~4拍子揃った超展望の山~
タイトル

たんざわおもておね
2008年1月3日(木・祝) 晴れ後時々曇り

7:35小田急線秦野駅-[バス]-8:15ヤビツ峠8:20-8:45登山口-9:25二ノ塔-9:40三ノ塔9:50-10:15烏尾山-10:35行者ヶ岳-11:15新大日-11:25木ノ又大日-11:45塔ノ岳12:40-12:50金冷シ-13:20小草平-13:35掘山の家13:40-14:15見晴茶屋-14:55大倉15:10-[バス]-15:25渋沢駅 歩行時間:5時間25分

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新春の初山は、丹沢表尾根を縦走した。ここは3度目で、前回から7年以上も経っている。
丹沢はもっと登りたいのだが、新緑を過ぎると、表丹沢や裏丹沢はヤマヒルが発生するようで、なかなか足が向かない。冬の展望は素晴らしい。富士山、南アルプス、街並み、そして海と4拍子揃った展望満点の縦走路は、日本でもそうないと思う。
積雪のある稜線を歩きたいが、昨年暮れに降った雪ももう溶けてしまった様だ。

実はこの日は、檜洞丸に登るつもりだった。新松田駅を下りバス停に行くと、3日まで年末年始ダイヤで7時台のバスがなかった。


塔ノ岳頂上

事前に調べていなかったわけではなく、富士急バスのホームページにも年末年始ダイヤのことなど書かれていなかったのだ。他のバス会社はけっこうまめに自サイトを更新しているのに、富士急グループは細かいところに配慮が行かない会社というイメージがある。

自分と同じくこのバスをあてにしていた人たちは、タクシー乗り場に行ったが自分はタクシーというわけにはいかない(今日はお金がない)。

こうなったら檜洞丸はやめて、秦野駅まで戻って表尾根に行くことにしよう。
決断が早かったのがよく、秦野駅7時35分発のヤビツ峠行きバスに間に合った。


ヤビツ峠

三ノ塔

木ノ又大日から塔ノ岳へ

バスは満員で、自分は最後の乗客だった。まだ3が日なのにこんな混むのか。丹沢の人気の高さを実感する。
ヤビツ峠に着く。大山に登る人と、表尾根に向かう人は半々くらいか。車道を下り気味に20分ほど歩く。正面右に丹沢三峰の3つの突起を見る。朝のうちはこのあたりはまだ日が差さない。寒いのでつい早足になる。

富士見山荘で左に折れ、数分で登山口。前にも後ろにも登山者がいる。こういうのも久しぶりだ。階段の多い急坂を登り、植林帯をやり過ごす。

やがて樹林の背が低くなり、背後に展望が開けてくる。伊勢原・厚木方面の街並み、朝日に光る海、そして大山の形よい姿だ。
ガレ場を急登しまず最初のピーク、二ノ塔(1140m)へ。正面には雲ひとつない青空の下に富士山。年末の降雪で五合目より上はかなり白くなった。富士山の右隣りに南アルプスが少し見えている。
笹道を少し下って三ノ塔への急登。お椀をかぶせたような山である。こういう形の山はピークに着きそうでなかなか着かない。

三ノ塔頂上(1205m)に着く。素晴しい眺望が広がった。富士山、相模湾、大山の他にも表尾根の稜線、塔ノ岳から尾根続きで丹沢山も。どの方角を向いても飽きない眺めである。


千手観音ブナ

三ノ塔くらいの標高の山なら、奥多摩や中央線沿線の山なら樹林で展望はないはずなのに、ここはどうして稜線上のピークに樹林が少ないのだろう。海からの風が樹林の生育を妨げるのか、それとも地震(関東大震災)によって形成された褶曲山脈は、こういう特質があるのだろうか。

三ノ塔からは稜線歩きだ。1体のお地蔵さんを見て、表尾根を正面に見ながら急降下する。鞍部から再び登りとなる。三ノ塔から見下ろす位置にあった烏尾山(1136m)に登りつく。四方の眺めがいい稜線が続く。
アップダウンはあるがそれほどきついものではない。行者ヶ岳(1209m)付近は岩場が続き、2箇所の鎖場があるが2番目のほうは垂直に近い急傾斜となっている。その先もヤセ尾根があり少しスリルを味わいながら爽快な稜線を行く。
足元はぬかるみが多くなる。雪は全くなく、霜が解けたものだ。

書策小屋、新大日と小屋のあるピークを通過する。いずれの小屋も人の気配を感じず、営業しているのか定かでない。
新大日(1340m)には札掛からの道が上がってきている。この尾根道を登路とするのも面白そうだ。

さらに高度を上げて木ノ又小屋、その先に木ノ又大日(1396m)を示す導標を見る。ここまで来れば塔ノ岳は目の前だ。
いつしか頭上には雲が目立ち始め、時折日をさえぎる。緩やかな稜線を少し歩いて最後の急登、塔ノ岳頂上(1491m)に出る。


南アルプスから海まで・塔ノ岳頂上からのパノラマ展望


南アルプス

形よい大山

横浜ランドマークタワー


三ノ塔からの眺望に加えて南アルプスの長い稜線、西丹沢や道志の山々の眺めが一気に広がる。今日は空気も澄んで、地平の果てまで見える感じだ。
大山の後ろには横浜の街並みが広い。ランドマークタワーが形まではっきりとわかる。周囲の山には雪が全く見られず、その点が少し物足らない。

人も多く、常時30人以上は滞頂している。どこを向いて腰を下ろしても、展望満点である。
雲が出て風が冷たくなってきたが、この頂上にいると時間の経つのを忘れてしまう。頂上にいる人たち皆そんな思いだろう。

大倉尾根を下る。金冷シ(1366m)から先は昨年、鍋割山からの下りで歩いている。気分のいい樹林のヤセ尾根を歩き、花立山荘からは、正面に海を見ながら木段の急降下である。
登りの道で見た看板に「この時期、大倉尾根はぬかるみが多いので注意」というのがあったが、実際はこのような木段の上を歩く所が多いので、意外とぬかるみに苦労する場所は少ない。ただこの先の小草平の平坦地は、いつ来てもグチャグチャだ。

早朝の、まだ霜が解けない時間に大倉尾根を登りにとるのもいいだろう。ただ引き換えに、登り詰め一方のつらさを味わうかもしれない。

大倉尾根から塔ノ岳

菜の花咲く

堀山の家のベンチで小休憩し、さらに進む。少し登り返しがあって、その後樹林の向うに、この尾根で最後の富士山を見る。左手には街並みが見えるがまだまだ高度差がある。

駒止茶屋、見晴茶屋を見て尾根を外れる。植林帯に入り観音茶屋を過ぎれば里の雰囲気になり、やがて林道に下り立つ。


車道を歩いて大倉バス停へ向かう。途中の畑地に菜の花が咲いていた。今日こんな鮮やかな黄色を見るとは思っていなかったので、何か得した気分になった。

大倉バス停に到着。登山者で賑わっている。10分後のバスで渋沢駅へ戻る。


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