山の写真集 > 丹沢・道志・箱根 > 仏果山から経ヶ岳
  • -展望の頂と小気味よい尾根道-
  • 仏果山登山口-仏果山-半原越-経ヶ岳
  • 丹沢
  • 神奈川県
  • 仏果山(747m), 経ヶ岳(633m)
  • 2014年12月7日(日)
  • 7.4km
  • 3時間55分
  • 467m(仏果山登山口-仏果山)
  • -
  • -
  • 小田急線,バス
天気1

 

2014年12月7日(日)
新宿駅 6:39
  小田急線急行
7:33 本厚木駅 7:50
  神奈川中央バス
県道事故のため途中徒歩の後乗り継ぎ
9:10   仏果山登山口
9:50   アンテナ施設
10:10 宮ヶ瀬越
10:35 仏果山 10:50
  40分休
12:15   土山峠分岐
12:30   リッチランド分岐
12:37 半原越
13:00 経ヶ岳 13:20
13:45 林道
14:20   経ヶ岳登山口
14:25 半僧坊 14:29
  神奈川中央バス
15:10 本厚木駅
  小田急線急行
新宿駅

 

友人と丹沢前衛の山、仏果山(ぶっかさん)に登る。丹沢の山は久しぶりである。
日本百名山はなかなか終わらないが、近場で済む関東百山は残り10数座と、先が見えてきた。登りやすい低山も残っているので、この冬は幾つか稼いでおきたい。


経ヶ岳への登り

本厚木駅から宮ヶ瀬方面のバスは、某ハイキング誌の団体が乗り込み、満員になった。持っているパンフレットを覗き込むと三峰山と書かれていたので、山中で出会うことはなさそうだ。左手に大山を見上げながらバスは街中を通り過ぎ、山地へ入っていく。

飯山温泉の入口まで来ると、パトカーが停まっていた。この奥の県道で事故があったらしく通行止めになっていて、バスはそこから先に進めなくなった。仏果山登山口まではまだ何キロもあり、にわかに今日の行程消化が難しくなった。こんなことは初めてだ。
地図を見ると、三峰山の登山口のある煤ヶ谷(すすがや)までなら1時間くらい歩けばなんとか着けそうだ。ハイキング誌の人たちといっしょに行くか、朝日と青空のまぶしい中、車道を歩き始める。

宮ヶ瀬への県道で交通事故があり、通行止めになっていた

事故現場

仏果山登山口は宮ヶ瀬湖に面したところにある

無事登山口へ

仏果山登山口にはヤマビル用の忌避スプレーが用意されている

今の季節は無用

仏果山の登りは途中から明るい尾根道となる

冬枯れの尾根道

北西側の斜面には薄く雪が積もっていた。昨日の昼頃降ったようである

薄く雪が

仏果山山頂の展望台

仏果山展望台

仏果山展望台から北西側、南大菩薩方面の稜線が一望される。左に滝子山、中央右に黒岳

大菩薩方面を一望

仏果山展望台から東丹沢の展望が広がる。左に大山から表尾根、右端に丹沢山まで

東丹沢の眺め

パトカーや消防車が停まっている事故現場の横を通る。緩いカーブの場所に自家用車が3台追突していて、両方向の車線を完全に塞いでいた。一台は前部分が大破している。路面はこの寒さで凍結していたので、おそらくスリップしたのだろう。運転手にとってはこんな麓の県道が凍結しているとは思ってもみなかったのかもしれない。ここのところ急に寒くなったので、冬タイヤへの履き換えも間に合ってなかったのだろう。

事故現場のすぐ先に、何と路線バスが待っていてくれた。宮ヶ瀬まで行ってくれると言う。要するにこの通行止めのために、このバスも本厚木まで戻れず、宮ヶ瀬までピストン輸送をしているという訳だ。

朝から大変だったが、予定より40分ほどの遅れで仏果山登山口に到着。宮ヶ瀬湖のキラキラ輝く水面を背に山に入る。すぐに登山道となり、ヤマビル注意の看板と忌避用スプレーが置かれていた。仏果山は、言わずと知れたヤマビルの生息地である。春から秋までは油断がならず、自分としては今の時期しか歩けない。
登山道は穏やかな傾斜が続き、植林の山腹を絡む道から紅葉が残る明るい尾根に移っていく。振り返ると木々の向こうに大山の端正な三角形、また朝日を受けた相模湾が眩しいくらいだ。

やがて、地面に白いものが目立つようになる。初めのうちは霜かと思ったが、どうも雪である。登山道にはほとんどなくもっぱら暗がりの斜面を白くしているのみだが、比較的新しい雪なので昨日の夜でも降ったのかもしれない。そう言えば、さっきから見えている大山の北斜面も白くなっている場所があった。
明確な尾根筋となり、アンテナ施設とベンチのある場所に出る。横浜方面の眺めも少し開けた。やや急登となりどんどんと登っていくと宮ヶ瀬越で、高取山からの尾根道が合流してきた。
ここから仏果山までは樹林越しながら眺めも開け、快適な尾根歩きとなった。目の前に聳え立つ仏果山はここから見ると意外と高く、立派である。自然林の中を登って、少しばかり岩の突き出たヤセ尾根を越えると、仏果山の山頂である。

山頂は狭く樹林に囲まれているが、恐ろしく高い展望台が立っていて、そこからの眺めは360度の大展望であった。
目の前には大山を始め東丹沢の山並みが美しく、大菩薩や奥秩父山塊、そして眼下に広がる市街地の眺めもみごとである。新宿の高層ビル群やスカイツリー、横浜ランドマークタワーもよく見えた。今日は一眼レフカメラを持ってこなかったことをちょっと後悔した。
丹沢山地のほんの入口の低山ではあるけれども、塔ノ岳や蛭ヶ岳からの大展望を十分に思い起こさせてくれる。丹沢の山ならではの眺めと言える。

仏果山から南東に続く尾根はやせていて眺めがいい

ヤセ尾根の稜線

仏果山から25分ほどでベンチのある休憩適地。自然林が豊かな場所も多い

自然林が続く

土山峠分岐付近はわずかに紅葉が残っていた

紅葉残る

経ヶ岳山頂手前の登りは、ミズナラなど自然林豊かな道

次の山頂目指して

経ヶ岳山頂

経ヶ岳山頂

経ヶ岳山頂からも、東丹沢の眺めが得られる

展望あり

国道の通る半僧坊バス停付近。交通量が多い

山麓は市街地


仏果山を後にし東へ。登山道は岩混じりのヤセ尾根につけられ、両側が切れ落ちてスリリングだ。樹林がないところもあって眺めがよい。丹沢というか南関東の山でこういう登山道は珍しく、新潟や上信の山でよく見るような地形で面白い。
部分的に雪がついているが、歩行には支障がない。やがて穏やかな登山道に戻り、ベンチのあるところで昼食とする。
ベンチに座っていると、足元から冷えてくるのを感じた。風も弱く日が高くなってきても、今日は朝から寒い。やはり雪が降ったすぐ後であることが影響しているようだ。
この週末、日本海側は大変な大雪に見舞われているが、その余波が来ているのかもしれない。でも、このようにしょっぱなから大寒波が押し寄せる冬は、その後温暖な日々が続くことが多い。エルニーニョ現象も起こりそうなので、今年は暖冬と見ている。

植林の下りになる。左側には鹿の防護ネットが張られているが、入口の扉が外されて開いているため、防護の意味をなしていない。次のなだらかなピークには「革籠石山(かわごいしやま)」という大きな山名標識が立っていたが、自分の地図にはそんな名前は載っていない。
そこからかなり高度を落して土山峠への分岐、さらにリッチランドの分岐を過ぎたあたりは、少しだけ紅葉が残っていた。
細かなアップダウンが続くがきつさはない。小気味よい尾根道は自然林が思ったより多く、新緑や紅葉の時期もいいだろう。ヤマビルがいなければこの山のリピーターになるかもしれない。進行方向には、経ヶ岳(きょうがたけ)のこんもりした山体が待ち受けていた。

さらに高度を落しもう一度鹿柵を抜けると、清川村と愛川町との町村界にあたる半原越に出る。この峠には法論堂(おろんど)林道が乗っ越している。峠の案内板にも法論堂のことが説明されており、昔修験者たちが仏法について議論した場所、とされている。
仏果山、経ヶ岳とも仏教に由来した山名である。日本各地の山はどこも信仰との関わりが深いが、丹沢山地のうち東丹沢の部分は特に、修験者の山岳修行の場として栄えてきた歴史があり、行者、地蔵、不動といった山名や地名にもそれがうかがえる。

再び登山道へ。すぐに「清川宝の山」という石柱が立っていた。経ヶ岳へはけっこうきつい登りとなる。途中から明るい自然林となるが、傾斜はどんどんきつくなっていく。今日一番の我慢のしどころだ。
いったん傾斜が緩くなるが、その先でさらなる急登となる。山名の謂れとなった「経石」を見て先に進むと、ようやく経ヶ岳山頂である。
仏果山展望台に比べると眺めは限られているが、大山から表尾根の稜線が大きく望める。今日は行程中、富士山は大山のちょうど後ろに位置するのか、最後まで全く見えなかった。でも、ベンチもあってゆっくり落ち着ける山頂である。

下山は半僧坊バス停まで。ここからさらに続く尾根道を見送り、「田代」方面の指導標に従う。随所で木の間から仏果山が見えたり、町並みを見下ろせたりと、この時期ならではの眺めが得られる。林道を横断した後は直線状の長い尾根下りとなり、堰堤に下りつく。沢沿いにしばらく歩いていくと林道に出て、ほどなく国道につながった。半僧坊バス停はそのすぐ先だった。

行きはどうなることかと思ったが、気持ちのよい尾根歩きができた1日となった。この時期に登るに相応しい山であった。
本厚木駅に戻って軽く一杯やり、小田急線で帰る。