-東京で最高所の集落から登る-
タイトル
峰谷-峰-赤指山-千本ツツジ-鷹ノ巣山
山域奥多摩
地域東京都
標高赤指山(1332m)、千本ツツジ(1718m)、高丸山(1733m)、鷹ノ巣山(1737m)
山行日2010年6月20日(日) 天気
沿面距離16.0km
歩行時間7時間20分
標高差1168m(峰谷~鷹ノ巣山)
宿泊-
温泉-
交通 中央線、青梅線、西東京バスHome



2010年6月20日(日) 

代々木駅5:36
中央線
6:16立川駅6:39
青梅線
7:46奥多摩駅7:50
西東京バス
8:25峰谷8:28
8:55
9:10千本ツツジ登山口
10:20赤指山取り付き
10:40赤指山10:50
11:55石尾根
12:10千本ツツジ12:35
13:00高丸山
13:45鷹ノ巣山避難小屋13:55
14:20鷹ノ巣山14:30
14:50ヒルメシ食いのタワ
15:50稲村岩基部
16:10巳ノ戸谷林道
16:40鷹ノ巣山登山口
16:50東日原17:22
西東京バス
17:48奥多摩駅18:05
青梅線
18:45青梅駅18:46
中央線
青梅快速
19:51新宿駅


関連リンク
奥多摩観光協会
日原観光案内


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赤指尾根は、石尾根の千本ツツジから留浦地区に没する長大な尾根である。峰谷から峰集落回りで石尾根に至る登山道は、この赤指尾根の東側を巻くように付けられており、上部で合流する。
今回は、久しぶりにこの峰集落コースを歩くことにする。

石尾根付近の登山道の中では比較的地味だが、以前皇太子ご夫妻が雲取山に登られた際に、下山路としたコースである。雲取山を取り巻く数あるコースの中でもここを選ぶとは、皇太子様もかなり通な方だなあ、とも思えるが、おそらく他の登山道は大方歩かれたということなのだろう。

なお、赤指尾根の末端から取り付き、尾平山を経由する古い道は一般的な登山コースではない。今の季節はヤブ道かもしれないので敬遠したい。ただ、赤指尾根の1ピークである赤指山は未踏のため、今回寄っていく。


標高約800mの峰集落

峰谷バス停から、左にある急な階段を登る。民家の庭に突っ込みそうになるが、迷路のような細道をたどってその先に見える階段にたどり着く。
奥多摩の登山道は、出だしで民家の軒先をくぐるようなところがよくあるが、ここも同じだ。

ジグザグの山道となるが、間もなく「花入神社」と書かれた社を見た後、民家の立つ車道に出る。「」は、東京で最高所にある集落である。日当たりのよい緩やかな斜面に畑地が広がった、典型的な山上集落で、心が和む。それにしても今日は暑く、ここまででもう大汗をかいている。

フタリシズカ
赤指山頂上
睨まれる
合流点
ひたすら登る
七ツ石山

峰集落はここからさらにまだ上があり、車道をくねくねと上がっていく。標高800mを超えるところにも民家が数軒、立ち並んでいる。雨上がりの雲がたなびき、御前山などの眺めが得られる。隣の尾根には、斜面にへばりついた奥集落の民家も見える。
最後の民家の先、林道の奥まったところに鉄柵があった。ここが登り口であろう。柵の向こう側の未舗装の林道に入るが、反対側にも山道が上がって来ていた。

林道をしばらく進み、指導標にしたがって左手の斜面を上がる。一部下草が多くなるものの、よく踏まれた檜の植林下の道が続く。峰からのコースは、下部の大半がこの植林帯の中を行くことになる。
今までの蒸し暑い空気が樹林によって遮断されたせいか、快適な歩きになった。植林の道は、夏は意外と涼しいのである。

足元にはフタリシズカが花期を迎えている。ツブツブがはじけたような白い花はシロバナシモツケだろうか。道は急なところもなく穏やかだが、山腹を巻いていくので時間はかかる。小さい沢があったので、ちょっと木の葉が混じってしまうが、水を補給した。
林道を横切ってさらに進む。フタリシズカが大きな群落を形成していた。

左手に赤指尾根の高さを感じるようになる。今歩いている道から赤指山に登る正規なルートは、尾根の合流点から少し引き返すように登るものなので、回り道になる。どこか適当なところで尾根に上がってしまいたい。
尾根伝いに登れそうな取り付き口に出会う。ここには祠があるが、上部までまだ距離がありそうなので、ここはさらに進む。
すぐ先で、右側から突き上げている明瞭な尾根に出会った。ここから取り付き、5分ほどで赤指尾根に乗る。赤指山の北方500m地点のようだ。
緩い稜線を南下し赤指山頂上に着く。東側が植林、西側が自然林の、山頂というより単なる尾根の一角といった感じの、特徴のない場所だ。いつも鴨沢口から雲取山に登る途中、この赤指山1332mを右手に見ながら、今どこまで高度を稼いだかを推測していた。ようやくそのメルクマール(指標)の山に登ったことになる。

赤指尾根はヤブもなくすっきりしていて、一般登山道と変わらない。西側はブナが点在している。
北方向へ引き返して石尾根を目指す。少し下るとすぐに峰からのコースに合流。いったん開けた感じがしたが再び植林の中へ。尾根が広くなって、ここからの急登はかなり長く続く。ようやくヤマツツジが見られるようになる。

ヤマツツジ
高丸山へ
ワラビ
緑の回廊
鷹ノ巣山から
ブナの森
日原川

休み休み登って、石尾根縦走路に上がる。七ツ石山の方向へ進むと、一昨年と同じくヤマツツジが並んで咲いていた。トウゴクミツバツツジは終わっているが、ヤマツツジの花の付きがいい。
斜面を上がり千本ツツジに登る。ヤマツツジが鮮やかな朱色。太陽はないが眺めは広い。1ヵ月半ご無沙汰している間に、奥多摩の山もいつの間にか夏の姿に変わっていた。

今日は山菜採りのグループも何組か来ている。千本ツツジ付近の石尾根は山菜の宝庫だ。また、先ほどの赤指山も同様らしい。
高丸山へ稜線伝いに歩く。いつも巻いてばかりの高丸山に、今日は登っておこう。風が通り石尾根は涼しく、快適だ。今日は歩き出しからTシャツだが、休憩するときは長袖シャツのほうがいい。

高丸山からは滑りやすい土質の斜面を急降下する。一昨年の6月中旬にはサラサドウダンツツジがみられたのだが、今日はかけらもない。ズミも見られなく、今日のところはヤマツツジ(とワラビ)のみの石尾根となっていいた。
日陰名栗ノ峰は巻いていくが、巻き道も意外と時間がかかる。ヤマツツジは巻き道のほうが多く咲いていた。樹木の緑は夏らしい深みのある色になった。広葉樹のトンネルは身も心も洗われるようだ。

鷹ノ巣山避難小屋に着く。少し先の水場まで足を延ばし、水を補給していく。
ここで峰谷に下ってもいいが、せっかくバスで来たので、登山口と違う場所に下りたい。がんばって鷹ノ巣山を超えて東日原に下ろう。

展望のいい坂を登る。虫が多く辟易する。鷹ノ巣山頂上に着いたのはもう14時過ぎていたが、まだ登山者は多い。
後から登ってくる人を見ると、皆たくさんの虫を引き連れているのが恐ろしい、というか面白い。行動中は二酸化炭素を多く排出しているからだろう。
足を止め休憩すると二酸化炭素の消費量は少なくなり体温も下がるので、虫は去っていくようだ。

稲村岩尾根は急坂が続き、下りにとっても骨の折れるコースだ。
12年前、山を始めて間もない頃、周囲の景色も全く覚えてないほど、疲労しながら下ったことが思い出深い。それでも山を嫌いにならず、その後継続して登るようになったのも、何がしかの魅力を、このコースに感じていたからなのだろう。
下り始めはギャップが多くきついが、ヒルメシ食いのタワから先は、急坂であっても若干歩きよく、リズムをつけて下る。
太い堂々としたブナが随所に立ち、圧巻だ。高度を落とすとミズナラが多くなって、やがて稲村岩の基部に下り立つ。

稲村岩は実はここから先が難所である。巳ノ戸沢へ下りるまでは崖のような急斜面で、登りも下りも大変である。今年2月は完全な雪道になっており、ヒヤヒヤしながら登った。
でも今回気づいたが、登山道そのものは大変よく整備されていて、路面が平坦になるようにきっちり切られている。最後は疲れていたので助かった。いつも奥多摩の登山道を歩きやすく保ってくれている、関係の方に改めて感謝したい。

車道に上がり、東日原バス停に着く。テント装備の若いグループが、持っていた水を頭からかけ合っている。
下山して頭からかぶるために、わざわざ重たい水を担ぎ下ろしてきたようだ。その豪快さが面白い。