥居地峠(とりいちとうげ)まではゆるやかな登りの舗装車道を歩く。峠に着くと、車道通行止めの看板があった。凍結により、ここから明見方面への通り抜けは3月末まで出来ないとのこと。ここでフリースを脱いでいる間にも車が何台も上ってきて、この看板を見て引き返していった。

右の登山道に入る。しばらくは車の轍も認められるほどの、幅広の道。ゲートがあり、高座山(たかざすやま)へは左の急坂を登って行く。斜面には霜柱が目立つ。早くも背後に展望が広がり、富士山と裾野の街並みが一望出来る。空には1点の雲もない。
高座山から杓子山へ
高座山から杓子山へ

再び道は緩やかになる。南側は富士山、その左奥には丹沢の山々、北側には木の間から南アルプスの白いラインがまぶしい。昨年秋、石割山を西側から登ったときと感じが似ている。

急坂をもうひと踏ん張りし、高座山(1304m)の頂上へ。ほとんど汗もかかずに標高1300m。もっとも登山口が900mくらいあるわけで、バスを下りたところですでに最近登った栃木三峰山、破風山、入道丸を高度で超えているのである。
高座山からの展望は大きく、満足してここで帰ってもいいくらいだ。

展望の縦走路は大ザス峠まで続く。途中、送電鉄塔を経て2,3の岩っぽいコブを越え、徐々に高度を上げて行く。大ザス峠で左に林道を見る。パラグライダーのグループが周囲を陣取っている。ここからの眺めも素晴らしく、富士山をバックに富士吉田の街並みが一望出来る。

杓子山頂上から
杓子山頂上から

大ザス峠から先は、カラマツ、アカマツ林の中の急登となる。道がぬかるみ始める。気温が上がり雪解け、霜解けの真っ最中である。
樹林はすぐに切れ再び眺めの開ける道に。泥ダンゴを靴裏に作ってははがしながら、ついに杓子山の頂上。

展望は素晴らしい。富士山も裾野まで見えるがより印象的なのは、その右にずらりと並ぶ白銀の南アルプスの山々だ。聖、赤石、荒川、北岳、仙丈、甲斐駒。まさに日本の壁である。
杓子山頂上
杓子山頂上
杓子山から南アルプス
杓子山から南アルプス

そしてその右。御坂黒岳、三ツ峠山と思われるピークの間に、うっすらともう1本の白いラインが。あれは北アルプスだろう。その右手前に八ヶ岳の権現岳あたりが、これはくっきりと姿を見せている。

奥秩父は金峰山が白い頂、大菩薩嶺、中央線沿線の山、丹沢とぐるりと一周ほぼ360度の展望。
気温は上がったとはいえさすがに標高1600m近い。風が冷たく感じる。

少し先に見える鹿留(ししどめ)山まで往復する。鹿留山は標高1632mと高いが、杓子山から見るとその手前の子の神のピークのほうが高く見える。

子の神までは岩がちのアップダウン。斜度はそれほどでもないのだが何しろぬかるんでいて、恐いくらいだ。雪が残っている所では、滑らないように雪のほうを踏んで行く。

子の神までかなり高度を上げる。ここで分岐となり鹿留山まではほぼ平坦な道となる。導標には、鹿留山の方向には「都留」とも書かれている。一般的な登山ルートは鹿留山から先はなくエアリアマップにも記されていないのだが、昔は尾根を延々たどっていけば都留市へ下りられたのかもしれない。

鹿留山頂上のブナの大木
鹿留山頂上のブナの大木
鹿留山は一転してブナの巨木に囲まれた山頂だ。杓子には人がいっぱいいたがこちらは静かである。暖かい日だまりのなかで食事にする。

杓子山へ戻り、不動の湯から大明見方面へ下山する。杓子山までの泥んこ道はさらにひどくなっている。やせ尾根でもあるので危ない危ない。滑って転んだら大事だ。杓子山までいくつもの小ピークを越えていき、かなり長い。こちら側から杓子に登るときは、次が山頂かと何度もだまされることになりそうだ。

杓子山に戻ったときは、下界は低くもやのようなものが立ち込め、富士山は陸の孤島のようになっていた。
大ザス峠までぬかるみ道を下る。ここから1時間ほど林道を歩く。今日登った稜線を左に見ながら高度を下げる。時折、逆光でシルエットとなった富士山がとてつもない大きさで現れる。

不動の湯
不動の湯
不動の湯に着く。日帰り入浴料は630円。皮膚病の人は別の内湯があるとのこと。ここは皮膚病に効く鉱泉のようである。

下りは、温泉に来たお客さんに、麓まで車に乗せてもらった。この人は御殿場から来たらしく、アトピーの治療で何度か入りにきているそうである。よく同じアトピーの子供も入ってくるのだが、どんどん治っていくのが見ていてわかるらしい。その方面ではかなり評判の高い温泉のようである。

大明見で下ろしてもらい、街中を適当に歩く。案の定途中迷ってしまい、下吉田駅に着くまでさらに40分ほどかかってしまった。


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