~明るい尾根を行く雪景色の山~
タイトル
ふじくらからごぜんやま(1405m)
2002.12.29.(日) 快晴

武蔵五日市駅7:03-[バス]-7:50藤倉バス停8:05-9:20猿江分岐9:25-9:55小河内峠10:10-11:05露岩ピーク11:20-11:35惣岳山-12:00御前山12:30-13:20作業道分岐-13:40サス沢山13:50-14:30登山口-14:40奥多摩湖バス停14:58-[バス]-15:15奥多摩駅 歩行時間:5時間35分

マップ


中判カメラの「FUJI GA645Zi」を購入した。初心者向けとはいえ、スナップ写真のように手軽に撮影は出来ないので、デジカメも買い、ペアで山行に持って行くようにした。(このページの掲載写真はデジカメ「RICOH Caplio RR30」で撮影したもの。645の写真を後日掲載予定)

今年最後の山行、奥多摩の御前山に登る。武蔵五日市駅からバスで50分、終点の藤倉に着く。2年前(2000年)の3月にもここから取り付いたのだが、登り口がどこだか思い出せない。バス停付近に導標はない。
奥に続く林道をいったん歩き始めるが、何となく違う気がしたので引き返す。バス停前でもう一度あたりを見渡すと、10mほど戻った所に小さな階段がある。それを20段ほど上がると、小河内峠への指導標をようやく見つけられた。
山上集落と湯久保尾根
山上集落と湯久保尾根

ところどころ眺めの広がる車道を上がって行く。春日神社の横を過ぎ、高度を上げて行くがまだ民家もちらほらと見られる。畑の向こうには湯久保尾根のなだらかなスロープが青空に映える。奥多摩らしい、静かな山上集落の風景が広がる。

犬が吠えながら自分の10mくらい後ろをつけて来る。ほどなく杉林に入り、犬の吠える声もだんだんと小さくなっていく。

急坂が一段落し、尾根に上がると右側が自然林になる。だんだんと雪が道を覆うようになる。やがて四囲が自然林に包まれ、太陽がぽかぽかの気持ちいい道がしばらく続く。西面には木の枝の間から三頭山とそれに連なる尾根が良く見えている。
猿江分岐
猿江分岐

雪は地面に薄く、まんべんなく広がる。猿江への分岐を分け、ほとんど平坦なまま植林と自然林を繰り返す。
やがて支尾根を西から巻くような山腹の道となり、少々歩きにくくなる。気温はそう下がっていないので凍結箇所はない。笹尾根の上に富士山の白い頂が先っぽだけ見える。
行く先に5,6人の人影が見える。近づくと犬を引き連れた猟師のグループで、焚火をしている。

雪はさらに深さを増し、ちょっとの登りでようやく小河内峠(1050m)に着く。とたんに積雪の量が増え、このへんは15cmくらいある。気温2度。
ここからは惣岳山への急な登りだ。いままで平坦道だった分、こってり絞られる。

積雪以降、この道はあまり踏まれていないようで、トレースは薄い。前回の降雪はおそらく21日であったろう(25日も降ったかもしれない)。かなり日数が経っていることもあり、日陰は雪が固くなりかえって歩きにくい。
日の差している場所はいくぶんサラサラ感が残っていて、そちらのほうを歩く。

カタクリ群生地を仕切る柵が現れる。柵はこの先しばらく道と平行して続くが、地面は見えていないので左右どっち側が道なのかがはっきりしない。おそらくトレースのあるほうが道なのだろうが、間違えていたらえらいことだと思う。

背後がどんどん明るくなり、富士山、奥多摩・石尾根や長沢背稜の山々が見え出す。惣岳山手前の露岩ピークに登り着く。本コースで一番の展望地だ。
奥秩父、大菩薩山塊の雁ガ腹摺山、三ツ峠、御正体山なども同定出来る。幾重にも連なる山並みは、上部はどれも白くなっている。12月にこんな雪景色を見るのは初めてだ。
御前山頂上
御前山頂上

いくつかのアップダウンを経て、惣岳山への最後のきつい登りだ。日当たりがよい場所であるせいか、この急斜面だけ土がかなり露出している。

惣岳山頂上(1340m)は20cm程度の積雪。しかしここから御前山までは、大ブナ尾根からはっきりしたトレースが付いているのでいくぶんか歩きよくなる。無雪期であれば、雨の後などグチャグチャになる場所だが、この時期はかえって歩きやすい。

自然林豊かな尾根を行く。新緑の時期もいいかもしれない。カラマツが目立ち始め、ようやく2年ぶりの御前山頂上(1405m)だ。積雪はやや増え30cm近く。
木々が邪魔をし展望は思ったほど得られないが、明るく気持ちいい頂だ。風もなくそれほど寒くない。ラーメンを作りながら体を休める。

湯久保尾根から登って来た人から、登りの途中で人の死体があったと聞きびっくりする。30歳くらいの男性で、登山者ではなく普通の格好だったので、おそらく自殺者だろうとのこと。
山頂まであと1時間ほどの所に、すぐ発見され易いような形で横たわっていたという。
自分も含め、山頂にいた人の持っていた携帯は全部圏外になってしまっていたので、警察への連絡は下山してからとなった。
大ブナ尾根の下り
大ブナ尾根の下り

思いもかけず、落ち着けない休憩となってしまった。山頂は10名ほどの登山者が行き交い、年末の忙しい時期としてはけっこうな入山者だ。しかし騒がしい雰囲気はなく、雪と樹林が物音を吸い取ってくれている。静かで明るい山頂である。

下山は北面、大ブナ尾根を選ぶ。惣岳山からの急な下り、ここはいままでで一番の積雪量で30~40cm。
道は防火帯で幅広だが斜度が一定でなく、リズミカルに下れない。いったん平坦になるがまた急降下、バランスを崩すと危ない場所だ。

この大ブナ尾根の急坂は、積雪がなくても登り下りともに苦労する。
山登りを始めて5回目の山行は御前山(1998年9月)で、この大ブナ尾根を登った。よくぞへこたれずに山頂まで登ったものだと今になって感心する。
サス沢山から奥多摩湖
サス沢山から奥多摩湖

久々に植林帯が現れる。奥多摩湖の展望が広がるサス沢山(950m)を過ぎると、またしてもつるべ落としの急坂だ。ほとんどこれは崖であり、眼下の奥多摩湖めがけて落っこちていく印象である。ロープに頼りながら慎重に歩を進める。

やがて雪もなくなり、笹やアシビが現れる。常に正面にあった石尾根の稜線も、今年はこれで見納めだ。
奥多摩湖畔は観光客がちらほらいるが、観光施設も売店も今日は休業。しかしこういう時期の山歩きが実は一番のんびり出来る。

思いがけない出来事もあったが、気持ちのいい尾根歩きが今年の登り納めとなった。


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