~10年目の奥多摩を登る~
タイトル

みつどっけ(1576m)、ななはねやま(1651m)
2007年10月28日(日)快晴

7:25奥多摩駅-[バス]-7:53東日原7:55-9:00落葉樹9:05-9:55一杯水10:05-10:25三ツドッケ11:05-11:40ハナト岩-12:20七跳山12:30-12:40七跳尾根-13:35小川谷林道(駐車場)-14:05[車に拾われる]-14:35奥多摩駅
歩行時間:5時間10分

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10年前の10月29日に六ツ石山に登って以来、10年が経過した。その間、よくも400回もの山行を重ねて来たものだ。
10年の間に山を取り巻く環境もずいぶん変わった。変わらないのが自然というものだと習ったが、そんなことは全くない。
増えたもの。鹿、整備された登山道、登山口の駐車場。雑木林の背丈、伐採地。また、日帰り温泉施設。自分の歩く距離も増えた。
減ったもの。雪、花、登山道にかぶさるヤブ、登山口付近を走るバス。
山行に費やす時間、山に泊まる日数も減った。登ることに一生懸命になり、余裕がなくなっている。言っていることが矛盾しているかもしれないが、ゆとりを持った山歩きをすることが自分の目標である。

ヨコスズ尾根の紅葉
ヨコスズ尾根の紅葉

10周年記念ということで、ホームグラウンドの奥多摩の紅葉を見に行く。そういえば10年前は、山は紅葉がきれいだなんていうことは、全く知らないで登っていた。
東日原から民家の横を通り、ひとりヨコスズ尾根に入る。他の登山者は皆、鷹ノ巣山の稲村岩コースに向かった。
なお、登山口には「酉谷山避難小屋は閉鎖中、酉谷からの下山路は橋が消失しているので、七跳尾根を使ってください」との貼り紙があった。いずれも先の台風9号の影響である。

ヨコスズ尾根の初めは桧の植林下のジグザグの登り、急できつい。滝入ノ峰への踏み跡を過ぎると、ようやく緩やかになって落葉樹も見られるようになる。
紅葉はやっぱり遅れているようで、まだまだ緑が多い。ミズナラやコナラは、紅葉する時期が遅いようだ。高度を少し上げるとカエデの黄葉がちらほら見られる。

ヤセ尾根に出て、周囲の眺めが得られる。稜線の上のほうは赤が多く見られ、紅葉が進んでいるようだ。吹き抜ける秋風が気持ちよい。今日は台風一過の好天で、空も抜けるように青い。
高度が上がっても、紅葉はなかなか進まない。そのうち右手に再び桧が現れる。ヨコスズ尾根の紅葉はもう1週間先が見頃になるだろう。
避難小屋の建つ一杯水に着く。先着者がひとり。自分とは反対に、蕎麦粒山から川苔山へ行くと言う。
小屋の戸を開けて中を覗いてみる。もちろん今の時間は誰もいない。ここは自分が初めて泊まった避難小屋だ。中はストーブが変わった以外は、変わらずのままだ。小さい窓から光の線が一本、木の床に届いている。


蕎麦粒山・川苔山

石尾根と富士山

雪を被った浅間山

三ツドッケへの道は、小屋の裏手から登っている。以前と比べてずいぶん取り付きやすくなったが、今でも両側が笹のか細い道であることに変わりはない。
途中で大きなブナの木を見る。見事に黄葉した枝をいっぱいに広げている。かたわらにリンドウが咲く。
急登ののち2回高度を落とし、最後のピークに登る。すなわち三ツドッケには小さなピークが3つ並んでいる。

三角点のある三ツドッケ頂上に着く。少し前に山頂付近が伐採され、今は広い眺望が得られる。以前は石尾根方面だけ開かれていたのに、これはすごい変わりようだ。
目の前に奥多摩の山々が勢揃い。隣の蕎麦粒・川苔山、特徴ある大岳山、御前山。壁のような石尾根、雲取山、酉谷山、長沢背稜の山々、遠くは丹沢、富士山。富士山は昨日の台風の影響で、5合目まで白くなっている。いつもとは反対に西側に雪が多いのが面白い。
北に目を転じれば秩父の町並みの向こうに男体山、日光白根山など奥日光の山。白根山もかなりの雪を被っている。

長沢背稜の山々はどれも、山頂からの展望はあまりよいものではない。逆にそれが長沢背稜らしい所以なのだが、三ツドッケのこれだけの素晴しい眺め、これはちょっと「らしくない」。ここだけ展望が良くて、他の山に恨まれないだろうか。

山頂を辞して、西に進む。頭が真っ白の浅間山が遠望出来た。はっきりした踏み跡を下って、長沢背稜の登山道(水源林道)に合流する。ここからしばらくは、平坦もしくは緩やかな上り下りの道となる。
秩父側の眺めが時折開ける。堂々とした大きな山は大平山、いつか登ってみたい山だ。

それにしても快晴の休日というのに、誰も歩いていない。石尾根や鷹ノ巣山が奥多摩の表銀座なら、ここはやはり裏銀座、いや裏街道と言ったほうがいいであろう。以前どこかのページに「長沢背稜や酉谷山は、東京で一番静かな場所だ」と書いたが、自分でもうまいことを言ったと思う。
この静寂境の雰囲気は10年前とそう変わっていない。


カエデ黄葉

薮の中の七跳山

紅葉のカーテン

自然林の多い長沢背稜だが、この一杯水~七跳山間はたまたま桧林が多いエリアで、紅葉があまり楽しめないのが残念だ。それでもあちこちできれいに黄葉したブナやカエデを見る。
展望のよいハナト岩を過ぎ、岩場に付けられた桟橋をいくつも渡る。右手の高みに登っていく踏み跡にテープがつけられている。笹深い急登を踏ん張って登る。
七跳山の頂上には、手書きで山名が書かれた棒っきれが刺さっているだけ。周囲は笹である。かつては三ツドッケも山頂はこういう雰囲気だった。聞けば、酉谷山の山頂も以前は笹の中にぽっかり三角点があっただけだそうだ。
懐かしさの感じられる七跳山頂上を少し下ると、樹林の切れ間から富士山が顔を覗かせていた。

南側につけられた踏み跡を下って、再び水源林道に出る。ここから酉谷山を回るのは時間的にきつい。今日は七跳尾根を下ることにした。
七跳尾根は、以前の登山地図では「ゴンパ尾根」と表示されていたが、いつの間にか名前が変わっている。最新のエアリアマップによれば、同じ地点から派生するもう1本の尾根に、ゴンパ尾根の名前が付けられている。

七跳尾根も桧が多く紅葉を楽しめる場所は少ないが、ジグザグに付けられた道は急なところがなく歩き易い。元は、林業に従事している人が使っていた仕事道だからであろう。傾斜が緩くなった地点で、きれいな紅葉のカーテンを見れた。

どんどん高度を落とし、林道に下り立つ。少し歩いて小川谷林道の駐車場に着く。さあここからは6kmの林道歩きだ。しょうがないけど歩くしかない。
しかし30分ほどして、親切な方に車に拾ってもらえた。この林道は何度か下っているが、最後まで歩き通したのは、最初の頃の1回か2回だけだと思う。最近は途中でこういう親切な方に出会うことが多くなった。
茸採りに来ていた方で、山の話をしながら奥多摩駅まで乗せてもらった。


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