~紅・白・緑色とりどりの稜線~
タイトル
ながさわはいりょう
2005年5月23日(月)曇りのち雨

7:35JR奥多摩駅-[タクシー]-7:55東日原-9:20滝入ノ峰9:30-9:50横篶山-10:35一杯水10:45-11:45仙元峠11:50-12:05蕎麦粒山12:25-13:00日向沢ノ峰13:10-13:25踊平-13:40横ガ谷平-14:00獅子口小屋跡-15:35奥茶屋-15:55上日向16:05-[バス]-16:15川井駅
歩行時間:7時間5分

マップ
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丹沢に続いて、もう一度シロヤシオを見に行く。
奥多摩にもシロヤシオは多く咲く。特に知られているのは東京・埼玉県境の長沢背稜、川苔山周辺。鳥屋戸尾根でも見られるそうだ。
東日原の集落
東日原の集落

今日は平日、奥多摩駅にせっかく早く着いたのにバスの接続が悪い。ロングランになりそうなのでタクシーを利用する。
運転手さんによると、先日川苔橋周辺で死体の一部が見つかったそうだ。他殺体だそうである。こんなところに捨てに来ないでほしい、とご立腹だ。
東日原のバス停前で下りる。ヨコスズ尾根は5年ぶり、さらに登りとなると1998年11月の「三ツドッケ・酉谷山」以来となる。下部の植林帯が単調だが、今回は尾根通しに進み、滝入ノ峰を経由して行くことにした。

滝入ノ峰へは、植林を抜け自然林に移行するあたりに手書きの小さな標識があったはずだが見当たらない。適当なところで左に見える尾根目指して直登することにする。
ふかふかの落ち葉道を経てすぐ尾根に乗る。気持ちのよい新緑の山。上に見えるピーク目指して登る。「二四三・・・」と書かれた標石があるが山頂ではないようだ。次の高まりも同じ。
そうしていくつもピークを越えていくうち、ヤセ尾根になり露岩が現れてくる。
トウゴクミツバツツジ
トウゴクミツバツツジ

目指すピークがなかなか現れないうちに、稜線下にはトウゴクミツバツツジが目立つようになってきた。木の間越しに斜面を見ると、かなりの範囲が紫色に染まっている。新緑と濃紫のコントラストが鮮やかだ。自然の造り出した色彩の妙にはいつも圧倒させられる。
何度もだまされたあげく、ようやく滝入ノ峰(1310m)に到着。樹林に囲まれた静かな山頂だ。奥多摩の未踏の峰に登ったのは久しぶりのような気がする。

トウゴクミツバツツジを見ながら急な斜面を下り、しばらくしてヨコスズ尾根の登山道に戻る。
ほどなく、右手のコブにもかすかな踏み跡を認める。登ってみると「横篶山」(1289m)とビニールテープで書かれている(よこすずやま、と読む)。尾根の名前を語るピークはなんとも地味な、単なる尾根上のコブだ。
この「篶」という字は奥多摩の山名に時々出てくる文字で、タワ尾根には「篶坂の丸」という小ピークがある。

尾根道はこのへんから平坦または緩やかな登りとなり、周囲の新緑を存分楽しめる。そしてトウゴクミツバツツジ、シロヤシオも多く現れる。ツツジのトンネル状になっている場所もある。
天気は芳しくないが太陽の照り返しがない分、葉の緑、花の紫・白色がストレートに目に入ってくる。
シロヤシオツツジ
シロヤシオツツジ

右手に檜林が見えてくるとほどなく、避難小屋のある一杯水に着く。ここもトウゴクミツバが鮮やか。避難小屋の屋根の上には青空も覗く。

小憩ののち長沢背稜の縦走に入る。一杯水の水場は枯れている。このところ関東地方は、短時間の雷雨こそあるもののあまり雨が降っていない。

矢岳への分岐を過ぎると、左手の尾根側にシロヤシオが目立つようになってくる。
長沢背稜には東京都水道局の巡視林道が伸びていてそれが登山道になっているが、道の大部分は稜線のかなり下側(東京側)に付けられている。
シロヤシオやトウゴクミツバツツジは、尾根伝いまたは秩父側に多く咲いている。近くで見るには、ところどころある笹の間の踏み跡を登って行くことになる。

シロヤシオはよく咲いているが、この稜線に最大でどれほど咲くのかがわからない。満開時はもっともっと咲くのかもしれない。
新緑の道
新緑の道

道は尾根側に上がり、仙元峠(1436m)へ。祠の手入れをしている人たちがいた。
天気のよい日はここからも富士山が見れるという。富士山を奉った神社は「浅間神社」と呼ばれて全国に存在するが、ここの仙元峠も「浅間」が転化したものと考えられる。昔は、秩父の人たちが一番手近に富士山を拝める場所として重宝されていたのだろう(とはいっても登り3時間はかかるが)。

シロヤシオはやや少なくなり蕎麦粒山(1473m)、放火帯を下って気持ちのよい散歩道を行く。遠く大岳山のあたりに、どす黒い雲がかかっている。こっちに向かってこなければいいが。
日向沢ノ峰(ひなたざわのうら・1333m)に到着。長沢背稜東部では数少ない展望の頂も、葉が茂った季節では視界がかなり遮られる。

下って踊平。下部に川乗林道が延伸されているのが見られる。
このへんは、もう少し早い時期にアカヤシオツツジも多く見られる。今回もシロヤシオが散在されるが、長沢背稜ほどではない。川苔山近くまで行けばまだ見られそうだが、今日は横ガ谷平獅子口~大丹波に下りる。

大丹波林道に出たとたん、ついに雨が降ってきた。1時間強の歩きでキャンプ場のある奥茶屋。棒の嶺の登山口があるがつい先日、皇太子が登った山だ。
バス停の大日向まであと1km、というところでどしゃ降りとなった。雨具は上しか着ていなかったので、下をはく余裕もなくたちまちずぶ濡れになる。席を濡らさないように、バスの中で逆に雨具をはいて座った。

川井駅に着く頃、雨は上がった。この日は各地で雷が大暴れしたようだった。

注:タイトルを「シロヤシオの長沢背稜」としていますが、長沢背稜とは三ツドッケから西側の部分を言うのでは?とのご指摘をいただきました。この蕎麦粒山、仙元峠一帯の稜線は「都県界尾根」と呼ぶのが一般的なようです。


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