~花と新緑の穏やかな山道~
タイトル
ならくらやま(1348m)
2005年4月30日(土) 晴時々曇り

7:30奥多摩駅-[バス]-8:20川久保-9:30モロクボ平-9:45高指山-10:40大ダワ10:45-11:00大マテイ山-11:55鶴寝山12:20-12:30松姫峠-13:15奈良倉山13:30-14:15鶴峠14:25-15:35小菅の湯17:13-[バス、金風呂乗り換え]-18:10奥多摩駅
歩行時間:6時間15分

マップ
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奥多摩と大菩薩の接点となる、牛ノ寝通りの東端を辿って奈良倉山まで縦走する。
ほとんど同じコース紹介がちょうど、新ハイキング誌に掲載されていた。小菅川を挟むこれらの稜線は、他の奥多摩の同標高の山々より、季節の進むペースが若干早い気がする。花も多く淡い新緑の山を存分に楽しめる。
ブナが目立つ明るい山道
ブナも見られる大マテイ山~鶴寝山間の道

小菅の1つ前、川久保で西東京バスを下車する。下りた人はもう一人、鹿倉山のほうに登っていった。

バス停付近には指導標もなく少しわかりにくい。25000図を見ながら進行方向に少し進み、すぐ左の小道に入る。右に養魚場を見て少し上がると、「牛ノ寝登山口」と比較的新しい指導標が立っている。

しばらくは杉林の中の登り。鮮やかな緑色のわさび田を見て、ジグザグに高度を稼ぐ。シロバナエンレイソウ、スミレが多い。

もう一度わさび田の横を通る。水際だからか、ニリンソウも咲いている。牛ノ寝に上がる道は、田元や小菅の湯からのコースが多く歩かれているようだが、こちらの道もよく踏まれている。
牛ノ寝方面登山口
牛ノ寝方面登山口
ワサビ田
ワサビ田
モロクボ平
モロクボ平

杉林下の道が続くがスミレが多い。マルバスミレ、エイザンスミレ、ナガバノスミレサイシン。タチツボスミレなどは地面を紫色に染めているような場所もある。

植林も終わりに近づき、上部に明るい雑木林の稜線が見えてくる。芽吹きから淡い新緑に衣替え中の、美しい林の中となる。のんびりした穏やかな道。牛ノ寝の特徴でもある。
田元からの道が合わさるモロクボ平を過ぎる。ミツバツツジはこのへんでは終わっているが、少し高度を上げるとヤマザクラとともに薄紫色の花も目に付くようになる。

高指山を巻くところで、斜面にイワウチワの群落を発見。もう終期ではあるが、今年の春はイワウチワを諦めかけていたので運がよかった。

淡い新緑の、すがすがしい道がまだまだ続く。明るい南斜面では緑の色合いも多くなるようだ。足元のスミレもますます数が増える。

やがてトタン板の小さな小屋を見ると、松姫峠への道を合わせ大ダワに到着。登山者が一人休憩中。付近は伐採されて雲取山方面の視界が利く。しかし今日の空は、霞が支配し周りの山は見えにくい。
大菩薩方面からの縦走者もやって来た。昨日からの好天で快適な山旅だったことだろう。

腰を上げて松姫峠~奈良倉山への道に入る。ここからは初めて歩く道だ。
右斜面を見ていると赤テープが目に入る。それに従って斜面を登ると、1分ほどで大マテイ山(1409m)の頂上に着く。新しい標識が立てられている。今日の最高点であるが、足元は倒木や枝が散乱しぱっとしない。大菩薩方面の展望が得られる。

登山道に戻る。大マテイ山を北~東面から巻くあたりの道は、平坦もしくは緩やかな下りとなり、実に快適な森の散歩道となる。
ヤブレガサが足元を埋め、スミレもぐんと多くなる。ワチガイソウ、ネコノメソウ、フデリンドウも出てくる。
三頭山西面の、自然林豊かな道を引き継いでいる雰囲気だが、このへんは鬱蒼とした樹林帯もなく、明るい尾根道が続いている。それでもじきに太いブナも見られ、新緑時は白眉の道となろう。

スミレ咲く牛ノ寝

マルバスミレ

アケボノスミレ

シコクスミレ

アケボノスミレ

ナガバノスミレサイシン

シロバナナガバノ~

奈良倉山頂上
奈良倉山頂上
新緑
新緑
バスを乗り継ぐ
バスを乗り継ぐ

分岐が現れる。左は松姫峠に直接下りる道。鶴寝山を経由する右の道を選ぶ。山経由とはいっても急なところはほとんどない。
頂上付近になぜかニリンソウが数輪。スミレの群落に囲まれたブナ巨樹も見られ、鶴寝山頂上(1368m)に着く。南西面のカラマツ林は一部が伐採され、大樺ノ頭、雁ガ腹摺山あたりの展望が得られる。今日はかすんでいて見えないが富士山の展望もありそうだ。
尾根の一角と言ってもいいほどなだらかで、鶴も寝てしまいそうな雰囲気の良い頂上である。

下りきったところの松姫峠は車道が乗っ越し、バイオトイレや案内板もある。ここまで車で上がって来て、手ぶらで散策する人もいるようである。
奈良倉山の登山口は車道の反対側にある。林道が沿っていていて興ざめであるが道は穏やか。やがて檜林に入り込む。林道に出会ったあと少しの間、林道を上がる。頂上直下でカタクリの咲き残りを見つける。

やがて着いた奈良倉山はカラマツや檜林に囲まれた、本日で一番味気ない頂上だった。
富士山の展望出来るという場所に行ってはみたが今日の天気では何も見えず。もっともこんな遅い時間では秋や冬の日でも富士山は無理かもしれない。
奈良倉山はその大きな山体を三頭山と肩を並べ、存在感ののある山だが雰囲気的には鶴寝山のほうが好みだ。

「松姫峠(遠回り)」という指導標に従って下る。長作(ながさく)に下る考えもあったのだが地形図を読み取る自信がない。今回は調査不足だった。それより小菅の湯に誘惑が向かった。
鶴峠への下りに入る。幼植林べりに登山道が付けられていて味気ない道だ。今は大きく望める三頭山の姿も、植林が生育したら見れなくなるだろう。
しかしスミレはここにも多く咲く。下り出しの所ではカタクリも咲いているし、林道建設などの観光地開発にあまり手をつけてもらいたくない思いはある。

伐採工事をしている場所を過ぎて鶴峠に下り立つ。バスは2時間先なので歩く。マイカー登山者が見たら、ここから小菅の湯まで歩いていくのは信じられないであろうが、自分は今日が2回目である。

1時間ほどの車道歩きで小菅村の小永田、井狩地区を過ぎる。至るところに八重桜がまだ咲いている。
小菅村も丹波山村も、今般の市町村合併ブームに飲み込まれず、その村名が残ったのは、登山者として少し安堵感を感じる。しかし地元の人々にはどんな思いがあるのだろう。小菅の里道で話しかけてくれる人たちは皆、明るく元気な人ばかりだ。
後ろから自転車に乗ったおばさんがやってきた。急に客が入ったので宿に戻るらしい。民宿のおかみさんのようだ。小菅の湯に上がる近道を教えてもらった。
最後はかなりの登り返しで小菅の湯に到着。やわらかな春の日差しを浴びての露天風呂は格別である。

小菅の湯からボンネットバスで帰る。登山者が中心の乗客はみな満足そうな表情。山はこれから瑞々しい新緑の季節を迎える。


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