柏木野バス停付近
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今年は冬の訪れが早く、すでに紅葉山行も終盤戦だ。軽いハイキングのつもりで生藤山に登った。東京・神奈川・山梨の3県を分かつ展望の尾根を歩く。
武蔵五日市駅から数馬行きのバスに乗る。どんよりとした曇りで、車道は濡れている。どうやら雨が降っていたらしい。
柏木野バス停で下車。周囲の山々はガスがかかり、山村は静まりかえっている。
バス停から数馬方向に30mほど歩くと指導標が立っている。バス停側から来ると見逃し易い。
民家の間をすりぬけてやや下り、川を渡る。すぐに山道となる。意外と見通しのいい植林地を登って行く。
初めは穏やかだった道も、やがてジグザグの急登になってくる。はるか上方に稜線が見えて来る頃から、きつい登高が続く。
稜線に出る。右方向に祠が見えるが、連行峰(れんぎょうみね)へは左に進む。指導標はない。
片側が自然林になる。万六ノ頭(883m)を西面から大きく巻くあたりでは、まだ紅葉が残っている。しかし時折ガスが周囲を覆い、右側の植林帯とあいまってモノクロームな印象を受ける。
道ははっきりしているが、笹がかぶっているところもある。ズボンを通して雨露に濡れた笹の冷たさが伝わってくる。これは早めにスパッツをしたほうがよさそうだ。
スパッツをしている間、体が冷えてしまった。しかしこれ以降、あまり傾斜のない快適な尾根道が続く。杉や桧の植林が多いのが残念だが、ある程度変化もあり、単調さを感じずどんどん歩を進められる。
連行峰山頂
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さらに進むと、左側の樹林が途切れた場所に出る。ここからは陣馬山方面が眺められるのだが、今日は雲で見れない。
いったん鞍部に下り、小さなアップダウンを経て、連行峰への登りにかかる。このへんからやっと、自然林に囲まれるようになる。
一箇所、距離は短いが背丈ほどの笹をくぐるところがある。今日の天気では、このようなところをくぐると全身がビショビショになってしまう。はっきりしない巻き道を右に見送り、山頂を目指す。
ベンチの置かれた連行峰(1003m)に到着。東京で最南端の1000m峰で、奥多摩と高尾山域との接点でもある。
自然林に囲まれた静かな雰囲気はとても居心地がいい。樹木はほとんど葉を付けておらず、今年の季節のめぐりがあまりにも早いことを、改めて実感する。一角だけ伐採されていて、天気がよければ大岳山が望めるが、今日は無理だ。
稜線を振り返る
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三国山から甘草水へ
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生藤山への縦走路に入る。散歩気分で歩ける、自然林の気持ちのよい稜線である。万六尾根では一人に出会っただけだが、さすがにこの稜線は人気のコース。人の往来は盛んだ。
この天気で展望は期待できないので茅丸(1019m)は巻き、生藤山直下の登り道になる。岩がちの急登だ。10名以上のグループが2組、続けて下りてくる。1グループが下りたところで後続に待ってもらい、先に登る。
生藤山の頂上は明るく開けているが、今日は富士山との出会いはない。下部のほうはわずかではあるが、紅葉が残っている。
葉が完全に落ちて大展望の頂になる冬、ミツバツツジが山頂を彩る芽吹きの春、そしてこの季節は、ちょっと物哀しさの感じられる、味わいのある山だと思う。
三国山(さんごくやま)に向かう。空をおおう一面の雲がやや薄くなり、今歩いて来た連行峰・茅丸方面の展望が開ける。
甘草水の方向へ快適な尾根道が下りている。生藤山からの巻き道を合わせ、桜の木が多い甘草水(かんぞうすい)へ。ここも人が多い。これから登る人もかなりいる。
もっとも今日は、自分の登り出す時間が早過ぎたともいえる。
柿のなる丸畑集落
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結局それが裏目に出てしまった。石楯尾神社(いわだておじんじゃ)に下りたら、バスが2時間後までない。12時台にたしか一本あるだろうと、あやふやな記憶を頼りにしてしまったのがまずかった。
しょうがないので、上野原駅まで車道を歩くことにする。前半はのどかな風景が広がり気が紛れるが、上野原団地を過ぎ、国道に出会う頃にはもういいかげん飽きが来た。
歩道橋で中央高速の上を渡る。目の前に鶴島御前山と高柄山がきれいに見える。気がつくと、天候もかなり回復していた。
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