~夢の跡の静かな尾根道~
タイトル
ごぜんやま(1405m)からつきよみさん(1147m)
2006年12月31日(日)晴時々曇り

7:30奥多摩駅-[バス]-7:45奥多摩湖-7:50小河内ダム-8:40サス沢山8:45-9:45惣岳山9:50-10:05御前山10:50-11:00惣岳山-11:40小河内峠11:45-12:20月夜見駐車場-12:30月夜見山12:35-13:05風張峠-13:30砥山13:50-14:15都民の森(森林館)-15:00数馬-15:10数馬の湯17:27-[バス]-18:20武蔵五日市駅
歩行時間:6時間

マップ
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来年で山登りも10年目に入る。ここ数年は季節によって行く場所も定まってきているが、あまりパターン化しても面白くない。
それでも年末年始に登る山はなぜか、御前山を選んでしまう。年の瀬の静かな雰囲気がこの山に似合っている。
小河内峠付近の尾根道
小河内峠から月夜見山へ向かう尾根道

大岳山や川苔山あたりだとそれなりの人出はありそうなので、奥多摩でも少し奥に入った山のほうが静けさを味わえるだろう。

青梅線に乗る登山者はまばら。バスも乗客2人のみだ。休日はいつも賑わう奥多摩湖周辺も、年の瀬は閑散として、人の姿もほとんど見かけない。満水の奥多摩湖(小河内ダム)畔を少し歩き尾根に取り付く。

静寂があたりを支配し、ゆっくりした時の流れに吸い込まれていきそうだ。サクサク、カリカリと落ち葉や霜柱を踏む音が響く。音を発しているのは自分と、高い木で精を出しているアカゲラのドラミング音のみだ。

登ることに集中していると、いつのまにか仕事や私生活のことで頭がいっぱいになっている。じきに木の根元に標高700mのプレートを見る。


富士山

御前山三等三角点

小河内峠

サス沢山(950m)からはしばしの緩斜面。日陰を見ると、無数の霜柱が土を持ち上げている。
高度を上げていくと背後に鷹ノ巣、雲取山など奥多摩の山、飛竜山のずっと奥に白くなった端正な形の山は奥秩父の北奥千丈岳だろうか。

やがて、広葉樹の木の枝を透かしてキラキラと見え出したものは富士山だ。今日は寒気が下りてきて寒いのだが天候は今ひとつ。バックが白いので写真は映えない。
急登の後惣岳山(1340m)。緩い下りを経て御前山に向かう。霜柱がすごくて、遠目にはまるで雪が積もっているようだ。御前山頂上で1人の登山者を見るが、すぐに下山して行った。
北面が切り開かれ、石尾根の山そして日光方面も見える。頂上直下の富士山の展望台は、昨年に比べて樹木が伸びてきている。しんとした頂上でしばらく展望を楽しむ。

今日は小河内峠を経て月夜見山、そして三頭山までは行けなくても都民の森に下って数馬の湯で年納めとしたい。

尾根から見下ろす奥多摩湖はコバルトブルーで美しい。この湖の本来の色であろう。
小河内峠から月夜見駐車場までの尾根道には、コブのある場所にところどころ巻き道が出来ている。6年前初めて歩いたときには無かったものだ。もっともその時分は、登山道を仕切っている木の柵さえも無かった。カタクリで人のあふれたこの道も、今では咲く花の数がめっきり減ってしまったそうである。
この尾根道には別の面で気になることがある。それは路面が硬いことである。人による短期間の踏みつけの結果だ。最近奥多摩に花が少なくなってきたと聞く。鹿など野生動物の食害にその理由を求めている傾向があるが、果たしてそれが真の原因なのか。

山にはちょっとやそっとではへこたれない再生力、復元力がある。しかしそれにも限度がある。花の季節を狙って短い期間に人がどっと押し寄せると、山の再生力のほうが負けてしまう。
12ヶ月の期間をのべ100人がまんべんなく歩くのと、他の11ヶ月がゼロでも1ヶ月間に集中して100人が歩くのとではインパクトが違うのである。大蔵高丸も一時に比べ花は少なくなってしまったようだ。自分がこのサイトで書いてしまったことも少なからず影響しているのか。

こうした傾向がここ1,2年だけのことであると思いたい。また今はヒカゲツツジの坪山がそうならないことを願うのみである。
この10年で登山道は大きく変化した。ただしそれは人の目に触れやすい登山道近辺だけのことであって、山そのものは変わっていないと思いたい。

月夜見山

風張峠付近からの眺め

砥山

月夜見駐車場までの急坂を登るにつれ、意外にも人の声、エンジンの音が。月夜見駐車場にはたくさんのライダー族とパトカーがいた。今日は大晦日。ライダーにとっては「初日の出暴走」?の日だったようだ。
静かな山を求めていたところが、とんでもない光景を見てしまった。それでなくてもさっきから、頭上にヘリの音がバラバラとうるさい。どういう事情かわからないが、年末くらい勘弁して欲しいと思うのは勝手な考えか。

奥多摩周遊道路沿いに歩き月夜見山、風張峠(かざっぱりとうげ)と歩く。車道が沿ってなければ渋みのあるいい尾根道なのであるが、惜しいことだ。月夜見山にある三角点標石は立派なものである。
それにしても、都民の森や奥多摩周遊道路が無かった頃、この道を一回歩いてみたかった。

風張峠から尾根伝いに進み、戸沢ノ峰で御林山(おはやしやま)への道を分ける。三頭山一帯のこの森は、江戸時代に幕府用材の備蓄林として保護されてきた関係で、当時はこの一帯を御林山と呼んでいたそうだが、今は浅間尾根道の小さな峰にその名が残されているだけだ。また、三頭山付近に自然林が多く残っているのはそうした保護を受けてきた背景もあるのだという。
さらに尾根伝いに進むと砥山(とやま・1302m)のピークに着く。御前山と三頭山の間にある唯一の1300m峰で存在感がある山なのだが、いつも巻いてばかりで今日やっと山頂を踏むことが出来た。

砥山からは直接都民の森に下る道を行く。30分弱で森林館。静まり返って人の気配を感じない。玄関に「謹賀新年」の紙が貼ってある。都民の森駐車場も車の数ゼロである。

都民の森からは山道を少し歩いて数馬の集落に下りる。ちょうど15時15分のバスが出るが今日は温泉に入る。寒い一日、山を歩いた後のお湯はこたえられない。
2時間ゆっくりして、真っ暗になった中をバスで武蔵五日市駅に戻る。


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