~小雪舞う師走の奥多摩~
タイトル

ごぜんやま(1405m)
2007年12月30日(日)晴れ後曇り一時雪

7:25奥多摩駅-[バス]-7:35境橋バス停-7:55栃寄-8:35登山口-9:10ヒノキの広場9:15-9:55稜線-10:10御前山10:55-11:10惣岳山-11:45小河内峠11:50-12:10尾根を離れる-12:30湖岸歩道12:35-13:05奥多摩湖バス停13:20-[むかし道]-14:45板小屋バス停15:02-[バス]-15:15奥多摩駅
歩行時間:5時間55分

マップ
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2007年も押し詰まり、今年締めの山は、いつものように奥多摩の御前山にした。

青梅線は青梅駅から先は単線になる。列車交換待ちの間、ドアを開け放して駅に停車するので、冬の朝はえらく寒い。高崎線や東北線のように、半ドアにして閉めておく仕掛けがあればいいのだが、南関東を走る電車にはそういう機能はないようだ。
明日から寒波が押し寄せてくるらしい。今日はまだそれほどでもないのだが、それでも久しぶりに味わうこの冷気に眠気も吹き飛ぶ。
シラカバの尾根
シラカバの尾根(栃寄集落コース)

奥多摩駅からのバスを、境橋で下車する。今日登るつもりだった栃寄沢コースの入口には、通行止めの看板がかかっていた。9月の台風9号の影響がまだここにはある。
普段から山を歩いているなら問題ない、との話もあるが、無理はしない。ここから他のコースでも登れるから。

車道をさらに登って、栃寄集落の広い駐車場の横に出る。しんとしている。駐車場からは眺めがよく、真正面に雲のまとわりついた石尾根の東端が大きい。
さらに歩いてとちより亭の横に出る。ここからシダクラ尾根も登れるが、一般コースではない。今日はあまり調べていないので、また今度にする。
前回ここを下りに取ったときは、ショートカットの登山道がわからず車道を忠実に歩いたが、今回も気づかずに車道を歩いた。
道脇には雪かきの跡がまだ残っている。山の上には雪はどうだろうか。やがて右手に登山口を見て、やっと舗装道路から解放される。

植林帯下の急な登り。ところどころヤブが出ている。植林を脱し、シラカバの尾根にとりつくも急登が続く。
平坦な小広い場所に来る。ヒノキの広場ということで、あずまやと案内板がある。名前の通り薄暗い植林の中だが、無機的に直立した樹林をシルエットに、眩いばかりの朝日が差し込む。

メグスリノキの立つ場所を過ぎてもさらに急登は続くが、上に見えていた稜線が近づくにつれ、傾斜はだんだんと緩くなる。再び自然林の中に入ると沢沿いの登高。このへんに来てようやく、以前夏の時期に下ったときの印象と符合してきた。
惣岳山と御前山を結ぶ稜線は、すぐ上に見えている。しかしかなり体力を使ってきているせいか、遠く感じる。


朝の栃寄集落

冬枯れの御前山

落ち葉の防火帯

ようやく稜線に登り着く。雨後なのか霜柱が解けた跡なのかはわからないが、ぬかるんでいる。もっともこの稜線はいつの季節も多少のぬかるみはある。
奥多摩の数ある登山道の中で、決まってぬかるんでいる道というのはここ以外、あまりない。

登山道に雪はない。緩く下って登って、御前山頂上。富士山はかろうじて見えている。
登山者は三々五々。今日は一人も会わないかと思ったが、意外と登山者はいる。
伐採の結果、石尾根の方角は大きく開けている。雲取山方面を見ると、大きな灰色の雲に覆われている。今日の天気予報は曇り時々晴れで、多摩西部は一時雪となっていた。なるほど、たしかに今日は寒気の影響が大きいのか、秩父方面は天気がよくないようだ。
御前山一帯はまだ晴れているが、これはそのうちあの雲がここにもやってきそうだ。
日があるとまだぬくもりのある頂上も、雲に日が隠されるととたんに冷えてくる。十分に着込んで食事を取る。

下山は、小河内峠から奥多摩湖への道とする。空の青さはみるみるうちに灰色に覆われてくる。着込んだフリースを脱ぐことなく下山開始する。

惣岳山から小河内峠までは気持ちのいい防火帯。このコースで先日、山岳マラソン(長谷川カップ)中に滑落死亡事故があったという。花が手向けられたその場所にはロープで立入りが禁止され、迂回路がつけられていた。
現場はヤセ尾根で、緩く下ってすぐ下が崖になっている場所を右折して巻きながら急降下するだ。注意を払っていないと昼間でも危険な場所だ。そこを夜、ヘッドランプで下って落ちたらしい。

三ツ峠でも山岳マラソンのトレーニングをしている人と何人かすれ違った。彼らは景色を見ることもなく、視線を一点に集中させ、ただひたすら黙々と走っている。何か追い詰められたような表情をしているのが気にかかった。
山岳マラソンをする人の気持ちがわからない。亡くなった方は本当に気の毒に思う。しかしいったい山は走る場所なのだろうか。


奥多摩湖が見える

湖岸歩道へ

色が戻った奥多摩湖

空はますます薄暗くなり、風がゴーゴーと吹き始めた。樹林を通して奥多摩湖が見下ろせる。台風9号で泥色と化した湖面も、ようやく元に戻りつつあるようだ。ただ本来の青ではなく、よどんだ緑色ではあるが。

やがて小河内峠に着く。やけに冷たい風と思っていたら、白いものが頬に当たった。やっぱりあれは雪雲だったらしい。
奥多摩湖への下り道に入ると、雪はどんどん強まっていく。横殴りである。山を歩いていて雪に降られたのは6年ぶりだ。しかし積もるような雪ではない。
湖岸歩道に下りるころは、雪は弱まり青空が覗くようになった。
ザックカバーをつけるのを怠ったため、ザックがびしょぬれになってしまった。

湖岸歩道からは、すっかり天候回復した青空の下を小河内ダムまで歩く。歩道脇にはカンツバキが咲き残っている。風は依然として冷たく、今年はそれなりに寒い冬になりそうだ。

冷たい風吹く中、ダムサイドを歩き奥多摩湖バス停に着くが、次のバスまで1時間以上ある。14時台になると3便もあるのに、ここの時刻表は時間帯によって便数が偏っている。今回はバス時刻を調べてこなかったのがまずかった。

むかし道を歩いて、適当なところでバス停に下りることにした。
むかし道はアップダウンが多く、一度山を下りてきた身にはちょっときつい。舗装道路が多いので足裏も痛くなる。しかしダムを前面に、御前山の大きな姿が望めた。

それにしても青梅街道の下にこんな静かな道があったとは、今まで奥多摩を10年歩いていて気づかなかった。新緑や紅葉のむかし道を、一度じっくり歩いてみたいと思う。


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