~夏の花を愛で夏富士を仰ぐ~
タイトル
みつとうげやま(1785m)
2002.8.17.(土) 晴れ後曇り

7:30富士急行線三つ峠駅-7:50山祇神社-8:40ダルマ石-10:10八十八大師10:20-11:05四季楽園-11:15開運山11:45-12:15木無山12:30-13:55霜山下-14:25車道横断-14:40天上山14:50-15:00ロープウェイ駅-15:30富士急行線河口湖駅 歩行時間:6時間45分

マップ
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山頂の石碑
山頂の石碑

「三ツ峠山」とは、よく見ると不思議な名前だ。「峠」であり「山」である。

峠はふつう、山と山との間にある鞍部にあるはずのものだから、それをさらに山と呼ぶのは奇妙だ。三つの峠がある山、というわけでもないだろう。

もっとも、昔は山のてっぺんを表す「嶺」をとうげと読んでいたそうである。奥多摩に「仙元峠」(せんげんとうげ)という地名があるが、ここは鞍部ではなく明らかに山頂である。また、すぐ近くに「三ツドッケ」という山もある。何となく三ツ峠と語感が似ていて興味深い。
元来「とうげ」とは、鞍部だけでなく山のピークを指す場合も多くあったのではないかと思う。

どちらにしても「三ツ峠山」と、峠と山を並べるのは意味的にもおかしい気がする。事実、山頂に建っている石碑には「三ツ峠」とだけ書かれている。単に三ツ峠でいいのではないか。
三つ峠駅付近から三ツ峠山
三つ峠駅付近から三ツ峠山

富士急行線「三つ峠駅」。ここはなぜかひらがなの「つ」を使っている。駅から雲間に三ツ峠が仰ぎ見れる。
高尾駅を過ぎたあたりでは雨模様だったので、うそのような青空である。

ガードをくぐり、住宅地を通る車道をしばらく歩く。グリーンハウスの横にキャンプ場、公園がある。ここの水道でとりあえず水を補給する。
さらに緩やかな坂を登って行くと山祇(やまづみ)神社。舗装道路の脇には、早くも初秋の花ツユクサが見かけられる。山の夏はいつも駆け足で通り過ぎて行く。
緩やかな登りの舗装車道はまだ続く。やがて「神鈴の滝遊歩道」に出会う。登山口へはこちらを通った方が少しだけ近い。
「股のぞき」から富士山を見る
「股のぞき」から富士山を見る

遊歩道が終わると涼風荘の前に出る。ひっそりとしていて、営業しているのかどうかわからない。
涼風荘からトイレ・水場を経て、橋を渡ると登山道となり、森の中に入って行く。少し登るとダルマ石がある。記号のような文字が顔を形作っていて、どことなくユーモラスだ。

しばらく植林の中だが、つづら折りを登って行くうち、時々樹林の切れ間から展望が得られるようになる。曲り角には、「大曲り」、「股のぞき」などそれぞれ名前が付いている。「股のぞき」や「馬返し」からは富士山が大きく眺められる。
この季節に見られる富士山は、黒々とした「夏富士」である。青空と雲に分け入るように堂々と鎮座し、黒い富士山もなかなか絵になると思う。

岩がちの登路はけっこうきついが、周囲は次第に自然林におおわれ、清々しい。
いくつもの石仏が並んでいる八十八大師を過ぎ、なおも登ると左側が切れ落ち、眺めのいい場所に出る。ガレているので歩行には注意が必要だ。

やがて前方に廃屋が見えるころ、レンゲショウマが咲いているのを見つける。夏真っ盛りに見られる花で、奥多摩の御岳山にも群落がある。このへんから夏の花がぐんと多くなってくる。アザミ、カイフウロ、ハクサンフウロ、フシグロセンノウ、キンレイカ、タカネニガナなど、この季節の花は色鮮やかなのが多く楽しい。

屏風岩
屏風岩

以後しばらくは平坦な道となる。屏風岩の基部に着く。外人さんが岩登りをしている。三ツ峠のここ屏風岩は、ロッククライミングの場所として有名だ。

いよいよ三ツ峠の山頂が見えて来る。分岐を右に折れ、3つのピークのうちのひとつ、開運山へ向かう。カイフウロが満開状態。四季楽園(山荘)の前を通る。ベンチの横に料金箱がある。利用する時お金を入れるのであろうか。
開運山頂上へは、もうひと登り。マツムシソウやシモツケソウもあちこちに登場。頂上すぐ下にはNHKの電波塔が建っている。NHKのニュースなどでもよくこの角度から富士山を映している。
山頂から
山頂から

むろん頂上からは眺めがよいが、すでに黒富士はおおかた雲の中。黒岳、釈迦ガ岳、節刀ガ岳など御坂の山の展望がいい。人もどんどん登って来る。

電波塔の占有している御巣鷹山へは向かわず、木無山へ向かう。それにしてもこの山頂周辺には、アンテナや小屋など人工物が多く目につき、さすがにちょっと興をそがれる。もっとも、それは来る前からわかっていたわけで、がっかり感はそれほどない。

木無山に着くまで、展望盤のある広場をいくつか通る。両側にはお花畑があるがそれほど咲きまくっているわけではない。それでもマツムシソウ、クガイソウ、ヤマハハコ、オオバギボウシなどが目立つ。
木無山の山名表示のある場所は草原で囲まれてはいるが、柵で仕切られていて入れない。そのため木無山は単なる通り道でしかなくなっている。どうやらさっき通った広場で休憩するのが本筋?のようであった。周囲にはマツムシソウがたくさん見られる。

再び登場した黒富士を正面に見ながら、天上山への縦走路を下って行く。広葉樹の中で展望はあまりないが、アップダウンもほとんどなく、ガレもザレもない、ゆるゆるの下り道である。けっこう距離があるので、ただやみくもに歩きたいという人にはうってつけだ。
そういえばこういう、歩くのに何の不安のない山道を歩くのは久しぶりのような気がする。

マツムシソウ
三ツ峠に咲く花
フシグロセンノウ マツムシソウ カイフウロ レンゲショウマ

カイフウロが引きも切らずに咲き続けている。これほどのフウロの群落を見るのも初めてだ。やがてレンゲショウマもところどころで見かけるようになる。
他にもヤマオダマキ、ハコネギク、大判のフシグロセンノウなどが見られる。三ツ峠は山頂付近よりむしろ、登り下りの道のほうが野草を楽しめるようだ。

霜山は直下を巻き、いったん展望地に出て再び樹林帯へ。のどかな道がどこまでも続く。やがて右下に車道が走っているのが見える。そろそろ河口湖に近くなってきたか。
いったんその車道を横断し、「天上山へ」の標識に従い再び山道へ。道は右左に分岐する。左は天上山(小御嶽神社)への登り、右はおそらく巻き道であろう。ここは左に進み、久々に登りの道を歩く。

樹林に囲まれた天上山には、ロープウェイ駅から上がってきた観光客が何人かいる。
少しの下りで天上山ロープウェイ駅に着く。河口湖が大きく見下ろせる。ここまで来たからロープウェイには乗らずに、歩いて下ろう。

ロープウェイ駅からの下りの道は、「あじさいハイキングコース」と名付けられている。整備された階段道で、途中であじさいの花園を通る。さすがに最盛期は過ぎているが、花数が多くて圧巻だ。地元の人の植栽によるそうだが、これほどまでにするには大変な作業だったろうと思う。7月初旬にここを歩くのもいいかもしれない。

神社の前を過ぎて車道へ。10分ほどで河口湖駅前に到着。角のそば屋で、ほうとうを食べて帰る。
今日は8月にしてはそれほど暑くなく、虫にも悩まされず快適であった。しかし言い換えれば、もう夏山のシーズンは終盤ということで少しさびしい気もする。


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